Aコースを使用予定
12月8日（日）にシャティン競馬場で行われる香港マイルに日本馬4頭が集結した。今年11月には芝1400mでレコードが出るなど、香港でも高速馬場化が加速している。先週のシャティン開催でも条件戦ながら芝1400mで1.21秒台が出るなど、速い時計で決着しそうだ。
最強マイラーとしての地位を確立しつつあったビューティージェネレーションが2連敗中とひと波乱もありそうな今年の香港マイルを、客観的なデータを交えつつ検討したい。
先週までのC+3コースとは打って変わって、当日はAコースが使用されコース幅が18mから一気に30mまで広がる予定だ。ここで17/18年シーズン以降、Aコース使用時のシャティン芝1600mの馬番別成績を調べてみると、1～3番の成績こそ平凡だが4番、5番がそれぞれ連対率29.7%、21.9%と、全体的に内目の馬番の成績が良好だ。
一方で外目の馬番の成績はもう一息といったところ。今年は10頭立てと少頭数ではあるが、外枠に入ったアドマイヤマーズやノームコアの評価は少し下げたい。今回内枠に入ったビューティージェネレーションやインディチャンプは素直に評価したい。
コースと展開から出走馬を紐解く
舞台となるシャティン1600mは平坦コースであり、ヨーロッパなどと比較すると時計も出やすく、テンが速い馬が優位である。過去5年のラップによると前後半のタイム差は小さいが、比較的ハイペースとなった18年や16年では差し馬が台頭した。
基本的には先行馬優位であるが、ペース次第で差し馬の出番もあると考えたい。今年は出走頭数が例年より少ない10頭立てである点や、どうしてもハナを主張したい馬が不在である点から、スローペースが予想される。
ペルシアンナイトやアドマイヤマーズには少し厳しいデータ傾向である。一方で、春秋マイル王である日本馬インディチャンプは内枠から好位を確保できそうで展開が向きそうだ。
“美麗”が3連覇を達成か
香港勢が他を圧倒している分、前走レース別成績ではジョッキークラブマイル組が圧倒的であるので、素直にここから選びたい。
本命はビューティージェネレーション。昨年は前後半の4Fを46秒台でまとめ圧巻の走りを披露した。連勝記録が途絶えた今年は能力を落としたことは否めないが、それほどペースが上がりそうもないことから素直に本命に据えたい。
外枠が懸念要素ではあるが、対抗は前走でジョッキークラブマイルを1.32秒台で制した香港馬、ワイクク。今年の香港ダービーで2着に入り、春はウインブライトが勝利したQEⅡCなどの中距離レースに出走していたが、今秋からは1400～1600mに出走し、香港マイラー界で頭角を現してきた。現役時代はスプリンターとして活躍し、種牡馬としても産駒の短距離志向が強いHarbour Watchの産駒であり、マイル適性は高いと見ている。55.5キロと斤量には恵まれていたが、トラックレコードに約0.2秒にまで迫った前走は圧巻の内容。今週の木曜に一時降雨があったものの、シャティン競馬場は各国の競馬場の中でも屈指の水はけのよさを誇ることから、芝1400mの条件戦で1.21秒台が出た先週と同様に時計が出やすい馬場が予想される。馬場傾向も本馬を後押ししそうだ。
単穴はインディチャンプを推したい。安田記念では極端なイン優位馬場の恩恵を受けて、マイルCSではペースが向いたような印象がある。いまいち素直に評価できないが、内枠から好位を確保できそうな点からこの評価としたい。
人気薄ながら大駆けがありそうなのがカーインスターだ。スタート次第ではハナにも行ける当馬はビューティージェネレーションと同様に展開が向きそうで、今回が初のGⅠ挑戦でも期待が持てる。
人気を集めそうな日本馬ノームコアだが、レコードを記録したヴィクトリアマイルでの勝利はイン優位の馬場を見事に生かした結果であり、骨折明けの富士Sもメンバーレベルに疑問が残る。マイル適性は十分だが平坦コースでの実績に欠けており、妙味も乏しいため「消」評価としたい。
▽香港マイル予想▽
◎ビューティージェネレーション
〇ワイクク
▲インディチャンプ
△カーインスター
消ノームコア
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。
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