外枠有利、脚質は極端でも大丈夫
先週の大阪杯。当週はあいにくの空模様で、土曜日の時点で馬場がかなりぬかるんでいた。日曜も稍重の発表以上に悪かったようだ。
芝のレース、特に大阪杯と同じ内回りは内枠、そして先行馬有利が顕著。雨馬場が苦手な上に外枠を引いた我が本命馬、ペルシアンナイトには厳しい条件となってしまった。
逆に次点のアルアイン、エポカドーロは脚質、そして枠も絶好であった。当初予定していたペルシアンナイトからの馬券に加え、悩んだあげくに追加購入したのはエポカドーロの方。大阪杯のコラムでアルアインを「上積みの大きさは一番かも」と評したのにである。二択も当たらないようでは末期症状だ。
といって落ち込んでいるわけにもいかない。クラシック第1弾、桜花賞が目の前に迫っている。ここを当てれば流れが変わるはず。そう信じて今週も頑張ってデータ分析していく。
その桜花賞が行われる阪神競馬場は2006年末にコースの大改修を施工した。同じ右回りでも、全く別物と考えていいだろう。よって、今回は外回りコースで施行された2007年以降のデータを参考に組み立てることにする。
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まずは枠順。改修前は1コーナー奥のポケット(コーナーの奥まった場所)からスタートしていたので、外枠、特に先行馬は不利とされていた。多頭数ならなおさらである。だが、今はスタート位置が向正面に変わり、3コーナーまでの距離が長く、枠順の有利不利はだいぶ解消された。実際、2007年以降に行われた、阪神芝1600mの16頭立て以上のレースを調べると、枠順の有利不利はほとんどなかった。
ところが、桜花賞に限れば内枠が圧倒的に不利というデータが出ている。1、2枠から勝ち馬が出ておらず、2枠に限っては連対馬すら出ていない。
それはなぜか。多頭数だと馬群に閉じ込められやすいからだと推測できるが、上記に書いたように平均するとそうでもない。もしかすれば桜花賞は連続開催の3週目で、内の馬場が荒れていることが影響しているのかもしれない。
先週の大阪杯は仮柵を出したばかりで内有利だったが、果たして今週はどうなるのか。いずれにしても推測の域を出ず頭を悩ませるところだが、桜花賞に関しては内枠不利というデータは覚えておいて損はないはずだ。
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続いて脚質。逃げと追い込みという極端な脚質の馬の成績がいい。以前は、外の馬たちは少しでもコースロスをなくすため、ある程度出していくので、前半がかなり速くなる「魔の桜花賞ペース」という言葉もあったが、今では死語に近く、外回りになってからは前半33秒台を記録することすら珍しい。
要するに上がり勝負が多くなったわけだが、遅いペースを味方に付ければ逃げ切りが可能だし、逆に直線の長い外回りコース、外の方がいい馬場で、追い込みもまた可能ということか。ちなみに、逃げた馬が連対した時は前半の3ハロンが35秒以上かかっていた。スローなら逃げ馬、平均以上に流れると考えるなら追い込み馬を中心に考えるのがよさそうだ。
アーモンドアイは規格外
続いてキャリア別成績と、前走別成績を見てみる。
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キャリア3、4戦で挑んだ馬の成績がいい。また、ステップレースはチューリップ賞を使った組が抜けている。1勝を挙げるに手間取らず、浅いキャリアでチューリップ賞を使える素質馬が狙い目といえる。
なお、昨年の勝ち馬アーモンドアイはシンザン記念を使って桜花賞を制覇。ローテーション的にも異例で、この時点ですでに規格外だったといえる。また、少ないながらもエルフィンSやフィリーズレビューからも勝ち馬が出ている点にも注目したい。
