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安田隆厩舎がリーディング独走 躍進の陰にロードカナロア産駒あり

2019 7/31 17:00三木俊幸
2019年リーディングを得喪している安田隆行先生ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

年間最多勝利記録更新へと突き進む

2019年は7月28日終了時点で42勝を挙げ、2位の中内田充正厩舎に6勝差をつけて調教師リーディングトップを快走している安田隆行厩舎。今年の開催はまだ約5か月残っており、このままのペースでいけば2003年の藤沢和雄厩舎、2017年の池江泰寿厩舎が記録したJRAの年間最多勝利記録の63勝も射程圏内に入っていると言ってもいいだろう。そんな安田隆厩舎について詳しく分析していく。

まずは月別の勝利数について当時の藤沢和厩舎、池江厩舎と比較してみる。

2019年安田隆行厩舎、2003年の藤沢和雄厩舎、2017年の池江泰寿厩舎の月別勝利数ⒸSPAIA

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まずは2003年の藤沢和厩舎を見ていくと、2月に8勝を挙げて、一気に勢いに乗ったかに思ったが、3月は2勝とアップダウンが激しいスタートだった。その後4月から7月は5勝、6勝の月が続いて迎えた8月、なんと月間で10勝の大活躍。1勝しか挙げられない月もあったが、固め打ちが2回もあったのが特徴的だった。

2017年の池江厩舎は、1月に4勝とまずまずのスタートを切ると、夏場以降に2勝しか挙げられない月はあったものの、5〜7勝とコンスタントに毎月勝利を挙げていた。皐月賞をアルアインで、安田記念をサトノアラジンで、マイルCSをペルシアンナイトで制し、この年はGⅠレースで3勝と大舞台でも存在感を発揮した。

対する今年の安田隆厩舎は1月に6勝を挙げて好スタートを切ると以降、7勝、7勝、7勝、6勝、5勝、4勝。7月は4勝と最も少ない勝利数となっているだけに、夏以降どれだけ調子を落とさずにいけるかに注目である。

ちなみに、3厩舎が当時7月までに挙げた勝利数は藤沢和厩舎が34勝、池江厩舎が40勝、今年の安田隆厩舎が42勝と安田隆厩舎が最も勝ち星を挙げている。

3歳馬が全体の勝利数の半分を占める

そんな安田隆厩舎が毎月コンスタントに成績を挙げられている理由として、以下の面白いデータが見つかった。

2019年安田隆厩舎の年齢別成績ⒸSPAIA

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ダービー週の5月26日まで3歳限定戦が行われていたこともあり、出走数が96頭と最も多いのも理由の一つではあるが、現在通算42勝の半分にあたる21勝を3歳馬で挙げているのは驚きだ。現在の3歳馬の管理頭数は26頭とずば抜けて多いわけではないが、素質馬が多くそろっている。

NHKマイルC、2着のケイデンスコール、ユニコーンSで2着のデュープロセス、2勝クラスの相模湖特別を勝利しているカレングロリアーレなど、9頭が2勝以上挙げているのは異例と言ってもいいだろう。

2019年安田隆厩舎で2勝以上挙げている3歳馬ⒸSPAIA

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またその中には、4頭のロードカナロア産駒が含まれている。そこで厩舎全体ではどれほどのロードカナロア産駒が活躍しているのかについても調べてみた。

2019年安田隆厩舎の種牡馬別成績トップ5ⒸSPAIA

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16勝と圧倒的にロードカナロア産駒が活躍を見せている。2位以下のステイゴールド、ダイワメジャー、ブラックタイド、トーセンホマレボシ産駒はそれぞれ3勝ずつで、いかにすごい成績かということが見てとれる。 現在、安田隆厩舎に所属し、今年1走でも入ったロードカナロア産駒は20頭。3歳馬については先に紹介したとおりだが、古馬勢も今年のシルクロードSを制したダノンスマッシュ、プロキオンSで2着になるなど充実一途のミッキーワイルドなどがいるだけに、下半期もさらなる活躍が期待できそうだ。

ブランドを確立

2017年に産駒がデビューしてから3年目を迎えて238勝と、ロードカナロアがすばらしい成績を挙げているのは言うまでもないが、現役時代のロードカナロアを管理し、馬の癖や特徴などを知り尽くしている安田隆厩舎に委託するメリットが大きいと考えている馬主も多いのではないかと考える。

加えて、安田隆調教師の手腕や厩舎スタッフの日々の努力があることを忘れてはいけない。これらの好循環がさらなる信頼へとつながり、今後もロードカナロア産駒=安田隆厩舎というブランドを確立させていくことだろう。

(数字は2019年7月28日時点)