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【ジャパンC】3億円を手に入れるにはGⅠ実績が必要 データ的に3頭に絞れるレース

2019 11/20 11:00門田光生
2019年ジャパンカップで本命に推されたスワーヴリチャードⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

外国馬ゼロは当然の帰結

39回目にして初めて外国馬の参戦がゼロ。この話題に触れないわけにはいかないだろう。年々少なくなる外国馬の参戦を促すために取った策は賞金の増額。しかし、これに関しては同じ国際レースを行っている香港やドバイもかなり高額な賞金を出している。ましてや、日本で当日に行われる国際レースは、ほかの国と違ってジャパンカップのみだ。

また、世界レコードが出るくらい高速化している芝も、参戦をちゅうちょさせている要因だろう。馬場適性に加えて長距離輸送のリスクを冒してまで参戦する外国馬がゼロになったとしても、何ら不思議なことではない。賞金の増額は有馬記念へ回し、日本の中・長距離馬が香港へ流出する事態を避けた方がいいのではないかとさえ思ってしまう。

もしくは、香港の前哨戦と割り切って、1日に香港と同じ数の国際レースを行うかだ。最も、今の日本の高速馬場を考えると、同日に複数GIを行っても外国馬がこぞって参戦するかどうかは微妙なところだが。

ちなみに、先週行われたマイルCSも外国馬の参戦が見られなくなって久しい。そのマイルCSはインディチャンプが好騎乗もあって快勝。いや、強かった。中距離馬ではなく、マイラーが勝ったことで「マイルチャンピオンシップ」の面目躍如といったところか。馬連で1着インディチャンプ-3着ペルシアンナイトをかなり厚めに持っていたが、久しぶりに予想が当たったので安くても悔しくはない……。

牝馬の好走率が高い

さて、過去10年のデータを中心にジャパンカップの傾向を見ていこう。 まず目立ったところでは牝馬が強いこと。

JC出走馬の性別成績ⒸSPAIA

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牡・セン馬146頭に対して牝馬は24頭と少ないが、何と牝馬が6勝している。勝ち馬にはウオッカやジェンティルドンナ、そしてアーモンドアイなど超一流の名前が並んでいるので、ある程度の実績も必要となってくる。

ちなみに、過去10年で勝ち時計が一番速かったのはアーモンドアイが勝った2018年、2番目が2009年のウオッカ、そして3位タイで2012年のジェンティルドンナ。時計勝負になると牝馬の切れとスピードが牡馬のそれを上回るということかもしれない。

JC出走馬の所属別成績ⒸSPAIA

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続いて所属。外国馬がたくさん出走しているが、ここ10年で3着以内に入った馬はゼロ。データに影響しないのは幸いである。日本馬は関東馬1勝に対して関西馬9勝と圧倒している。

先週のマイルCSも同様の傾向で、実際にダノンキングリーが圏外だった。今回も使えるかもしれない。最後に好走した馬は秋(9月以降)何走目だったか。

JC出走馬のローテーションⒸSPAIA

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前哨戦を使わず直接GIへ向かうことが選択肢の一つとなったのはここ数年のこと。以前は秋3走目、もしくは4走目がジャパンカップという馬が多かったが、最近は秋2走目がここという馬も少なくない。

ここ5年で3着以内に来た15頭を調べてみると、秋2走目で馬券に絡んだのが11頭、秋3走目は4頭。ちなみに、2009~2013年は秋2走目が6頭、秋3走目は8頭、そして秋4走目が1頭だった。前哨戦を使わず、秋はGIしか走らないのが最近のトレンドのようだ。

3億円を手に入れるにはGⅠ実績が必要

近年のジャパンカップは賞金の高さに反比例して質が落ちているのは間違いない。しかし、1着賞金3億円という世界でも屈指の高額GIである。ここ10年で9頭の勝ち馬がGI馬で、残る1頭もGI2着の実績があった。格下の馬がいきなり3億円を手にするというのはアメリカンドリームっぽくて嫌いではないが、ジャパンカップは過去に超一流がしのぎを削ったレースである。そんなレースにふさわしい馬が勝ってほしいというのが本音。

今年の出走馬でGI勝ちはシュヴァルグラン、スワーヴリチャード、マカヒキ、レイデオロ、そしてワグネリアンの5頭。GI2着馬はエタリオウとカレンブーケドール。勝ち馬はこの中から出るとみる。

牝馬が活躍という意味でカレンブーケドールは魅力だが、「関東馬」「秋3走目」とデータ的にマイナスが2つあって本命には推しづらい。一昨年の覇者シュヴァルグランはどうか。海外帰り緒戦で連対した例は何度もあるので問題ないが、前走のインターナショナルSが8月。数字上はこのレースが秋緒戦となり、これも割引材料。陣営も叩き良化型と公言しているし、ここ10年で6歳以上は連対なしというのも気になるところ。レイデオロも分の悪い関東馬でマイナス。

残ったのはスワーヴリチャード、マカヒキ、ワグネリアン、そしてエタリオウの4頭。中でも、ここにつながりそうな競馬をしたのはスワーヴリチャードとワグネリアンだが、今回はスワーヴリチャードを推したい。昨年もぶっつけで挑んだ天皇賞・秋(10着)からジャパンカップで3着ときっちり変わり身を見せた。いい方は悪いが、天皇賞・秋は叩き台で、今年もここ目標に照準を合わせてきた可能性が高い。こちらが思ったような成長曲線を描いていないのは気になるところだが、少なくとも昨年より相手が弱く、昨年を上回ることは十分可能だろう。

ワグネリアンは神戸新聞杯のあとに故障して休養。3走前の大阪杯は休み明け、2走前の札幌記念は落鉄、そして前走は内が有利な馬場での外枠と、一応の言い訳は見つかる。古馬になってからはまだ加減して走っているように見えるので、とにかく全力さえ出し切れば、今年のメンバーなら十分勝ち負けになるはず。ほぼ2頭で大丈夫と思っているが、好走率の高い牝馬のカレンブーケドールを加えた3頭に絞ってみたい。

◎スワーヴリチャード
○ワグネリアン
▲カレンブーケドール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。