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大阪杯は4つのデータが合致した馬から勝負 ブラストには大物の相が出ている?

2019 3/28 11:00門田光生
ペルシアンナイト,ⒸJRA
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ⒸJRA

GⅡ時代とは別物

先週の高松宮記念。以前に金鯱賞を展望した時、「リニューアル後の中京競馬場は内、外枠のどちらかに好走馬が偏る傾向にあるが、こればかりは朝からレースを見て、どこの枠がよく来ているかを見極めるしかない」と書いた。

当日は同レースを含めて芝の短距離戦が3鞍組まれており、5R(芝1400m)は⑥⑧⑦、10R(芝1200m)に至っては⑥②⑤③④が掲示板。明らかに内有利の様相であった。当欄で推奨した馬はほとんどが外枠。嫌な予感しかしなかったが、結果は③④⑦。やはりというか、きれいに内枠で決まった。データ通りではなかったから、あれだけ荒れた(3連単約449万)ともとれるのだが、何かヒントになるものを提供できなかったかと自問自答。厳しい戦いが続く。

さて、今回の大阪杯はGIに昇格してまだ3年目である。天皇賞・春や香港へのステップレースだったGⅡ時代と、現在のGⅠでは意味合いが全く違ってくる。とはいえ、過去2年だけのデータではさすがに心もとない。というわけで、今回はローテーションやステップレースより、この条件に強い種牡馬や人を焦点に当ててみたい。

阪神芝2000mの種牡馬成績,ⒸSPAIA

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阪神芝2000mの母の父の成績,ⒸSPAIA

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阪神の芝2000mに強い種牡馬は上記の通り。おなじみの種牡馬がズラリと並ぶ。内回りだとステイゴールド、ハービンジャーがランクインするのもいつもの光景。これでは面白くないので、母の父も調べてみた。すると、サンデーサイレンスが他馬を圧倒しているのが見て取れる。父系だけでなく、母系に入っても影響力が強い種牡馬といえる。また、Singspielの勝率20%超えも特筆すべき数字だ。

まくりが決まる条件

次に人に焦点を当てたデータを見てみる。

阪神芝2000mの騎手成績,ⒸSPAIA

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阪神芝2000mの調教師成績,ⒸSPAIA

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阪神競馬場なので、騎手・厩舎の場合はどうしても栗東所属が上位にきてしまう。美浦所属に不利なのは間違いないが、このレースもGIに昇格したここ2年は栗東所属の騎手・厩舎が3着以内を占めている。GⅡ時代に広げても、やはり栗東有利は揺るがず、このデータは有効とみたい。

騎手は川田騎手がトップ。ただ、勝率や連対率ではM・デムーロ騎手やルメール騎手も負けていない。厩舎はリーディング上位の厩舎がこの条件でも成績がいいようだ。

阪神芝2000mの脚質(全クラス)成績,ⒸSPAIA

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阪神芝2000mの脚質(オープン以上)成績,ⒸSPAIA

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今度は脚質を見ていただきたい。直線の短い内回りだけあって、やはり逃げ、先行馬が強い。オープン・重賞に限っても同様だが、サンプル数が少ないとはいえ、まくりの勝率、連対率ともにいい。今年はキセキというよどみのないペースで逃げる馬がいるので、機動力は大きな武器となるかもしれない。

ひと叩きした実績馬が狙い目

最後に、GIに昇格してから2年分のローテーションを見ていただきたい。

大阪杯過去2年成績,ⒸSPAIA

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キタサンブラック以外の全馬が前々走にGIを使い、かつその年の緒戦をひと叩きして本番へ向かっている。キタサンブラックに関しては、当時「春のGIを全て勝つつもりで仕上げた」とコメントしていた記憶がある。このレースが緒戦の馬は、GI3連勝を意識できる器かどうか見極める必要がある。

データが出そろったところでまとめに入る。今回は
①種牡馬および母の父
②騎手・厩舎
③脚質
④ローテーション
の4つが加点要素になる。

まず①だが、ここではじかれる馬はルーラーシップ、オルフェーヴル、ロードカナロア産駒と比較的新しい父の馬。ただ、サンプル数が少なくて勝ち星で上位に入っていないが、勝率や連対率は悪くない数字を残しているので、大きな減点材料とはいえない。母の父でサンデーサイレンスが入っているエアウィンザー、ペルシアンナイト、ムイトオブリガードの3頭は高い得点を与えていい。

②は川田騎手騎乗のキセキ、M.デムーロ騎手騎乗のペルシアンナイト、福永騎手騎乗のワグネリアン。厩舎はアルアイン、エアウィンザー、エポカドーロ、キセキ、ダンビュライト、ペルシアンナイト、マカヒキ、ワグネリアンが加点対象。

③だが、差し馬といえるのはマカヒキぐらいで、あとは先行力のある馬。ただ、キセキが速いペースで逃げると前が苦しくなり、まくる機動力がある馬の台頭も考えておきたい。

④に該当するのはアルアイン、エポカドーロ、ステルヴィオ、ペルシアンナイト、マカヒキの5頭。

今年はキタサンブラック級の大物がいるのか?

上記で最も名前が出てきたのはペルシアンナイト。昨年の2着馬でコース適性は言うまでもなし。前哨戦の金鯱賞も印象的で、ずっと引っ掛かっていたのに、最後までじりじり伸びていた。ドバイ週にもかかわらずM.デムーロ騎手が日本に残って騎乗するというのも勝負気配に思える。今回はデータと自分の思いが重なったので迷わず本命。

次位はアルアイン、エポカドーロ。ともに大きな減点はなし。くしくも両馬とも皐月賞馬。今回に似た舞台でのGI勝ちは心強い。アルアインは前走、勝負どころで惨敗かの手応えからよく5着まで盛り返した。上積みの大きさは一番かも。エポカドーロの前走は切れ負け。予想通りペースが速くなれば、皐月賞で同じような展開を制した経験が生きてくる。

押さえ候補はステルヴィオ、エアウィンザー。ステルヴィオは距離、エアウィンザーはGⅠ経験の点で微妙だが、データからは上記3頭に続く存在。相手を絞りたいなら、今回は見送るのも一つの手だろう。

問題はぶっつけで挑んでくる馬。要するにキタサンブラック級の馬はいるのか、ということだが、今回の馬の中では間違いなくブラストワンピースだろう。

有馬記念を制した3歳馬,ⒸSPAIA

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上記は、ここ20年で有馬記念を勝った3歳馬を表にしたもの。ほとんどが以降にGⅠを勝ち、種牡馬になっている名馬ばかり。ブラストワンピースには明るい未来が待っているのは間違いない。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。