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新型コロナウイルスでやむなく公平性を欠く大会も 世界中のスポーツに大打撃

2020 3/11 06:00Takuya Nagata
マスクをする人と東京五輪のマスコットキャラクターが描かれたポスターⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

オリンピック発祥の地ギリシャでは、全てのプロスポーツが無観客

東京オリンピックを今夏に控える日本では、サッカーJリーグ、プロ野球、バスケットボールBリーグが試合を延期する等スポーツ界全体が、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の煽りを受けている。

海外のスポーツシーンにも目を向けると、お隣の韓国ではサッカーKリーグが延期され、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)は、無観客試合にする方針を決定。

オリンピック発祥の地、ギリシャでは、全てのプロスポーツの試合を無観客試合で行うという通達が政府から各スポーツ団体に届いた。

サッカー欧州CLでは、無観客試合で公平性欠く結果に

欧州で最も感染が深刻なイタリアでも、政府から国内すべてのスポーツイベントを無観客にすべきとの方針が示された。サッカーセリエAでは、それ以前にも、UCサンプドリア、ユヴェントス等、多くの試合の延期も決定している。

フランスリーグ1は、パリ・サンジェルマン(PSG)対RCストラスブールの試合を延期した。

イングランド・プレミアリーグでは、試合開催時の選手の握手を禁止し、後に欧州サッカー連盟(UEFA)からも欧州全土に握手禁止の方針が伝えられた。

欧州チャンピオンズリーグの16強による決勝トーナメントは、3月10日バレンシア対アタランタの第2試合が無観客試合になった。第1試合を落としていたバレンシアとしては、ホームの声援の後押しを受けたいところだったが、健康を最優先した。不可抗力とは言え、競技の公平性は、維持することが出来なかった。

入国制限で五輪予選が開催中止

F1は、3月20~22日のバーレーングランプリを無観客レースにすることが決定した。3月8日にカタールで開催予定だったMotoGPは、入国制限により、中止を余儀なくされた。

3月15日のバルセロナマラソン、3月29日のローママラソン、4月5日のパリマラソンは、それぞれ延期になった。

3月27~29日に、キルギスで開催予定だったレスリングのオリンピック予選が、キルギス政府の要請により、中止になった。

2020年夏季五輪は、東京開催か中止か

東京五輪はまだ先だが、キルギスの例のように、すでに影響は出始めている。国際オリンピック委員会(IOC)は、中止しないという立場を今のところ崩していないが、それは開幕する7月まで、まだ時間があるため、ウイルスを制圧出来るという希望的観測によるものだろう。

感染源となった中国では、スポーツはおろか、一般市民の生活にも大きな影響が出ている。世界中のスポーツを見渡すと、もし感染者数がこのまま収まらない場合、今夏のオリンピック開催は非現実的に映る。

感染者数の比較的多い日本以外の代替地での開催も言われたが、オリンピックは、全世界から選手団やファンが訪れるイベントだ。つまり、ウイルスが、全世界に拡散されるリスクをはらんでいるのだ。日本だからダメで、他の国なら良いという問題ではない。

IOCが示す東京開催か中止という二者択一は正しいものだ。IOCは、5月を期限に東京五輪の開催を決定することを明言している。

日本、そして世界のスポーツファンが、固唾を呑んで新型コロナウイルスの感染状況を見まもっている。


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