実績馬より本気度
2週前に行われた中山記念は中山巧者のウインブライトがGⅠ馬を一蹴した。どのGⅠ馬を本命にするか悩んでいた自分が恥ずかしい。思ったのは、前哨戦はGⅠ馬にとっては叩き台。そこに照準を絞って勝ちにきた馬とは本気度が違うということ。全ての前哨戦がそうではないが、今回はあえてその反省を踏まえて金鯱賞に臨みたい。
さて、その金鯱賞だが、ここ10年で3回も施行時期が変わっている。共通点があるとすれば、いずれもGⅠの前哨戦という意味合いが強いこと。2011年までは宝塚記念、2012年から2016年までは有馬記念、そして2017年からは大阪杯のステップレースとなっている。
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上記は金鯱賞で馬券に絡んだ馬の最高実績(勝った場合のみ)を表にしたものである。過去5年を見ると、4年連続でGⅠ馬が出走しているにもかかわらず連対はなし。昨年、サトノダイヤモンドが3着に入ったのが最高である。このことからも、今年の中山記念と同様、GⅠ馬よりここを狙いにきた馬で勝負するのが正解といえるのではないか。
早起きは三文の徳
中京2000m芝に強い種牡馬は以下の通り。
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1位は今回もディープインパクトだが、勝率でいえばキングカメハメハの数字がいい。ハーツクライ、ステイゴールドもディープインパクトとそん色のない数字である。この条件はディープインパクトの独壇場ではないようだ。
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今週から中京競馬が開催されるということで、開幕週の中京芝2000mに絞って枠順の有利不利を調べてみたが、面白いデータが出た。
連対率は6枠を除いて似ているが、勝率は内、外の数字がよく中枠がひと息である。改修後の中京競馬場は時計の出方や直線でどこが伸びるのか、走ってみないと分からない印象があったのだが、まさにその通り。好走馬は内、外枠どちらかに偏る傾向にあるが、こればかりは初日の1レースから映像を観て、どこの枠がよく来ているかの傾向を見るしかない。「早起きは三文の徳」ということわざを信じてみるとする。
全ての条件を満たすのはエアウィンザー
最後に過去の上位馬のローテーションを。
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前走がGⅠなら着順は関係なし。GⅡ以下だと好走していることが条件となりそう。
データを踏まえて①GⅠ勝ちがまだない、②中京芝2000mで最も勝率がいいキングカメハメハ産駒、③前走がGⅠか、もしくはGⅡ以下なら好走馬、というのが条件となる。
今回の出走馬で全て当てはまるのがエアウィンザー。初重賞勝ちとなった前走はテンから仕掛けて位置を取りに行き、縦長の展開をリズムよく追走。直線入り口で射程圏に入れ、加速がつくと一気に抜けた。母は秋華賞を勝ったエアメサイアで、良血馬がいよいよ本格化かと思わせる強い内容だった。
スズカデヴィアスは③の前走着順がマイナスだが、それ以外はクリア。2年前にこのレースで3着、左回りの芝2000mは新潟大賞典を勝っている得意の条件。地元馬主の馬でもあり、ここを目標に仕上がりに抜かりはないか。
タニノフランケルはデータの少ないフランケル産駒だが、それ以外の条件は満たしている。偉大な母ウオッカの背中は遠いが、自身も着実に階段を上っている。
今回、GⅠ馬のアルアイン、ダノンプレミアム、モズカッチャン、リスグラシューは目をつむって消し。エアウィンザーからスズカデヴィアス、タニノフランケルの2頭に絞ってみたい。
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。