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最後に桜花賞に強い種牡馬を系統別に分けてみた。サンデーサイレンス系が8勝とほかを圧倒。続いてキングカメハメハ系(本来はミスタープロスペクター系に分類されるが、キングカメハメハの系統しか勝っていないので)。この2つの系統以外はマイナス。
残ったのは4頭。中でも……
前哨戦別に振り返ってみる。
まずは7年連続で連対馬を出しているチューリップ賞組から。レースは1番人気のダノンファンタジーが貫録を見せて優勝。2、3着には勝負駆けだったシゲルピンクダイヤ、ノーブルスコアが入った。実はチューリップ賞で1番人気した馬は、着順にかかわらず6年連続で馬券圏内に入っている。
本来はダノンファンタジーを中心に組み立て異議なしなのだが、何度レースを見返しても魅力に映るのは2着のシゲルピンクダイヤの方。前走も決して順調な過程ではなかったようだが、直線入り口で待たされる格好から勝ち馬を追い詰めた足は間違いなく一級品。外を回って追い込む姿は、まさに最近の桜花賞の必勝パターンとダブる。
ただ、今年の桜花賞は前走で逃げた馬がいないというメンバー構成。ダノンファンタジーは前走で見せたロケットスタートがあり、その気になればハナも切れるはず。データで「逃げ馬、追い込み馬の成績がいい」と出ていたので、予想通りスローペースになった場合はダノンファンタジー、流れた時はシゲルピンクダイヤ。ともにキャリア、血統ともデータをクリアしており有力候補といえるだろう。
続いて好走確率の高いクイーンC、フィリーズレビュー組はどうか。まずクイーンC1着のクロノジェネシスはダノンファンタジー以外には負けておらず、実績は文句なし。ビーチサンバも暮れの阪神JFでダノンファンタジー、クロノジェネシスに続いた馬。能力は申し分ない。そして、両馬ともキャリア3~4戦と好走データに合致する。
ただ、クロノジェネシスは父系が引っかかる。父バゴは2着(2010年オウケンサクラ)こそあれ、ブラッシンググルーム系は勝ち馬を1頭も出していない。ビーチサンバは11年前の勝ち馬レジネッタと同系だが、ここ10年で見るとやはり1頭も勝ち馬が出ておらず、全てを満たしているチューリップ賞の上位2頭とは差をつけるべきだろう。
フィリーズレビュー組は最多の6頭が出走だが、うちアウィルアウェイを除く5頭が理想のキャリア(3~4戦)でない。残ったのはアウィルアウェイ。フィリーズレビュー組が馬券に絡んだ近3年がいずれも1番人気に支持されていた馬で、この馬もフィリーズレビューで1番人気。父もサンデーサイレンス系なのでデータを満たしている。
もう1頭挙げるとすればアクアミラビリス。エルフィンSの勝ち馬が桜花賞を制したのは2011年のマルセリーナ以来いないが、新馬→重賞で負け→桜花賞というローテーションが全く同じ。また2016年の勝ち馬ジュエラーと父が同じで、母系も同様にフランスを中心とした欧州の重い血統で構成。これだけ似通っているなら外せない。前走の勝ち方を見ると、アーモンドアイとまでは言わないが、かなりの大物になる可能性を秘めている。
人気が予想されるグランアレグリアだが、今年の緒戦が桜花賞。あのアーモンドアイでさえ年明けのシンザン記念を使っていた。さらに、クラシック第1弾、そして藤沢和厩舎で思い出されるのは、古くはスティンガー(阪神JF1着→桜花賞12着)、最近ではレイデオロ(ホープフルS1着→皐月賞5着)と、どうもクラシック初戦にいい記憶がない。ちなみに、両馬とも叩いた次走を勝利。この馬も次が狙い目だろう。
まとめると、候補はダノンファンタジー、シゲルピンクダイヤ、アウィルアウェイ、そしてアクアミラビリスの4頭。このBOXがお勧めで、枠順を加味して外枠に近い方を厚めに買うのが正解か。
そう、これが正解とはわかっているが、これまでの負債を帳消しにするため、本番で最も人気がなさそうなシゲルピンクダイヤから買いそうな自分がいそうで怖い。ともあれ、今年の桜花賞もレベルが高そう。いろいろな意味で本番が待ち遠しい。
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。