WRCの名門ワークスフォードの系譜
MスポーツはWRCの名門ワークスであるフォードの系譜を組んでいる。だからまず、フォードのWRCでの活躍について触れておこう。フォードはWRCの歴史を語るうえで、欠かせない存在だ。
スウェーデン人ドライバー ビヨン・ワルデガルド氏の活躍で、1979年にはドライバーズタイトルとマニュファクチャラー部門でのタイトル獲得。1981年にもフィンランド人ドライバーのアリ・バタネン氏がドライバーズタイトルを獲得している。2006年、2007年にはマニュファクチャラー部門で2シーズン連続でタイトル獲得。WRCに大きな足跡を残したチームだった。
Mスポーツとは?
WRCの名門ワークスであるフォードは、世界的な経済不況の影響で、2012年にWRCからの撤退を発表す。フォードの撤退というこのニュースは、WRCファンに衝撃と悲しみをもたらした。しかし、フォードのチーム監督マルコム・ウィルソン氏がMスポーツというチーム名で引き継ぐことになる。
Mスポーツは製造メーカーではないが、フォードとマシンを共同開発し、資金提供も受けていることからマニュファクチャラー部門に登録されている。
2017年シーズンのMスポーツのマシンの特徴
Mスポーツの2017年のマシンはフォード・フィエスタWRC。95パーセントを新たに設計しなおしたマシンは大柄なフェンダーを搭載し、見た目にも変化が明らかだ。さらに、デザインはレッドブルカラーと幾何学模様という2種類のカラーリングで珍しく、エンジンはフォード・エコブースト1.6リッター直噴エンジン。
また、新たに6速ハイドロ-リック・シフトが採用された。アクティブセンターデフや4ポッド・モノブロックキャリパーで力強い走りと安定性を手に入れている。
注目選手はディフェンディングチャンピオン!
強力なマシンを擁するMスポーツの2017年の最大の注目選手は、セバスチャン・オジェ選手で間違いない。何と言ってもディフェンディングチャンピオンだ。しかも、2013年から2016年まで4年連続でドライバーズタイトルを獲得中だ。セバスチャン・オジェ選手は2009年にWRCにシトロエンからデビューすると、2010年のポルトガルでWRC初優勝を飾っている。
しかし、当時のシトロエンチームの絶対エースはWRC9連覇、通算78勝のセバスチャン・ローブ選手。オジェ選手はローブ選手に対抗するべく、フォルクスワーゲンのワークスの開発から携わり、後の4連覇につなげたのだ。フォルクスワーゲンが2016年限りで撤退したことにより、Mスポーツに移籍。オジェ選手の今シーズンに注目だ。
セカンドドライバーも速い!
2017年のMスポーツのセカンドドライバーはオット・タナク選手だ。2016年シーズンはDMACKワールドラリーチームからフル参戦し、セバスチャン・オジェ選手に引けを取らない速さを見せていた。
特にイギリスでは22のスペシャルステージのうち、12でベストをマークし、ポーランドではWRC初優勝を目前にした最終のスペシャルステージでまさかのバースト。オジェ選手が高くタナク選手を抱き上げたシーンは感動を呼んだ。王者オジェ選手も認めるオット・タナク選手にも注目が集まる。
まとめ
WRC2017年シーズンのMスポーツのマシンや注目選手についてお伝えした。ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・オジェ選手とオジェ選手を追い詰めたオッド・タナク選手という2人のドライバーがどんな走りを見せてくれるのか楽しみだ。