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【帝王賞回顧】ミッキーファイトがJpnⅠ初制覇 タフな展開も早め先頭から押し切る

2025 7/3 12:00三木俊幸
2025年帝王賞勝ち馬ミッキーファイト,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ルメール騎手「未来のスーパースターホースに見えました」

大井競馬場で行われた帝王賞(JpnⅠ・ダート2000m)はC.ルメール騎手が騎乗したミッキーファイトが単勝1.6倍の断然人気に応えて勝利。4月の川崎記念を制したメイショウハリオの取消は残念だったが、JBCクラシックの覇者ウィルソンテソーロ、東京ダービー馬ラムジェットなどダート中距離路線の実績馬たちを相手にGⅠ級競走初制覇を飾った。

最内枠からスタートしたヒーローコールが出ムチを入れながら主張して、1周目スタンド前の先行争いを制したが、12.2-11.1-12.1(35.4)と速いラップが刻まれた。2番枠だったミッキーファイトは馬なりのままピッタリと半馬身差の2番手外を確保する。

その後は12.9と一旦コーナーで緩んだものの、向正面に入ったところで馬体を併せていき12.4-12.2と加速。3角手前でヒーローコールは苦しくなって後退したが、今度は3角からはウィルソンテソーロとノットゥルノが並びかけるというミッキーファイトにとってはかなりタフな流れとなった。

そうした中でも先頭を譲ることなく直線に入ると、残り200mのところでこの2頭をも振り切る。最後は12.0-13.2と大きく減速して一杯になったが、勝ちタイム2:03.1(良)という好タイムでアウトレンジの追い上げをクビ差封じた。



2025年帝王賞勝ち馬ミッキーファイト,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


昨年のジャパンダートクラシックでは2着に終わったが、その後BCクラシック3着、2月のサウジCを優勝時にレーティング127を獲得するなど世界トップクラスの活躍を見せているフォーエバーヤングにただ一頭迫った。また5馬身離した3着サンライズジパングや4着ラムジェットがGⅠで好走している世代レベルの高さからも、驚くべきことではないのかもしれないが、今回のレース内容は能力の高さを改めて証明するものだったと言える。

ルメール騎手は「体もすごいパワフルで自分のペースで走れるし、後ろからでも乗れるのがストロングポイント」と分析して「未来のスーパースターホースに見えました」と高い評価を与えた。管理する田中博康調教師は「精神力も強い馬で本当に心身ともに充実してきた」と成長を口にすると同時に「まだ成長途上の段階でもある」とも話す。

さらに強くなってどれだけのタイトルも獲得していくのかという期待感を感じるとともに、強さを増した先に再び訪れるフォーエバーヤングとの対決という面でも今後が非常に楽しみだ。


アウトレンジが2着

平安Sを制しての参戦でGⅠ級初挑戦だったアウトレンジは、4番手の内を追走。3角でウィルソンテソーロとノットゥルノが動いたところで動けず。またラムジェットとも接触する場面があり、そのまま内で我慢するも、直線で外に持ち出されてからは力強く伸びてあと一歩のところまで迫った。着差以上にミッキーファイトは強かったが、このメンバーでも結果を残せたのは次に繋がるだろう。


アウトレンジ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


近走、重い斤量を背負いながらも安定して好走していたノットゥルノは、外枠からスムーズに好位を追走して3角で前へと並びかけていくレースだった。アウトレンジから2馬身半遅れた3着に終わったが、先行して得意のスタミナ勝負に持ち込むという強みは出し切ったと言える。

《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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