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GⅠ馬14頭 歴代3位の勝利数 キングカメハメハが残した功績

2019 7/17 07:00三木俊幸
イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

「マツクニローテ」の象徴的存在

現役時代の戦績は8戦7勝、NHKマイルCと日本ダービーの変則2冠を達成した「マツクニローテ」の象徴的存在だと言えるキングカメハメハだが、7月8日に体調不良により種牡馬を引退することが発表された。そんなキングカメハメハの功績について振り返っていく。

父はエルコンドルパサーなど、数々の名馬を輩出した大種牡馬キングマンボ。母マンファスが同馬を受胎していた時に日本に輸入され、ノーザンファームで産まれたのち、2001年のセレクトセールで8190万円という値段で金子真人氏によって購買された。

その後は栗東・松田国英厩舎から2003年11月にデビューすると、新馬、エリカ賞と連勝。3戦目となった京成杯で3着に敗れたが、結果的にこれが生涯唯一の敗戦となった。松田国調教師は皐月賞には目もくれず、種牡馬としての価値を高めるため、マイル戦のNHKマイルCと中2週で2400mの日本ダービーに挑戦するというローテーションを選択して、キングカメハメハも見事にその期待に応えてみせた。

しかし、秋緒戦となった神戸新聞杯を勝利したのちに屈腱炎を発症して引退。翌年から社台スタリオンステーションにて種牡馬入りすることとなった。

種牡馬として初年度から活躍

初年度の種付け料は600万円に設定された。サンデーサイレンスの血が入っていないこと、NHKマイルCと日本ダービーの両方を制した実力が評価され、種付け頭数は244頭であった。

そんな期待を受けて2008年に初年度産駒がデビューすると、いきなりフィフスペトルが2歳最初の重賞、函館2歳Sを優勝。その非凡な能力はしっかりと産駒にも受け継がれていることを証明してくれた。続く2009年にもローズキングダムが朝日杯FSを勝利して最優秀2歳牡馬に、牝馬部門ではアパパネが阪神JFを制して最優秀2歳牝馬に輝き、2歳部門を独占。

2010年にもローズキングダムはジャパンCを勝利(2着繰り上がり)、そしてアパパネは桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬3冠を制する活躍を見せ、その年の種牡馬リーディング1位を獲得した。

キングカメハメハ産駒成績ⒸSPAIA

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その後はディープインパクトの牙城を崩すことができず、2012年から2018年までリーディングでは2位が続いている。しかし、2014年以降は体調が整わないなどの理由もあり、産駒数が100頭を切る年もある中で、この成績はキングカメハメハがいかに偉大な種牡馬かということを証明するに値するものである。

7月14日現在で産駒の勝利数は1,821勝で歴代3位の記録。サンデーサイレンス、ディープインパクトに次ぐ記録でいかにすごいかが分かる。ちなみにGⅠ勝利馬(JpnⅠ含む)は14頭。重賞勝利数は114勝となっている。

世界的な名馬を輩出

数々の名馬を輩出しているキングカメハメハの産駒にはどんな馬がいたのかを振り返っていこう。

主なキングカメハメハ産駒ⒸSPAIA

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最も代表的な産駒としてロードカナロアを取り上げておきたい。4歳時の2012年、スプリンターズSを勝利したのちに、香港に遠征。当時、海外の馬では歯が立たないと言われるほどレベルが高かった香港のスプリント路線において、日本馬として初の香港スプリントを勝利する快挙を成し遂げた。

しかし活躍はそれだけにとどまらず、2013年には高松宮記念、安田記念を勝利。その後にスプリンターズSを連覇すると、引退レースとなった香港スプリントでも圧巻の走りで連覇を果たし、日本競馬史上最強のスプリンターと言える活躍を見せた。

その他では2015年にドゥラメンテが皐月賞に続いて日本ダービーを優勝。7世代目にして初めてダービー馬が誕生した。

後継種牡馬も大活躍

これらの活躍馬は現在では種牡馬となっている。特にロードカナロア産駒は初年度から牝馬3冠、ジャパンC、ドバイターフのGⅠ勝利を含む7連勝を飾ったアーモンドアイを輩出。産駒がデビューしてまだ3年目だが、リーディング4位とすばらしい活躍ぶりである。

ルーラーシップ産駒もキセキが今年の春のGⅠ戦線では安定した活躍を見せるなど、年々活躍の場を広げつつある。さらにドゥラメンテ産駒も今年のセレクトセールでは、1億円超えの高値で取引されるなど、評価は高い。

夢の途中でターフを去り、種牡馬としてここまでの活躍を見せてくれたキングカメハメハ。後継種牡馬も結果を残しており、種牡馬を引退してもその存在は色あせないだろう。