【根岸ステークス】まさに匠の域 矢作調教師の戦術と本番惑星馬は?

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2月2日に東京競馬場で行われたのが
根岸ステークス
。1着馬にフェブラリーSへの優先出走権が与えられるトライアルレースは、初ダートだったモズアスコットがコパノキッキングを差し切って鮮烈な砂デビューを果たした。
安田記念を連闘で勝ったつかみどころがない同馬らしい意外性ある勝利ではあったが、まずはダートを試した陣営の勝利だろう。ダートから芝替わりは馬券作戦上、注目することはあっても芝からダートへの転戦、初ダートは嫌われがちなもの。
実際にフェブラリーSには初ダートの芝重賞ウィナーが毎年のように参戦し、惨敗を喫している。上級条件になればダートはダート専門というのがセオリーなのだ。
加えてモズアスコットの父フランケル産駒は根岸SまでJRA34勝中30勝が芝、ダートは1勝クラス以下で4勝のみと血統的なあと押しもない。そんな状況でダート挑戦は勇気あるローテーションだが、そこはレース選択に長ける矢作調教師。昨年のリスグラシューも含め、その手腕は光りまくっている。
このレースも東京ダート1400m巧者のドリームキラリを出走させる念の入りようだった。逃げるドリームキラリはコパノキッキング対策であり、キッキングが控えてくれるようならコース巧者のドリームキラリは簡単には捕まらない。流れに応じて自厩舎の馬に可能性が出てくるという仕掛けは見事に決まった。
スタートダッシュはスプリント戦中心のコパノキッキングが速かったが、大外枠からがむしゃらにハナを取りに行ったドリームキラリが来ると、コパノキッキング騎乗のマーフィー騎手はさっと控える形。以前に比べればコパノキッキングもかなり操縦性が上がっている。この先行争いもあり、3ハロン目に11秒6を記録して最初の600mは35秒0。昨年とまったく同じ記録。
モズアスコットは出遅れながら、ルメール騎手がその不利をそのままにはせず挽回するように追い上げて中団の外に付けた点が大きかった。昨年と同じペースであり、後方にどんぴしゃな流れではなかったわけで、中団で最後の直線を迎えたからこそコパノキッキングを捕らえられた。芝でも末脚が光る馬だが、切れるというより持続タイプで軽い馬場では鋭さ負けするシーンも多かった。マイルはGⅠ勝ちの舞台でもあるが、ベストは1400m。根岸Sは距離が適距離だったことも勝因だろう。負けて強しのコパノキッキングも末脚堅実な3着スマートアヴァロンも含めマイルへの距離延長はプラスとはいえない。
5着ワイドファラオはチャンピオンズC、14着以来でパフォーマンスを上げてきた。先行勢に向いた流れではなかったが、4角4番手から58キロを背負い5着。昨秋から長い距離を使われたが、やはりベストはマイル~1400mであり、本番に向けて惑星となりそうだ。














