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春先はつらいよ!?スポーツ選手も悩む花粉症

2018 3/21 09:30Mimu
花粉症
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トッププロでも悩まされる花粉症

毎年春先になると、人々を悩ませるのが花粉症だ。今や日本人の5、6人に1人が花粉症に悩まされているといい、もはや国民病といっても過言ではない。くしゃみが出て、鼻水が止まらなくなり、目がかゆくなってしまうなど、やっかいな症状ばかりだ。どれだけ予防しても完全に防ぎきることができず、非常にもどかしい。

そしてそれは、スポーツ選手でも同様である。花粉症に悩まされるスポーツ選手は非常に多く、プレーに集中できずに成績を下降させてしまうということもある。例えば、野球選手でいえば、松井秀喜が有名だ。彼は巨人時代から花粉症に悩まされており、春先に調子が上がらないシーズンも多かった。

そしてそれはMLBへ移籍してからさらに顕著になる。日本ではスギ花粉が多く飛散するが、アメリカにもヒマラヤスギというスギがあり、その花粉が飛び交っている。ほかにも樫の木やサボテンなどの花粉も飛散しており、それらに苦しめられていた。おかげで4月の打率が.250前後となるシーズンも多く、春先の一番の大敵であった。

100年前からスポーツ選手を悩ませてきた

花粉症で悩まされるスポーツ選手がいるのは、昔からだ。スポーツは変わるが、熊谷一弥というテニス選手がいた。錦織圭が2012年に全米オープンでベスト4に入った際、話題になった人物だ。錦織の96年前(1918年)に初めてベスト4を記録した人物だ。

ソフトテニス出身のサウスポー。しかし硬式テニスでもソフトテニスの握りを貫き、独特のドライブボールで世界の強豪選手を次々と撃破していった。しかし、その準決勝でまさかのストレート負け。理由となったのが花粉症なのである。熊谷もひどい花粉症に悩まされており、試合中に涙が出るほどだったという。そしてこの全米オープンの準決勝でもやはり花粉症で涙が止まらなくなり、力が出せなかったという。スポーツ選手を悩ませていたのは、昔から変わらなかったようだ。

大人になって急に症状が出ることも

花粉症がやっかいなのは、前年までは全く平気だったのに、ある年から急に症状が出てきてしまうという点でもある。話は再び野球に戻るが、例えばヤクルトスワローズの山田哲人。彼は幼い頃から花粉症に悩まされたことはなかったそうなのだが、2017年になって急に症状が現れたそうだ。2月下旬に行われた宮﨑でのWBC強化合宿から症状が出始め、鼻水が止まらなくなったという。

熊谷の時代と異なり、現代では、花粉症の原因やメカニズムもかなりのところまで分かっているが、いつ花粉症になるのかは個人差があり、全く予想もつかないのは現代でもやっかいな点である。山田のように、成人してから症状が出てくるケースも珍しくはない。

治療薬がドーピングと見なされることも

スポーツの場合、何よりもやっかいなのが、花粉症の治療薬がドーピング検査に引っかかってしまう可能性があるということだ。花粉症に限らず市販薬を自身の判断で服用した場合、それがドーピング検査に引っかかってしまったということケースも、過去には起こっている。

花粉症ではエフェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリンなどが市販薬に含まれているが、これらはいずれも使用禁止だ。中でもアレルギーに強力な効果のあるといわれている糖質コルチロイドは、ステロイド薬としてみなされてしまうそうだ。

そのため、選手たちは自身の判断で使用することは基本的に控え、スポーツドクターと相談しながら、慎重に対策を行っているが、中には何も対策せずにそのまま試合に臨んでいる選手たちもいるようだ。毎年春にやってくる見えない敵は、スポーツの世界でも猛威を振るっている。