義足とは?
義足とは、事故や先天性など様々な理由で下肢を欠損している人が、下肢の機能を取り戻すために使用する人工の足です。義足の他に手の欠損を補う義手もあり、これらを総称して義肢と呼びます。
義足の役割は下肢の機能を補うほかに外見を補うという役割も持ちます。
義足の歴史は実はかなり古く、紀元前の時代には義足を使用していて、実際に当時の義足が発掘されているそうです。
足の機能や見た目を補うのが義足の役割ですが、これをスポーツに用いる人もいます。スポーツ用の義足はその競技に合わせて作られたもので、その形は通常の義足とは異なります。
スポーツ用の義足の特徴って?
一言にスポーツ用の義足といっても、競技によってその形状は様々です。
おそらく多くの人がイメージするスポーツ用の義足は、陸上競技のものではないかと思います。陸上競技用の義足は足の部分がゆるやかに曲がった形状をしていて、板バネという特殊な形状のものを使用して作られています。また、同じ陸上競技でもスパイクのような改良を施したものもあります。
これ以外にも様々な義足があります。たとえば自転車競技の場合は自転車のペダルと義足が連結するようにできていますし、スキーの場合は膝が曲がるようになっていて、任意で膝の角度を調整することができるようになっています。
このように、競技によって様々な義足があるのです。
義足は選手1人1人によって異なる
スポーツ用の義足は競技によってその形状が異なることを紹介しましたが、さらに同じ競技の中でも選手によって異なる場合があります。
例えば、下肢の欠損と一言でいっても、選手によっては足首から先がない選手、膝から先がない選手、太ももから先がない選手など、その障がいの程度が異なります。
パラリンピックでは障がいによってクラスが分かれているので、欠損の程度が異なる選手同士が戦うことはあまりありませんが、それでも選手個々人に応じた義足が必要となるのです。
義足は誰が作るのか?
これらの義足は誰が作っているのでしょうか?高い技術が必要なため、誰でも簡単に作れるものではありません。日本では義肢装具士という職業の人でなければ製作することはできません。
義肢装具士は国家資格で、義足を始めとする義肢の製作(採寸、組み立て、仕上げなど)や実際に装着した際の調整などを行うことができます。
スポーツ用の義肢装具士に関しては、日本だと臼井二美男氏が第一人者として知られています。臼井氏はこれまでに多くのパラリンピック選手に義足を作成してきた他、シドニー大会、アテネ大会では日本代表のメカニックスタッフとしてパラリンピックに帯同しています。
アスリートにとっては義足の調子が少しでも変わると記録に大きな影響を及ぼすため、臼井氏のようなスポーツ用義足の専門家の存在は欠かせないのです。
義足は生身を超えるのか?
スポーツと義足の関係に関しては、これまでにも様々な議論が生まれています。代表的なものとしては、義足が有利に働いているのではないかというものです。義足は本来は足の代役を果たすためのもので、記録を伸ばすための道具ではありません。
過去には義足のオスカー・ピストリウス氏がオリンピックに出場し話題となりました。また、ドイツの走り幅跳び選手のマルクス・レーム選手が2015年に出した8m40cmという記録はロンドンオリンピックの金メダルの記録8m31cmを上回ります。
レーム選手は、リオデジャネイロオリンピックの出場を希望していましたが、義足が有利に働いていないという十分な証明を示すことができず、出場はかないませんでした。
このように、今も義足とスポーツに関する議論は進行中なのです。
まとめ
ここまで、義足とスポーツの関係について紹介してきました。義足と記録との関係が明らかにされれば、今後義足の選手がオリンピックに出場するケースが増えるかもしれません。今後も義足の選手が出す記録から目が離せそうにありません。