スポンサーは具体的に何をするの?
前述の通り、オリンピックを開催するには相応の資金が必要となります。世界最大規模の大会にふさわしい競技場も作らなければならないですし、各国からの選手や観光客が訪れますからインフラの充実も欠かせません。これらに必要な資金の一部をスポンサー料を使って賄われています。
また、資金面だけではなく、各国に放送を届けるための機器や、選手の体調を管理する食事や医薬品の提供など多岐に渡ります。では、お金さえ出せばどんな企業でもスポンサーになれるかといえば、それは違います。スポンサーとなれるのは原則的に一業種一社と決まっており、トップ企業が選ばれる傾向にあるのです。
オリンピックオフィシャルパートナーとゴールドパートナー
トップ企業のみが加入を許される五輪のスポンサーですが、スポンサーには「ランク」があるのをご存じでしょうか。例えば、2020年に開催予定の東京五輪を例に挙げると三井不動産は「ゴールドパートナー契約」を結んでいますが、ヤマトホールディングスとは「オフィシャルパートナー契約」を結んでいます。この「ゴールド」と「オフィシャル」にはどのような違いがあるのでしょうか。
ざっくりと説明すると、ゴールドの方が特典の多い契約となっているということです。具体的には、企業の宣伝にJOCのシンボルアスリートを使用してもよかったり、JOCホームページに企業ロゴを掲載したりできます。その分、ゴールドの方がスポンサー料は高くなります。
オリンピックワールドワイドパートナーとは
五輪に協賛できるスポンサーは限られた企業のみに与えられており、かつスポンサーにもランクがあることがわかりました。しかし、スポンサーの種類はゴールドとオフィシャルだけではありません。この2種類の上をゆくのが「ワールドワイドパートナー」なのです。ワールドワイドと名が付く通り、こちらはJOCのような各国の組織委員会ではなくIOC(国際オリンピック委員会)をサポートする世界規模のスポンサーなのです。
TOPパートナーとも呼ばれ、日本ではブリジストン、パナソニック、トヨタ自動車が契約を結んでいます。
スポンサーになるとどんなメリットがあるの?
では、ワールドワイドパートナーになると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。例えば、モビリティー分野を担当するトヨタ自動車は、燃料電池車や自動運転車などの先端技術を全世界にアピールする場にしたい考えを持っています。パナソニックは今まで放送機器の提供などを行ってきましたが、選手村で使われる家電や他言語コミュニケーションを容易にする翻訳機、決済システムといった事業まで手を広げようとしています。
世界中が注目する五輪は、グローバルに事業展開する企業にとって格好のアピールの場なのです。
オリンピックのスポンサーになれること自体がブランドの証
ここまで読むと、世界的なスポーツの祭典で躍動するアスリートの背景には世界的な企業のロゴが躍っている姿が想像できますが、実は五輪における広告の掲出はオリンピック憲章において厳しく制限されているのです。競技エリア内では広告を出すことが許されておらず、会場外のブースなどのごく限られたエリアでしかアピールできないのが実情です。
これを知ると、五輪のスポンサーとなる価値は薄いようにも思えますが、先にも述べた通り五輪のスポンサーとなれるのはごく限られた企業のみに与えられているため、スポンサーになれること自体が名誉であり、信頼のおける優良企業である証なのです。
まとめ
オリンピックのスポンサーになるには億単位の料金が必要となります。そのお金を支払ってまで名乗りを挙げるには、企業としてのブランドを将来にわたって最大限に高めるための戦略が見え隠れしているのです。