「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【宝塚記念】上がり平均は35.3 スタミナ比べの馬場に合うのは?

2019 6/22 07:00三木俊幸
本命に推されたレイデオロⒸ明石智子
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒ明石智子

先週末は上がりがかかる馬場

いよいよ上半期の締めくくり、宝塚記念が行われる。今年はファン投票1位のアーモンドアイの出走こそなかったが、GⅠ馬6頭を含む好メンバーがそろった。

しかし、近年は荒れる傾向にあり、馬券的に難しいレースとなっている。今年も例に漏れず、最後の最後まで本命を悩んでしまった。 そこで今回は、先週の馬場傾向、過去10年の優勝馬の傾向、馬券に絡んだ際に使った平均上がりタイムの3つのファクターから分析してみた。

まずは先週の馬場傾向を見ていこう。

6/15・16 阪神芝コースのレース傾向ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

6月15、16日の阪神競馬場は雨の影響もあり、芝コースは稍重でレースが行われた。その影響もあってか、時計は全体的にかかり気味で4レースが行われた1600m戦で比較してみると、ミエノウインウインが勝利した3歳以上1勝クラスで1:35.6、リステッド競走の米子Sでは1:34.7というタイムでの決着だった。

上がりタイムは2頭が33秒台の上がりを使ったが、全体の平均では35.0、宝塚記念が行われる内回りのレースに限ると35.5もかかっていた。今週末も雨の可能性もあり、狙うは34秒台後半での決着に強い馬を狙うのがいいかもしれない。

脚質については、土曜日は差し有利だったが、日曜日のレースでは5レース中4レースで逃げ・先行馬の活躍が目立っていた。

勝つためには4コーナー6番手以内

2つ目のファクターとして、過去10年の優勝馬の傾向について分析していく。

過去10年の優勝馬成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

馬場状態を見ると、良馬場が6回、稍重が4回という内訳になっている。タイムの比較では、2011年にアーネストリーがマークした2:10.1が最も速く、最も遅いタイムは2015年のラブリーデイの2:14.4だった。

ここで注目したいのは近3年の稍重で行われたレース。2013年から2015年にかけて良馬場で行われていたレースに比べて、いずれも速い決着となっている。

以前、函館競馬場でも2016年から馬場傾向が変わったという話をしたが、阪神競馬でもこのデータが当てはまっており、JRAの馬場管理技術が飛躍的に向上していることがわかる。

過去10年の上がりタイムの比較では、最も速い上がりを使ったのは2009年のドリームジャーニーの34.3、ついで2012年オルフェーヴルの34.7となっているが、平均すると35.3もかかっており、スタミナ比べの決着になることが多かったと言えるだろう。

通過順位では基本的に4コーナー通過時点で6番手以内にいないと厳しい。10番手以下から勝利したのはドリームジャーニーとオルフェーヴルのみという面白いデータが出た。この兄弟はいずれもコーナリングのうまさが際立っており、それが例外的な結果に結びついたのだろう。

上位勢は馬場適性の高い馬が多い

最後に3着以内の馬券圏内に好走した際に使った平均上がりタイムを見てみよう。今回は、ファン投票の上位7頭をピックアップしてみた。

3着以内に好走したときの平均上がりⒸSPAIA

ⒸSPAIA

最も速い上がりを使っていたのはリスグラシューの33.9、最も遅かったのはキセキの34.8だった。宝塚記念へと参戦してくるだけあってリスグラシュー以外でも、全て34秒台ということからも、今年の上位勢は馬場適性が高い馬が多い。

本命馬は3着以内の軸として期待

これらのデータから本命候補はレイデオロとアルアインの2頭。しかし、勝つということを考えると一長一短で決めきれない。そこで確実に3着以内に入りそうなレイデオロの方を本命とすることにした。

今までの平均上がりタイムは34.6だが、有馬記念では稍重の中35.4の上がりで2着となっており、雨が降っても問題なし。加えて、基本的には差し脚質ではあるが、好位からレースを進めることができ、もし後方からになっても自分から動いて行くこともできる。それが本命にする決め手となった。

対抗はアルアイン。距離は2000mがベストで距離延長に少々不安を感じるが、先行脚質と好走している時の平均上がりが34.7は魅力。ロスなく立ちまわることができれば、大阪杯に続いてGⅠ連勝の可能性も十分ありそうだ。

3番手は“最強の1勝馬”エタリオウ。横山典弘騎手との新コンビでどういう乗り方をするか全く予測がつかないが、なかなか勝ちきれないタイプだけに、スタミナ勝負の混戦になるのはこの馬にとってプラスに働くのではないだろうか。未知の魅力にかけてみたい。

以下、先行力を武器に安定したレースを続けているキセキに、好走時の平均上がりは35.3と上位人気馬に比べると劣るが、上がりがかかる展開になった場合にはスティッフェリオの出番があるとみて押さえておく。