近年増えた「馬主×騎手」のコンビ
昔は騎手がどこかの厩舎に所属するのが当たり前だった。所属厩舎の馬に乗り、その厩舎の馬でGⅠを目指す。これが騎手の形だったが、時代の変化とともに、現在ではどこかに所属している騎手の方が少なく、所属なしのいわゆる「フリー」というのが一般的となった。
その「フリー」が出てきてからも若手時代にお世話になった厩舎の馬に乗ったり、ひいきにしてくれる厩舎の馬に乗ったりした時代もあった。このように競馬界には「厩舎×騎手」のタッグというのが長く続いたが、最近では少し変わってきた感がある。
それが「馬主×騎手」というタッグだ。いわゆる、ひいきにしてくれる馬主がいる騎手が増え始めたように感じる。そこで、2018年はどの「馬主×騎手」のタッグの成績が良かったのか調べてみた。
ルメール騎手は社台系と好相性
今回は上位騎手がどの馬主と相性がいいのかチェックしてみたい。
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上記は昨年の騎手の勝ち星ランキングである。まずはルメール騎手から見ていこう。
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ここでは3位まで載せているが、5位までが社台系のクラブ。6位に金子真人ホールディングス、7位にグリーンファームが入ってくるが、社台関係者である吉田和美氏、吉田勝己氏も上位におり、10位以内に8馬主が社台系となった。昨年の乗鞍772回に対して、社台系の馬に乗った割合が約半分あり、社台グループがいかにルメール騎手をひいきにしているのかが分かる。
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次はデムーロ騎手。成績を見ると、ルメール騎手にはない特徴がある。それは同じ社台系クラブのGⅠレーシングが3位に付けている点だ。ちなみに、ルメール騎手はGⅠレーシングの馬には14回乗って1勝しかしておらず、意外に相性が悪く、そもそも乗鞍自体が少ない。
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デムーロ騎手の注目は社台系以外の馬主とも相性がいいこと。金子真人ホールディングス、近藤利一氏、ゴドルフィン、サトミホースカンパニーの馬に乗った時は全て連対率が50%を超えており、なおかつ回収率もいいので、見つけた時には注意しておきたい。また、表以外では近藤英子氏、原禮子氏の馬に乗った時の回収率がいい。
福永騎手×金子真人HDコンビは馬券圏外が1回のみ
次は3位の戸崎騎手。
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1位のシルクレーシングが12勝と、2位とはダブルスコアの差で勝ち星をあげている。ダノックス、GⅠレーシングとの相性がいいのだが、注目はノースヒルズとのコンビ。単回収率275%、複回収率129%とかなり高い。
2017年は5鞍に乗って3着が1回だけと寂しい結果だったが、2016年はノースヒルズを率いる前田幸治氏、その関係者との成績は悪くはなくこのタッグには注意。
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4位の福永騎手は、勝ち星トップがサンデーレーシングだが、勝率、連対率は悪い。逆に金子真人ホールディングスの馬に乗った時は馬券圏外になったのがわずか1回のみ。昨年7頭の馬に騎乗しており、これはすごい数字ではないか。ちなみに今年は1月27日現在までに金子真人ホールディングスの馬には乗っておらず、この数字は年をまたいでも続いているのか注目したい。
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最後に5位の川田騎手。2位のゴドルフィンが他の騎手とは違うところ。あとはそれほど特徴のある馬主とのコンビはなかった。川田騎手の場合には馬主うんぬんより、馬の実力を考える方がいいのかも。
今回は2018年の上位騎手5人に注目して行ってきた。上位は社台系に偏るのかと予想していたが、意外にも他の馬主との相性がよく個々に特徴が出た。次は6位以下で特徴がありそうな騎手をピックアップしてみたい。武豊騎手と相性のいい馬主は?藤田菜七子と相性のいい馬主は?
次回も乞うご期待。