アーモンドアイに不安点?
昨年の日本競馬界を牽引した1頭は、間違いなくアーモンドアイだった。年間5戦を全勝、牝馬三冠制覇、ジャパンカップでの圧勝、年度代表馬選出。そんな数々の記録を打ち立てた。
2019年初戦となるドバイターフは、日本馬が4勝(アドマイヤムーン・ジャスタウェイ・リアルスティール・ヴィブロス)を挙げている得意の舞台なだけあって、勝敗ではなく「どのような勝ち方をするか?」に焦点があたっている節すらある。
しかしデータから見ていくと、アーモンドアイの前に2つの壁が立ちはだかっているようだ。
今回はドバイ4競走(ドバイWC、ゴールデンシャヒーン、ドバイシーマクラシック、ドバイターフ)の過去データから、アーモンドアイのドバイターフ制覇にあたって、逆境となるものを紹介していく。
血統の壁
言わずと知れた名種牡馬・キングカメハメハ。2年目の産駒から三冠馬アパパネやJC・朝日杯などを制したローズキングダム、海外GⅠを制覇したルーラーシップらを輩出。さらに翌年の産駒からは近年最高レベルのスプリンター・ロードカナロアが登場している。ダービー馬もドゥラメンテ・レイデオロの2頭を輩出しているように、日本競馬界の誇る歴史的名種牡馬である。
ルーラーシップとロードカナロアが香港GⅠを制覇しているため、それほど海外遠征が苦手なイメージのないキングカメハメハ。ところが、ドバイとなると、キングカメハメハの血を持っている馬が勝利したことはない。

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2017年のダービー馬レイデオロは、ジャパンカップで2着など実力を示してからの遠征だったが、それでもシーマクラシックで4着。同じくダービー馬のドゥラメンテも、皐月賞・ダービー・中山記念と、けがによる間隔をあけながらの3連勝中に臨んだシーマクラシックで、2着と惜敗している。さらに、5歳で香港GⅠを制覇したルーラーシップは、4歳時に日経新春杯快勝からドバイに挑んだものの、6着に敗れている。
これまでリアルスティールやジェンティルドンナ・ヴィブロスなど多くのドバイ活躍馬を輩出したディープインパクト系の馬に比べると、キングカメハメハのドバイでの実績は物足りないものとなっている。
「父キングカメハメハ」だけでなく、「母父キングカメハメハ」のモズカッチャンやデニムアンドルビーも負けていることから、その適性の低さがうかがえる。ディープインパクト産駒のこれまでのドバイ遠征馬で唯一、2桁着順に敗れているのが母父キングカメハメハのデニムアンドルビーという点も注意したい。
ロードカナロア産駒のアーモンドアイにとって、キングカメハメハは祖父にあたる。キングカメハメハの血が、今週末はどのように作用するのだろうか。
年齢の壁
これまで多くの才能豊かな4歳牝馬がドバイに挑戦してきた。しかし、明け4歳はまだまだ繊細さのある時期で、牝馬であればなおさらだ。日本馬の活躍により身近になったドバイ遠征とはいえ、非常に長い時間の移動が必要な大遠征となる。これまで4歳牝馬として勝利を挙げているのは、ヴィブロスただ1頭。
ここでこちらの表をご覧いただきたい。

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阪神JF・桜花賞・オークスと3つのGタイトルを提げて遠征したブエナビスタは2着。それも、3歳年末の有馬記念で2着、古馬初戦の京都記念ではドリームジャーニーらを相手に快勝しての遠征であった。
また、アーモンドアイと同じく牝馬三冠を制覇してジャパンカップも勝利したジェンティルドンナも2着。こちらはジャパンカップで、あの三冠馬・オルフェーヴルに競り勝っているという素晴らしい実績を持っていたが、それでも勝利には届かなかった。それまで1年以上負けなしだったジェンティルドンナはドバイでの敗戦後、宝塚記念・天皇賞秋と連敗を重ねることになってしまった。
他にも、ウオッカの4着・ハープスターの8着など、多くの活躍馬がドバイの地で悔しい思いをしている。
果たして天才少女・アーモンドアイは、そうした逆風を乗り越えられるのだろうか。
注目して、その出走の瞬間を見守りたい。