「香港スプリント=高松宮記念」ではない?
反省は大事だが、最近は振り返るのがつらい。阪神大賞典はばっさり切ったシャケトラが快勝。前2頭がやり合って上がりがかかる展開になったのが一番の勝因だが、普通に走っても今回のメンバーなら勝っていた気がする。
ただ、やはり内回りでこその馬と意を強くした。天皇賞・春に出走してくれば、今度こそいいカモになるはず。まあ、カモ(=筆者)が何を言っても説得力はないが…。2着のカフジプリンスはデータで推奨していたハーツクライ産駒だったが、格下だと軽視してアドマイヤエイカンを選択したらまた裏目に出た。データのみで考える時は感情を入れては駄目と反省。AIのような機械の心がほしい。
さて、今週はGI高松宮記念である。どのレースも当てたいのは同じだが、GIだとより力が入るのは仕方のないところ。
さっそく予想に入る。まずは高松宮記念と香港スプリントの関係性から。
香港スプリントに初めて日本馬が挑戦したのは2001年のダイタクヤマト(12着)とメジロダーリング(13着)。以降、ロードカナロアが現れるまで馬券に全く絡めなかった。そのロードカナロアの引退後、香港スプリントで3着以内に入ったのは2014年のストレイトガール(3着)だけ。同じ国際レースであるマイル、ヴァーズ、そしてカップでは日本馬でも通用しているので、日本のレベルが低いわけではない。すなわち、このカテゴリーにおいて香港馬が強すぎるのだ。
とにかく、香港のスプリンターはガタイがいい。まさに重戦車である。日本馬とは根本的な何かが違う。以前からそんな印象を受けていた。
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上記は過去10年の高松宮記念で馬券に絡んだ馬の馬体重である。大型馬がスプリント戦に強いのは各国共通のようで、過去10年で449キロ以下の馬が1頭も3着に入っていない。ある程度の馬格があることは最低条件といえる。
王道は3つのレース
下記の表を見て分かるように、馬券圏内に来た馬の中で、前走シルクロードS、阪急杯、そしてオーシャンSを経由してきた馬が圧倒的に多い。
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ここ2年は他路線からの馬が馬券に絡んでいるとはいえ、勝ち馬となると、ここ10年全てが3競走をステップレースにしていた。
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また、上記の表を見て分かるように前走で人気になればなるほど成績がよくなっている。着順も同じで、勝った勢いそのままに本番でも好走しているパターンがよく見られる。ただ、なぜか前走3着馬の成績だけがよくない。ここ10年で17頭が出走し、好走したのは2012年サンカルロだけ。理由はよく分からないが、データ的には減点材料といわざるを得ない。
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最後に中京1200mに強い血統を。なお、このデータだけはリニューアル後の2012年以降で調べている。勝利数ではサクラバクシンオーが1位だが、勝率、連対率ではディープインパクトに軍配。さすがは万能種牡馬である。
全てが合致するナックビーナス
ここでまとめに入ってみたい。
①体重が450キロ以上
②前走がシルクロードS、阪急杯、オーシャンSのうちどれか
③前走が1、2番人気かつ1、2着
④中京の1200mに強い種牡馬を父に持つ
4項目。これら全てを満たす馬が1頭だけいた。それはナックビーナスである。
ナックビーナスは重賞1勝に対して2、3着3回ずつ。未勝利脱出にも少し時間がかかったように、いわゆる「相手なり」に走るタイプ。昨年のこのレースで3着に来ているようにGIでも力は足りるが、正直頭では狙いづらい。今回は連軸として推したい。
新鋭ダノンスマッシュは④の条件を満たしていないが、父はまだデビューして2年しか経っておらずランキングに入らないのも仕方なし。
しかし、サンプルが少ないながらも勝率、連対率とも20%を超えていて、上位と比べてもそん色ない数字をたたき出している。その父ロードカナロアはおそらく2000mまでは守備範囲内だったのではないかと思っているが、「スプリント王者」としてのロードカナロアで見れば、このダノンスマッシュが一番らしい産駒かもしれない。それに、調教師は父も管理していた安田隆調教師。この産駒の仕上げ方を一番よく知っているはずだ。
オーシャンSを1番人気で勝利したモズスーパーフレアも④の条件を満たしていないが、外国産馬なので仕方がない。このレースはキングカメハメハやアドマイヤムーン産駒が勝っていて、ミスタープロスペクター系と相性は悪くないのだが、同馬はよりスピードに特化した血統。軽い芝に適性があるように思える。この高松宮記念はここ5年、良馬場で行われたのは2回だけ。力の要る馬場になると不安だが、データ的には減点対象が少なく相手には押さえておきたい1頭だ。
あと1頭挙げるならレッツゴードンキ。この馬も条件をほぼ満たしているのもあるが、昨年はデータ上で不利とされている他路線(フェブラリーS)からの参戦で見事2着。今年は王道の阪急杯をステップレースに選択。昨年以上の結果を出しても驚かない。
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。