落ち着いたペースで先行勢圧倒的有利
桜花賞のトライアルではないが、東の最終便的な位置づけであり、オークスを展望する組が集まるのがフラワーC。自然とマイル路線と中距離路線が交ざり合うメンバー構成は難解な組み合わせが多く、かつては思わぬハイペースを生むようなことがあった。

ここ10年で1000m通過がもっとも速いのは震災の影響により阪神にて代替された11年の59秒0。中山開催に限定すると、昨年の60秒5が最速ラップであり、近年はハイペースになりにくいレースになっている。
中山芝1800mはスタート直後の1角までの距離が短く、先行争いが早めに落ち着くことが多く、条件戦でも先行馬が有利なコースとされている。フラワーCも例外ではなく、近年はペースが落ち着く傾向も手伝い、先行勢が圧倒的だ。勝ち馬の4角順位は1~4番手がほとんどで、まずは先行力の有無をチェックするのは必須だろう。
また中山らしく勝ち馬の上がり3ハロンが4位以下というケースも多く、終いの脚より前半のダッシュ力を重視すべきだろう。
臨戦過程にクラスの差なし
様々な路線からこの春再浮上のきっかけをつかみたい馬が集まるレースらしく、臨戦過程には差が少ない。

出走数の差があるので、前走1勝クラス【5-5-8-46】は数字としては目立ってみえるが、勝率や連対率など確率でみると、じつは差はない。重賞組も1勝クラスも新馬・未勝利勝ちたての馬もこの舞台では平等に扱うべきだろう。ここに差をつけないという視点は実は大切で、やはり重賞経由でここに出走する馬は字面上は格上感を醸し出してしまい、人気になりがちである。
ところが結果はクラス差はない。このギャップをうまく的中につなげるためにも出走馬は前走クラスで区別しないように心がけたい。
距離延長も短縮もキーワード「前走先行」
だが、これではあまりに絞れないままになってしまい、この記事も意義ないものとなってしまう。そこで、前走距離別成績をみる。

これも実は数字的には前走1600m組【4-3-5-50】は目立つが、確率でいくと前走1800m組【4-3-2-37】や前走2000m組【1-4-0-13】と勝率に差はなく、連対率は複勝率では距離短縮組が優勢なぐらいだ。3連複は馬連では距離短縮組を軸にすえることをオススメしたい。しかし1着となると、これも距離短縮や延長で差はない。やはりつかみどころがないレースである。
そこで距離別に前走脚質別成績を出してみる。



前走でそれぞれの距離に出走した馬がそのレースでどんな脚質だったのかについて調べたものであるが、前走1600、1800m組は先行していたことが重要になる。冒頭で先行勢圧倒的有利と伝えたが、これはそれを裏づけるデータでもある。
突発的な先行もあるかもしれないが、やはり前走先行していた組は警戒すべきだ。特にマイル戦で先行していたようなスピードタイプがこのレースで活躍している点は見逃せない。前走同距離組では中団より後ろで競馬をした馬の好走はなく、中山芝1800m戦はスタミナやパワーといった要素よりスピードや機動性といった軽さを重んじる予想姿勢が必要になる。中山というとパワー型となりがちであるが、中山の中でも軽さがポイントになる、それが芝1800mというコースなのだ。
しかし一点。前走2000m組だけは数は少ないものの中団より後ろで競馬した馬から2、3着に突っ込んでくるような馬が出ており、この組だけは差し馬だからと評価を下げないほうがいいだろう。
これといって強調点も少ない分析ではあるが、キーワードになるのは先行力。連勝内容がいずれも差しだったミアマンテより前走中山芝1800m戦で4角2番手から抜け出したシーズンズギフトを評価すべきであり、ショウナンハレルヤや出走できるようならキングスタイルやアミークスまで目配りしておきたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「
築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。
