GⅠに格付けされて以降、牝馬の勝利はなし
12月16日に阪神競馬場で行われる朝日杯フューチュリティステークスに牝馬のグランアレグリアが参戦する。一般的に牝馬は一週前に行われる牝馬限定GⅠ、阪神ジュベナイルフィリーズに出走する。牡馬相手のGⅠに参戦するからには勝算があってのことだろう。
では、過去に朝日杯に出走した牝馬の成績を見てみよう。
1984年にGⅠに格付けされて以降の牝馬成績を見てみると、13頭が牡馬相手に挑戦しているが、勝利した馬は一頭もいない。3着以内となったのも1989年に2着となったサクラサエズリ、1985年に3着となったメイキャリーの2頭のみで、牝馬の成績は(0,1,1,11)となっている。
過去10年では5頭が参戦。2016年のミスエルテの4着が最高だ。しかし1番人気に推されたのはミスエルテのみで、それ以外の4頭はいずれも人気薄だったため、それほど注目されたわけではなかった。
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ミスエルテは2戦2勝でこのレースに出走。前走で重賞制覇を果たして参戦する、グランアレグリアと共通する点が多い。そして両馬ともに強い競馬で重賞を勝利しており、牡馬相手にも引けを取らないと思わせる内容があっての参戦だ。
そこで、ここからはこの2頭を比較し、グランアレグリアが牡馬相手にGⅠを勝つことができるのか、考察していく。
様々な事情があっての使い分けか
ミスエルテ、グランアレグリアの2頭が朝日杯FSに参戦することとなった理由は、能力の高さだけではないだろう。
前週に行われる阪神JFは香港国際競走と日程が重なっており、主戦ジョッキーが乗れないケースも多いのだ。ミスエルテは川田騎手が、グランアレグリアはルメール騎手がそれぞれ香港で騎乗していたため、阪神JFに参戦していた場合は乗り替わりとなっていた。
また、繊細な2歳牝馬だということも考慮されているはずだ。特にミスエルテは気性が激しく、馬体の維持に苦労していた。実際、3歳5月に行われたNHKマイルカップまで、5戦続けて馬体を減らし続け、デビュー戦と比較するとマイナス18キロとなるほどだった。
対するグランアレグリアも、ミスエルテほど激しい気性ではないが、前走のサウジアラビアRCでは道中掛かり気味にレースを進めていた。これを見ると手の内に入れているルメール騎手に続けて乗ってもらいたいという陣営の考えもうなずける。
データではグランアレグリアが上位
単純な成績を比較すると、グランアレグリアの方がインパクトは強く、ミスエルテ以上に可能性を感じる。
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新馬戦の勝ち時計は、競馬場の違いはあれども先週の阪神JFの1.34.1よりも0.5秒も速く、GⅠで通用するレベルだ。しかも、新馬戦の2着馬はその阪神JFを制したダノンファンタジーだということを考えれば、なおさら強さが強調できる。
また先ほども触れたが、2戦目のサウジアラビアRCでは、スタートで出遅れて掛かっていたにも関わらず、牡馬相手に0.6秒もの差をつけて勝利している。
このことからも、初めての長距離輸送など不安な点もあるが、ミスエルテの4着以上の着順に来ることは可能だと考える。