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【さきたま杯回顧】シャマルが5馬身差レコードV 得意の不良馬場でGⅠ級3勝目

2025 6/26 12:00三木俊幸
2025年さきたま杯勝ち馬シャマル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

「後続馬の足音も聞こえなかった」

昨年からJpnⅠへと昇格した古馬のダート短距離路線における上半期の総決算・さきたま杯(浦和ダ1400m)は川須栄彦騎手騎乗の1番人気シャマルが勝利した。

当日1Rの発走時点で馬場状態は「重」の発表だったが、2Rの時点で「不良」へと変わった。その後も一時的に激しい雨に見舞われるなど、浦和のダートコースは水が浮いて7、8Rが取り止めになるほどのコンディション。ここまで重賞8勝中5勝を不良であげているシャマルにとってお誂え向きの馬場状態だった。

スタートを決め、川須騎手の絶対に逃げるという意志が感じられたスタンド前での先行争い。アウストロ、ティントレットを封じて1角でハナを奪い切ると、12.0-11.2(23.2)というラップを刻んだ。

そのまま隊列が決まって前3頭が半馬身間隔で続き、2角から向正面にかけて11.7-12.0と落ち着きを取り戻して勝負所の3角へ。シャマルがスピード能力を活かして馬なりのまま11.2へとペースアップすると、2番手を追走していたアウストロが脱落する。3番手のティントレットも食い下がったが、4角から直線に向くところで引き離されていったように、スパートも絶妙のタイミングだった。

ラスト200mで後続との差を引き離し、後続に5馬身差をつけるとともに、勝ちタイムは従来の記録を0.6秒も更新する1:23.2のレコード決着。「後続馬の足音も聞こえなかったですし、ゴールの瞬間は感情が爆発しました」と鞍上は振り返った。

前走・かしわ記念(JpnⅠ)に続いてのGⅠ級競走連勝で、黒船賞(JpnⅢ)も含めて重賞3連勝。不振の時期を経て、7歳でのこの充実ぶりは素晴らしい。この先も川須騎手とともにダート短距離路線の中心として輝き続けてくれるだろう。


2025年さきたま杯勝ち馬シャマル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


2番人気コスタノヴァは出遅れて11着

2着には船橋所属のムエックスが入った。道中は前3頭を見る形の4番手のインを追走。シャマルがスパートを仕掛けたタイミングでも置かれることなく前へと迫っていき、直線はしぶとく伸びた。

これが交流重賞初挑戦ながら、年明けの川崎マイラーズ(SⅢ)、前走の笠松で行われたオグリキャップ記念(SP1)と重賞2勝。2着に敗れたレースでもスマイルウィやフォーヴィスムなどJRA勢を破った実績のある強敵相手に僅差のレースをしており、ここに入っても十分戦えるという地力を見せてくれた。

3着エンペラーワケアは最内枠からのスタートだったが、1角で外へと持ち出されて6番手から運んだ。跳びが大きく、勝負所でややモタモタする面もあり広いコースが合っている印象ながら、直線は大外に持ち出されると鋭く伸びた。コース適性や馬場状態を考慮すると伸びきれずに終わっても不思議ではない条件下でこの結果が出せたということは、能力の高さがあってのものだと言っていい。

2番人気コスタノヴァはスタートで大きく出遅れ。道中は離れた最後方を追走するも、この馬場では致命的なポジショニングに加えてスピードにも乗り切れていない印象も受け、勝ち馬から2.6秒差の11着に終わった。


コスタノヴァ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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