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香港ダービー馬フローレはQEⅡでも通用するのか 香港チャンピオンズデーを占う

2019 4/28 07:00三木俊幸
フローレ,Ⓒ三木俊幸
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Ⓒ三木俊幸

日本でも馬券発売

4月28日、香港シャティン競馬場では香港チャンピオンズデーとして、3つのGⅠ競走が行われる。メインレースのクイーンエリザベスⅡ世C(芝2000m)には日本からウインブライト、リスグラシュー、ディアドラの3頭が、チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)にはナックビーナスが出走する。

また、日本馬の出走はないが、チャンピオンズマイル(芝1600m)には、昨シーズンの香港年度代表馬で現在7連勝中のビューティージェネレーションが出走。

6月2日に東京競馬場で行われるGⅠ安田記念(芝1600m)への出走の可能性もあるだけに3レースとも見逃せない。その中で、日本でも馬券発売が行われるクイーンエリザベスⅡ世Sとチェアマンズスプリントプライズの2レースについて、詳しく見ていこう。

ワーザー級の力を秘める

クイーンエリザベスⅡ世Cの注目点は、地元香港の古馬勢VS4歳勢の争いだ。古馬の大将格は、昨年暮れの香港ヴァーズ(芝2400m)と2月に行われた香港ゴールドC(芝2000m)を含む3連勝中のエグザルタント。

前走の香港ゴールドCでは、3コーナーで早めにまくり、そのまま押し切るという強いレース内容だった。5歳を迎え、本格化した今なら馬券圏内からは外れないだろう。

対する4歳勢は香港クラシックマイル(芝1600m)と香港ダービー(芝2000m)の2冠を制したフローレ、香港ダービーでは2着に敗れたものの力を示したワイクク、そして勝利こそなかったが香港4歳クラシックで安定した成績を残したダークドリームが出走してくる。

注目したいのは、やはりフローレだ。前走の香港ダービーでは好位の5、6番手を追走して抜け出すというレース内容で完勝。勢いに乗って国際競走へと挑んでくる。そこで、過去5年の香港ダービー馬は古馬相手に即通用しているのかということを調べてみた。

香港ダービー馬の成績,ⒸSPAIA

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過去5年の香港ダービー馬は全て、国際競走に駒を進めている。2015年のルガーと2017年のラッパードラゴン(前哨戦のチェアマンズトロフィーを挟んでの挑戦)はマイル路線のチャンピオンズマイルへと向かっているが、6着と残念ながら競走中止で予後不良という残念な結果に終わっている。

一方クイーンエリザベスⅡ世Cへと向かったのは、2016年のワーザーと2018年のピンハイスター。ワーザーは道悪馬場の中で見事に古馬を撃破して優勝しており、その後は年度代表馬にも選ばれるなど、香港を代表する馬にまで成長した。また日本の宝塚記念にも参戦して2着となったことは記憶に新しい。

即古馬に通用するとなると、ワーザー級の強さが必要だということだろう。ちなみに地元香港の記者に力関係を聞いてみたところ、現時点ではエグザルタントはフローレより強いとのコメントが返ってきた。

その意見には同調するが、結論としてフローレは“通用する”と考える。脚質に自在性がある点は強みであり、想像以上の力を秘めているのではないかと感じた。ワーザーの背中も知るボウマン騎手がどのような騎乗を見せてくれるのか、楽しみでならない。

豪・最優秀スプリンターをほうふつとさせる末脚

チェアマンズスプリントプライズは、前哨戦のスプリントCで好走した上位3頭はほとんど力差がなく混戦模様である。ミスタースタニングは香港スプリントを連覇するなど、この路線の大将格だ。近走は2、3着が多く勝ち切れないレースが続いているが、目標に定めたレースはしっかりと仕留める勝負強さを持っている。

ビートザクロックもミスタースタニングと常に互角の勝負をしており、いつ勝ってもおかしくない存在だ。そんな2頭を差し置いてスプリントCで勝利したのがラタン。それ以前は1400m以上のレースを使われていたが、1200mに距離を短縮してさらに良さが出たと言ってもいいだろう。

しかし、今回はオーストラリアから強力な刺客が参戦してくる。それはサンタアナレーンだ。前走のオーストラリア・ランドウィック競馬場で行われたTJスミスS(芝1200m)では、並みいる快速馬が出走した中で最後方から一気に差し切るという強いレースでGⅠ5勝目を挙げた。

チェアマンズスプリントプライズの脚質別成績,ⒸSPAIA

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過去5年のチェアマンズスプリントプライズの脚質別成績を見ると、6番手以下から差し切った馬は2016年に同じくオーストラリアから参戦したシャトークアのみと厳しいデータが見られるが、サンタアナレーンもシャトークアをほうふつさせる末脚を持っていることから、通用するとみて狙ってみたい。