最後の一瞬まで目が離せない!
3月14日(土)に中山競馬場で行われるのは中山牝馬S(GⅢ・芝1800m)。昨年は1~10着がわずか0.4秒差となるなど、馬券的な楽しみも大きい混沌のハンデ重賞だ。人気の中心と見られるのは昨年末のターコイズS上位2頭、コントラチェックやエスポワールだが、この両馬の評価や、その他でオッズ的な観点から狙いたい穴馬を検討していく。
まずはレース傾向や展開、馬場傾向を分析していこう。

牝馬同士のハンデ戦は愛知杯、マーメイドSなど荒れるレースが多いが、中山牝馬Sも例外でなく過去10年で1~3番人気はわずか2勝。今回がどうなるかはこの際別として、数年スパンで見れば穴狙いでいった方が期待値の高いレース条件だろう。
脚質的には2度の逃げ切りはあるが、全体としては差し優勢。接戦のゴール前で様相一変という年も多く、最後の一瞬まで目が離せない激戦が予想される。
今年のメンバーではコントラチェックの逃げが濃厚。同馬は昨年のターコイズSを前半3F33.9というハイペースで押し切っているように速いペースでの逃げが身上。前半1000mは60秒を切るようなペースになりそうだ。過去10年、中山で前半が60秒を切ったのは10、15、19年の3回だが、この3回で馬券に絡んだ馬は全て4角5番手以下だった。差し馬を中心に組み立てたい。
先週雨の影響あり?

中山芝1800mの枠順別成績は中山記念の時にも紹介したので端的に。大きな差ではないが中~外枠の成績がよく、1枠は減点材料だ。
先週の馬場傾向だが、弥生賞当日はかなり雨が降っていたこともあり、終盤になるにつれ内側の傷みが目立ち始めた。中山は3週目になるが、この開催は来月の皐月賞まで連続開催になることもあってまだコース替わりがない。雨の中で競馬をやった影響が残って外が有利な馬場状態にシフトすると想定しておく。
ここまでの内容を整理すると、
1.牝馬限定のハンデ戦らしく穴狙いが有効
2.差し有利のレース傾向。今年はメンバー的にも差し中心
3.馬場状態、枠順別成績から外有利。最内枠は減点
ということになる。以上をふまえて出走馬の検討に移る。
ハンデの影響が大きい馬
本命は人気薄、外枠、差し馬で、51キロという軽ハンデになったレイホーロマンス。この馬は斤量によって大きくパフォーマンスが変わる馬。重賞戦線に乗って以降、ハンデ戦以外では5、13、10、13、8着とまるでいいところがないが、斤量的に恵まれるハンデ戦では人気薄で3度馬券になっているほか、昨年の中山牝馬Sも8着ながら上がり最速をマークして0.2差という好内容だ。
軽ハンデ好走→再度軽ハンデ、という形にも関わらずなかなか人気にならないので、“4匹目のどじょう”を狙って本命に抜擢した。

対抗はエスポワール。初のGⅠ挑戦となった秋華賞では9着に敗れたが、17番枠と出遅れが重なって外をただ回ってきただけの競馬になってしまったのが敗因。それでいてゴール前までしぶとく伸びての9着はむしろ健闘といっていい。
3番手はゴージャスランチ。昨年のエリザベス女王杯はクロコスミアがスローペースでの単騎逃げを打ったことで後方からの馬はノーチャンスの競馬だったが、このレースでゴージャスランチは4角15番手から上がり33.3の末脚を見せている。エリザベス女王杯で同馬と似たような“後ろから行って速い上がりで追い込むも展開向かず”だったアルメリアブルーム(愛知杯2着)、サトノガーネット(中日新聞杯1着)、から類推するにこのパターンからは今後も穴が出るのではないか、と注目している。そういう観点から3番手に推奨する。
4番手はカリビアンゴールド。近走はワンターンのマイル戦を使われているが、紫苑Sで2着があったり、クイーンSでタイム差なしの3着があったりと、一周競馬の方がいい印象がある馬。中山の芝1800mは条件的にはベストだろう。
コントラチェックはターコイズSを好時計で逃げ切っているが、同馬のようなハイペース逃げの馬にとって、マイル戦で使用する中山外回りは相性の非常にいいコース。この馬自身の距離適性もマイルの方がいい。よって今回は1800mに距離が延びること、内回りに変わることで二重に不安がある。前走のパフォーマンスは過信したくないし、人気も濃厚なので押さえ程度の評価に留めたい。
以下、差し馬を中心にウラヌスチャーム、デンコウアンジュまで押さえる。
▽中山牝馬S予想▽
◎レイホーロマンス
○エスポワール
▲ゴージャスランチ
△カリビアンゴールド
×コントラチェック
×ウラヌスチャーム
×デンコウアンジュ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。