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「最終週の外差し」はもう古い?夏競馬の最終週に見られる傾向とは

イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

「最終週は外差し」はもう古い?

札幌・新潟・小倉3場開催は今週で最終週。一般的に開催が進むにつれて芝コース内側の馬場状態が悪化し、外枠や差し馬が有利になると言われるが、その一方で、開催が進むにつれて、時計がかかるとも言われている。ただ、近年その傾向は変わってきているように思われる。

例えば昨年のジャパンカップでは開催最終週にもかかわらず6着馬までが従来のレコードタイムを更新するなど、昔の常識を覆すようなレースも見られる。今回のコラムでは2014〜2018年のデータを分析し、開催最終週にどのような傾向が出ているのかを調査してみた。

札幌は内枠過信に注意

まずは札幌の1・2回開催の成績を確認する(“最終週”は2回開催の最終週を指す)。

2014年〜2018年の1・2回札幌開催芝コース・枠別成績ⒸSPAIA

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札幌開催では枠別成績に大きな違いが出た。最終週を除いたデータでは、ラチ沿いを確保しやすく、経済コースを走りやすい内枠の成績が良い。実際にこの条件での枠順成績では2枠、ついで1枠が好調だ。

しかし最終週となると話は別で、1枠の成績は【2-11-10-81】で勝率はわずか2%、単勝回収率も8%にとどまる。最終週に限っては、内枠ばかり買っていると大損につながるのだ。

逆に最終週で狙えるのは8枠。上に挙げた表では内枠よりも結果が出ていることがわかる。さらに5番人気以内は【6-8-9-11】で複勝率68%を記録、単複回収率ともに100%を超える。最終週を除く8枠・5番人気以内は【37-41-16-102】で複勝率48%と、実に2割の差があった。札幌では最終週の外枠狙いは正しいと結論付けられる。

新潟名物のあのコースに金脈

続いて新潟。約1か月の間を開けて秋に3回開催が続くが、ここでは2回開催の最終週を分析する(2014年のみ2回開催に続き、中山開催の代替で3回開催が行われたため、3回開催最終週を分析)

2014年〜2018年の2回新潟開催・芝1000m成績ⒸSPAIA

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新潟開催において最終週で極端な成績の違いが出るのは新潟芝直線1000m。外枠有利が広く知られているこのコースでは、最終週になるとその傾向がさらに顕著になる。逆に内枠の1〜3枠はのべ54頭が出走して連に絡んだのはわずかに1頭。連系馬券では消して馬券の威力を高めたい。今週は土曜7Rの3歳未勝利戦、日曜12Rの雷光特別(1勝クラス)の2レースが予定されている。両レースでは外枠に入った馬から狙っていきたい。

新潟開催でもう一つ気になるのが脚質成績。差し脚自慢が台頭すると思いきや、意外にもデータは真逆の結果を示している。下の表は芝コースにおいて上がり最速を記録した馬の開催別成績だ。

2014年〜2018年の新潟芝・上がり3ハロン最速だった馬の成績ⒸSPAIA

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どちらも高水準の数字を記録してはいるものの、実は最終週の方が成績が悪い。よって、最終週だからといって差し馬の評価を上げすぎると痛い目に合いそう。

この傾向は直線の長い外回りコースに限定しても同様だ。実際、新潟開催のラストを飾るGⅢ・新潟記念でも、上がり最速をマークした馬の成績は【2-0-0-3】(開催最終週での施行でなかった14年のレースは除外)。昨年快勝したブラストワンピースなど勝ち馬も出ているが、全幅の信頼を置けるかというと疑問符がつく。

小倉の逃げ馬は下げ

最後に小倉開催をチェック。同様に2回開催のデータを見てみよう。

2014年〜2018年の小倉2回開催芝コース・逃げ馬の成績ⒸSPAIA

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枠別成績・脚質別成績では目立つ好成績がないものの、注意しておきたいのは逃げ馬の不振だ。表に挙げた通り、最終週はそれ以外と比べて勝率が半分以下まで落ち込む。直線途中で後続馬につかまるケースが増えるため、逃げ馬を単系馬券で狙うのは考えものだ。

コース別成績では芝2000mでの苦戦が目を引く。総じて先行馬有利の短距離戦も例外ではない点も見逃せない。

長かった夏競馬もいよいよ大詰め。終わり良ければすべて良し。夏競馬の最後を的中で飾って有終の美とし、気持ちよく秋競馬を迎えたい。

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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ 約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。