「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

来春「桜五輪」も浮上で気になる東京五輪の開催時期

2020 3/28 06:00田村崇仁
イメージ画像ⒸDRN Studio/Shutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸDRN Studio/Shutterstock.com

NBAや欧州サッカーシーズンとの重複が懸念材料

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が3月24日、急転直下で決まった。国際オリンピック委員会(IOC)はこれまで予定通りの7月24日開幕を主張してきたが、通常開催に各国トップ選手や海外オリンピック委員会から猛反発を受ける包囲網の中、史上初の五輪延期に踏み切った。

今後の焦点となる新たな開催日程は、陸上や水泳など各競技の大会予定と調整しつつ、準備状況を監督するIOC調整委員会と大会組織委員会が協議していくが、新日程の候補に夏だけでなく、来春も挙がっていると、複数の英メディア(電子版)が伝えた。

高級紙タイムズは来年7月が最有力とした上で「複数のIOC委員が来年4月の『桜五輪』の可能性を提案した。桜は日本の観光名所の一つ」と報じた。一方で「桜五輪は欧州サッカーのクライマックスと重なる」としている。

英テレグラフ紙は「圧倒的に人気がある桜の季節、来年3月か4月に開催するのも一つの可能性」としながらも、現状では1年延期の7~8月開催が有力と報じた。

英高級紙ガーディアンは「桜五輪」も候補に挙がっているとした上で、3、4月の東京の平均気温がそれぞれ10.6度、13.6度と低く、米プロバスケットボールNBAや欧州サッカーがシーズン中のため、スター選手を集めにくい春開催の問題点を指摘している。

大会組織委の森喜朗会長は新たな開催時期について「おおむね来年の夏がめどになる」との見通しを示しており、あくまで通常通りの「7月開催」が最有力だが、再スタートへ時期が確定しないと動き出せない状況のため早急に決める構えだ。

夏開催が最有力、大会は17日間

IOCの憲法といわれる五輪憲章には「オリンピック競技大会の日程はIOC理事会が定める」と定められ、原則として「競技期間は16日を超えてはならない」との記載がある。近年の五輪は開会式を含め、17日間の開催が一般的だ。

2020年夏季五輪の場合は招致活動の段階から、IOCが会期を「2020年7月15日~8月31日」の間に実施期間を設定するように求めていた経緯がある。酷暑を避けるため、10月開催を提案した中東ドーハは第1次選考で落選した。

なぜ夏開催なのか。7~8月であれば、五輪以外に世界的なスポーツイベントが少なく、巨大イベントを開催するのに日程が重ならないビジネス面の要素が大きい。

米国で人気の米プロバスケットボールNBAや米プロフットボールNFLなどのシーズンとも重ならず、IOCと巨額の大型放送権契約を結び、強い影響力を持つとされる米NBCユニバーサルの意向にも合致する形だ。

「桜五輪」は実現すればユニークな大会となりそうだが、現実的には厳しい。海外メディアによると、IOCのバッハ会長は開催日程について「合意したのは遅くとも夏までに開催したいということ。夏だけに限定はしていない」と述べ、春開催も扉は開かれているとの認識を示したが、残された時間は多くない。こちらもスピード決着となりそうだ。

新型コロナウイルス感染拡大による影響まとめ