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デフアスリートたちの快挙!トルコ・サムスン2017年夏

2017 10/13 10:05kero
デフリンピック
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日本選手団、過去最多のメダルを手に凱旋!

去る2017年7月18日~30日、トルコ・サムスンにおいてデフアスリートー聴覚障害のあるアスリートのためのスポーツの祭典、第23回夏季デフリンピック(IOC承認)が開催された。今季、日本選手団は過去最多のメダルを獲得し、日本に凱旋した。

第23回夏季デフリンピックへは日本から選手108名、スタッフ69名、総勢177名が派遣された。日本選手団の参加種目は、陸上、バドミントン、テニス、卓球、水泳、自転車、空手、ビーチバレー、サッカー男子、バレー男子、バレー女子の11競技。

日本選手団のメダル獲得数は金6、銀9、銅12、計27個の快挙である。前回のソフィア大会を超え、目標を大きく上回る結果を手にした。
メダル総獲得数の国際比較においては最多がロシア、次にウクライナ、そして韓国に続き上から6番目。(中国、イランは総数34個で同率5位)。ちなみに日本は前回の2013年ソフィア大会では、金2、銀10、銅9を獲得している。

デフリンピックの歴史はパラリンピックよりも古い

デフリンピックの歴史は1924年に遡る。第1回は、1924年8月にパリにて開催された。当時はデフリンピックという名称ではなく、「インターナショナル・サイレント・ゲームス」という呼称だった。
イギリス、フランス、ベルギーを始め、当時の西欧、東欧諸国を含めた9カ国、総勢148人が参加している。日本は1965年米・ワシントンDCで開催された第10回デフリンピックから参加。当時は日本から7人が参加している。

国際手話で世界中の選手と会話を

夏のデフリンピックは陸上、水泳、サッカーを始めとするスポーツ26種類で競われる。(オリンピックは33競技、パラリンピックは22競技である。)
選手・スタッフたちは、全て国際手話でコミュケーションをとる。国際手話が世界共通言語であるため、デフアスリートたちは多くの世界の選手たちとニュートラルに会話ができるようだ。

デフリンピックの競技ルールは、ほぼオリンピック競技に準じているが、選手はピストルスターターの音や審判の合図が聞こえないため、競技において不利な状況におかれる。
そのためデフリンピックでは、競技に必要な音声情報やコミュニケーション全てが、視覚的な合図(フラッシュ、フラッグなど)や国際手話などによって保障された競技環境が構築されている。

デフリンピックの参加資格は、裸耳状態(補聴器をつけない状態)での聴力レベルが55dB(デシベル)以上の者となっており、プレー中の補聴器の装用は禁止されている。

男子陸上4×100mリレーで金メダル

デフリンピック日本陸上代表選手は、過去最多メダルである金2、銀2、銅2を獲得した。
特筆すべきは男子4×100mリレーだ。この種目は、2017年8月の”聞こえるアスリートたち”の大会「世界陸上」でも盛り上がっていたが、それに先んじて日本のデフリンピック陸上代表選手たちが金メダルを獲得していた。

リレーといえば息の合ったチームワークが重要で、連携プレーや細やかなバトン練習などは、もはや日本のお家芸と言っても過言ではないだろう。結果、4×100mリレー日本代表メンバーの三枝浩基、設楽明寿、佐々木琢磨、山田真樹の4名は、他の強豪国をおさえ、堂々の金メダルを獲得した。
特に東京経済大学の山田真樹選手(19)は、4×100mリレーと男子200mで2個の金メダルを獲得しており、男子400mにおいても銀メダルを獲得している。
また、湯上剛輝選手が男子円盤投げで銀メダル、滝澤佳奈子選手が女子棒高跳びで銅メダル、石田考正選手が男子ハンマー投げで銅メダルを獲得している。

デフバレーボール界の東洋の魔女たち

トルコ・サムスンにおいて手話による君が代斉唱が行われた2017年7月28日、デフバレーボール女子日本代表は、対イタリア戦3-0で金メダルを勝ち取った。
過去1965年東京オリンピックでは、女子バレーボールチームが金メダルを獲り「東洋の魔女」と称され、人々を熱狂の渦に巻き込んだという記憶がある。
以来、女子バレーボールは日本人にとって思い入れ深き種目であり、女子バレーボールは国民的競技という印象があるのだ。

