コース紹介
今回は中山芝2000m攻略に役立つデータをご紹介。まずはコース紹介から。
4コーナーの終わりに設定されたスタート地点の直後から急坂を上り、400m程度直線が続く。その後2コーナー前まで上り、向正面の平坦な直線を走る。3・4コーナーのきついカーブを下ると310mの直線(直線距離は中央4場で最短)。2度目の急坂の先に栄光のゴールが待ち受ける。
2000mという王道の距離設定らしく、当該コースが舞台の重賞は中山では最多の6レース。グレード順に、GⅠは3歳牡馬三冠初戦の皐月賞、暮れの2歳中距離王決定戦・ホープフルS、GⅡは皐月賞の最重要ステップレースの弥生賞、GⅢは正月の伝統レース・中山金杯、その翌週に行われる3歳限定戦で、キングカメハメハが現役唯一の敗戦を喫したことでも知られる京成杯、秋華賞トライアルの紫苑Sが行われる(使用するデータは2009年12月26日〜2019年12月21日)。
率では中枠が有利だが…
枠別成績は横一線も、4・5枠が頭一つ抜けている。
しかし推奨したいのは8枠だ。回収率がそれぞれ4枠:単回率55%・複回率72%、5枠:単回率55%・複回率63%と平凡なのに対し、8枠は複回率こそ70%も、単回率は127%。2位の7枠:75%に大差をつけている。
枠による大きな有利不利はないにも関わらず、同距離で8枠が厳しい東京芝2000mなどのイメージに引きずられ、外枠が嫌われているのかもしれない。重賞でも過去10年の49レース中最多の12勝(勝率も枠別1位)。8枠はむしろ買える枠だと納得していただけるだろう。
脚質別成績ではセオリー通り先行が有利だが、他コースに比べて強調できるほどの数字ではない。
覚えておきたいのが重賞における逃げ馬の不振。19年京成杯ではラストドラフトが4コーナー先頭から押し切ったが、このコースでは09年弥生賞ロジユニヴァース以来、実に10年ぶりの逃げ切りだった。過去10年・重賞の4コーナー先頭通過馬の成績は【1-3-3-42】と苦戦。対照的に重賞×差しは【27-16-24-213】勝率9.6%/連対率15.4%/複勝率23.9%と全体成績を上回っており、評価を一段階上げる必要がある。
ルメール騎手が異次元の数字
複勝率順の種牡馬別成績ではディープインパクトが首位。僅差の2位だったハーツクライは複回率108%と、馬券妙味でディープを凌駕している。
3位のルーラーシップは18年サンリヴァル(9番人気2着)、17年ダンビュライト(12番人気3着)と皐月賞で2年連続穴を開けた。4位のキングカメハメハまでが複勝率30%を超えている。
皐月賞勝ち馬のネオユニヴァース、オルフェーヴル産駒は苦戦。オルフェーヴルは初年度産駒エポカドーロで皐月賞を制したものの、新馬・未勝利に限定すると【1-4-3-49】複勝率14.0%。単回率はわずか3%、複回率も29%にとどまっている。
騎手別成績ではルメール騎手が無人の荒野を行くがごとくの好成績。
勝率・連対率・複勝率ともに2位に20%以上の大差をつけ、単回率150%・複回率95%と逆らいようがない。両外国人ジョッキーに続き、戸崎圭太騎手・蛯名正義騎手が30勝超えと関東所属騎手の意地を見せた。表では漏れたものの、内田博幸騎手も【33-15-20-175】勝率13.6%と安定。単回率も97%を記録している。
藤沢和・国枝・堀を凌駕する加藤征弘調教師
調教師別成績では、ノンコノユメ・グレンツェントなどダート馬の印象が強い加藤征弘調教師が意外にも(?)複勝率トップ。
重賞こそ16年京成杯ケルフロイデの2着が最高も、2勝クラス以下で抜群の強さを発揮している。全体成績でも単複ともに回収率100%超えだ。ランキングには勝率首位の堀宣行調教師、連対率首位の萩原清調教師に加え、藤沢和雄・国枝栄両調教師と美浦の名トレーナーが並んでいる。
最後に中山芝2000mで3着以内に入った馬における、その他全レースの成績をコース別に紹介する。
京都芝2000mが勝率・連対率・複勝率全てにおいて首位。中山芝2000mと同じ右回り・内回りコース、スタート地点も似通っているコースだ。3位の阪神芝1800mは単勝回収率が200%を超えている。最下位は新潟芝1600m【20-21-20-174】複勝率26.0%だった。コース形態が全く違うだけにうなずけるデータだ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。