「後続馬の足音も聞こえなかった」
昨年からJpnⅠへと昇格した古馬のダート短距離路線における上半期の総決算・さきたま杯(浦和ダ1400m)は川須栄彦騎手騎乗の1番人気シャマルが勝利した。
当日1Rの発走時点で馬場状態は「重」の発表だったが、2Rの時点で「不良」へと変わった。その後も一時的に激しい雨に見舞われるなど、浦和のダートコースは水が浮いて7、8Rが取り止めになるほどのコンディション。ここまで重賞8勝中5勝を不良であげているシャマルにとってお誂え向きの馬場状態だった。
スタートを決め、川須騎手の絶対に逃げるという意志が感じられたスタンド前での先行争い。アウストロ、ティントレットを封じて1角でハナを奪い切ると、12.0-11.2(23.2)というラップを刻んだ。
そのまま隊列が決まって前3頭が半馬身間隔で続き、2角から向正面にかけて11.7-12.0と落ち着きを取り戻して勝負所の3角へ。シャマルがスピード能力を活かして馬なりのまま11.2へとペースアップすると、2番手を追走していたアウストロが脱落する。3番手のティントレットも食い下がったが、4角から直線に向くところで引き離されていったように、スパートも絶妙のタイミングだった。
ラスト200mで後続との差を引き離し、後続に5馬身差をつけるとともに、勝ちタイムは従来の記録を0.6秒も更新する1:23.2のレコード決着。「後続馬の足音も聞こえなかったですし、ゴールの瞬間は感情が爆発しました」と鞍上は振り返った。
前走・かしわ記念(JpnⅠ)に続いてのGⅠ級競走連勝で、黒船賞(JpnⅢ)も含めて重賞3連勝。不振の時期を経て、7歳でのこの充実ぶりは素晴らしい。この先も川須騎手とともにダート短距離路線の中心として輝き続けてくれるだろう。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)