一方で、メディアで取り上げられることが少ないため知られざる世界であったデフリンピックに向け、女子日本代表は密かに輝かしい金字塔を打ち立てていた。2001年のローマ大会で金メダルを獲得し、2005年メルボルンでは銀、2009年台北では銅、2013年ソフィアでは銀と2001年以降のデフリンピックで、毎回欠かさずメダルを獲得している。
そして今年2017年、16年ぶりに再び金メダルへと返り咲き、デフバレーボール女子において不動の強豪国となったのだ。

試合中は補聴器を外さねばならず選手たちは皆”音のない”世界で戦うため、より高度に研ぎ澄まされたコミュニケーション能力とスキルが必要とされる。”聞こえる”世界のプレーとはまた違う難しさと、より鋭敏な感覚を要することだろう。
今後は、彼女たちの功績によりデフバレーボールの存在が知られ、理解が深まると思われる。

水泳、メダルの嵐!合計21個!

今回、日本に最多のメダルをもたらしたのは、水泳日本代表選手たちによるものだった。日本が獲得したメダル総数27個のうち、15個が水泳競技によるものである。これにより水泳王国のタイトルは、デフスポーツの世界でも不動のものとなるだろう。
そして、獲得した全金メダル6個のうち3個は、日本大学の藤原慧(さとい)選手(21)が、男子400m自由形、男子1500m自由形、男子400m個人メドレーで獲得したのだ。
藤原選手は金メダル意外にも個人で銀銅メダルを3個獲得し、リレーでも銀銅メダルの獲得に貢献しており、個人400m個人メドレーでは大会新記録も打ち出している。 これは紛れもなく、日本デフリンピック水泳界のスター誕生である。


ちなみに日本の水泳団は、前回のソフィア大会でも金メダルを1つ含む合計8個のメダルを持ち帰っている。
ソフィア大会で50m背泳ぎで世界新記録を更新し、金1、銀2と計3個のメダルを獲得した金持義和選手(23)は、サムスンでは個人で銀2個、銅1と計3個のメダルを獲得し、リレーの銀銅メダル獲得にも貢献している。
また、2009年台北大会で金メダルを獲得し、ソフィア大会で銀3、銅2と計5個のメダルを獲得した茨隆太郎選手(23)は、今回個人で銀銅メダルを1個づつ獲得し、リレーでも銀銅メダル獲得に貢献しており、両選手共に輝かしい成績を収めている。
また、将来有望な若手の津田悠太選手(16)や藤川彩夏選手(21)、久保南選手(20)も、各リレーの銀銅メダル獲得に貢献しており、各自素晴らしい成績を手に帰国した。

バドミントン、卓球、マウンテンバイク、自転車でもメダル

今のところ、オリンピック、パラリンピックに比べるとメディアへの露出度がまだまだ少ないデフリンピックだが、日本のデフアスリートたちと関係者、スタッフたちは着々と世界へ挑戦のための努力を続けていた。それが着実に、そして見事に実を結んでいる。

陸上、女子バレーボール、水泳の他にも、日本代表団は、長原茉奈美(バドミントン)銅1、亀澤理穂・川﨑瑞恵(卓球ダブルス、団体)銅1、髙岡里吏(卓球・団体)銅1、早瀬久美(マウンテンバイク)銅1、簑原 由加利(自転車・ロード)銅1、とメダルを獲得した。
あと一歩でメダルには及ばなかった競技(男子マラソン、山中孝一郎選手4位、テニス、男子ダブルス梶下・親松ペアは準々決勝進出、バドミントン、女子ダブルス吉田・品田ペアは準決勝進出、自転車ロード、早瀨久美選手は5位入賞、マウンテンバイク、箭内秀平選手は6位入賞、バレーボール男子7位)と、善戦している。

全日本ろうあ連盟スポーツ委員会は世界トップレベルの選手たちを選出し、日本代表団として送り込んでいるため堂々たる結果を残した。2019年には冬季デフリンピックが開催される。デフスポーツ界にこれからも注目していきたい。

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