「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

「騎手=身長が低い」という時代は終わった?データから見えてきたものは?

2020 2/28 06:00高橋楓
騎手の身長別インフォグラフィックⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

身長が一番高い騎手は?

SK_2002_G204_88

「競馬界で最も身長が高い騎手は誰か」と聞かれて、即座に答える事が出来る人はどれだけいるだろうか。

正解は西谷誠騎手の174cmである。

騎手=身長が低いという事は周知の事実であるが、実際はどうなのだろう。もちろん身長が低いほど体重調整がしやすいだろうが、中には元ジョッキーの武幸四郎調教師の様に177cmもありながら52kgで体重調整を管理できていた例もある。

またJRAの昨年の騎手過程の募集要項を見ても、体重の事は書かれていても、身長の明確な基準は書かれていない。今回は、現役JRAジョッキーの身長を調べ、身長と成績に何らかの関係性があるのかを調査していく。

高身長ほど体重調整は大変だろうが、明確な差はうまれなかった!

騎手の身長別成績

JRA在籍騎手全員の身長を調べてみたところ平均は162..0cmであった。学校保健統計で発表されている、中学3年生の平均身長165.4cmよりも小さい数値だ。

そして、今回のコラムでは詳しくは取り上げないが、中学3年生の平均体重は54.1kgである。いかに騎手という職業が過酷な職業なのかが分かる。

話しを身長へ戻そう。初めにも書いたが、最高身長は西谷誠騎手の174cm。最低身長は松若風馬騎手の151cmとなっている。同じ騎手にも関わらず、実に23cmもの身長差が発生しているのだから驚きだ。

人数が多い身長グループの代表騎手を挙げながら列挙すると、
・1位 160cm(19人)福永祐一騎手
・2位 162cm(16人)池添謙一騎手
・3位 165cm(13人)北村友一騎手
・4位 163cm(12人)ルメール騎手
・5位 167cm(10人)三浦皇成騎手
である。

特徴的なのは、2位グループから5位グループまでが平均身長以上だという事である。身長が小さければ小さいほど、有利には働かないという事がここから分かった。身長が高かったとしても、体調管理ができれば何ら問題ないのである。

リーディング争いに注目してもやはり優劣はみられない

2020年の全国リーディングジョッキーを見てみると、(2月16日終了時点、短期免許のマーフィー騎手を除く)

1位 川田将雅騎手(159cm)
2位 ルメール騎手(163cm)
3位 武豊騎手(170cm)
4位 松山弘平騎手(167cm)
5位 藤岡佑介騎手(165cm)

となった。やはり、ここでも極端な身長の優劣は見ることができず、武豊騎手を筆頭に騎手の中では比較的長身の騎手がランクインしている。

身長が高い事で相対的に腕の長さも長くなる。典型的な例は169cmの長身と長い腕を武器に力強いダイナミックなフォームが特徴のビュイック騎手だ。高身長は体重調整が難しくなるが、武器も生まれるのである。

競馬界きっての長身軍団の奮起に期待

そんな中、2009年の現役騎手5人に注目したい。

2009年デビュー成績一覧ⒸSPAIA

なんと、彼ら5人の平均身長は平均を大きく上回る165.7cmなのである。騎手の世界では明らかに高身長の集団だ。デビューしてから10年以上経ち、成績も安定し始め自分なりのフォームも見つかったのではないだろうか。

2009年デビュー1着回数推移ⒸSPAIA

近3年間の数字を見ても着実に成績を伸ばしてきていて、特に丸山元気騎手は29勝→60勝→71勝と成績を年々伸ばし、松山弘平騎手は61勝→84勝→91勝と伸ばし、今年のリーディング争いにも顔をだしている。彼らの今年の奮起に期待したい。