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“ダートレースは古馬になってから”は本当か 過去のデータから分析

競馬 ダート
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3歳馬が勝てないのはまだ体が出来ていないから?

「ダートは古馬になってから」という話を耳にしたことがある。確かにダートはある程度のパワーが必要なので、まだ体が出来ていない3歳馬が不利だという理屈はわかる。この理屈は本当なのか、過去のレース成績から検証していきたい。

3歳馬は出走するのも大変

3歳馬が古馬に交じって出走できるGⅠ級のダートレースは、南部杯、JBCの3レース(クラシック、スプリント、レディスクラシック)、チャンピオンズカップ(前ジャパンカップダート)、そして暮れの東京大賞典だ。

南部杯、JBC、東京大賞典は地方競馬場で行われる交流戦で、JRA所属の馬が出られる枠が少なく、賞金を積み重ねる期間が短い3歳馬にとっては、出るのも苦労することが多い。今年の10月に行われた南部杯はルヴァンスレーヴが制したが、南部杯史上、3歳馬が出走するのは2頭目だった。

11月のJBCクラシックには、オメガパフュームとテーオーエナジーが出走したが、今年は中央開催によって出走枠が増加したため、出走できたといえる。例年のように、地方の競馬場で開催されていたら、出走するために必要な獲得賞金が足りなかっただろう。あとのJBC2競走も3歳馬の出走は毎年少ない。

東京大賞典は12月初旬に行われるチャンピオンズカップ、2月に行われるフェブラリーステークスの間にあるため、出走しない有力馬が多くいる。そのため出走枠が空くので3歳馬が出るにはチャンスかと思いきや、過去10年でJRA所属の3歳馬が出走したのは5頭のみと、こちらも出走数自体が少ないのだ。

中央競馬なら3歳馬にもチャンスあり?

先に示したとおり、地方交流戦は枠が少なく、賞金を積み重ねていない3歳馬にとっては出るのも狭き門。そのため、3歳馬が勝利する可能性も低くなる。実際にこれまでに行われた地方GⅠ級の全レースにおいて、勝利したJRA所属馬の年齢別割合を以下に図示した。

【年齢別】中央馬の地方GⅠ級の勝利割合 年齢別レース成績

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このデータから、3歳馬が勝利した割合がかなり低いことがわかる。

過去に南部杯、JBCの3競走、東京大賞典をJRA所属の馬が制したのは、アドマイヤドン(2002年JBCクラシック)、スーニー(2002年JBCスプリント)、ホワイトフーガ(2015年JBCレディスクラシック)、ゴールドアリュール(2002年東京大賞典)、そして今年のルヴァンスレーヴ(南部杯)の5頭のみ。

では、年に1度だけ中央で開催される3歳馬と古馬がぶつかる「チャンピオンズカップ」ではどうだろうか。

【年齢別】チャンピオンズカップ勝利割合(JCダート含む) チャンピオンズカップ 年齢別成績

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割合を見ると、地方交流戦に比べればまだマシといえる。過去10年間勝ち馬が出ていないが、過去には2006年にアロンダイト、2005年にカネヒキリ、2001年にはクロフネが3歳で勝っている。

久々の3歳馬が中央GⅠ制覇なるか

ダート馬は芝馬よりも活躍期間が長く、それだけに賞金を積み重ねた古馬が出走枠を埋めてしまっていることが、3歳のダート馬の影を薄くしている原因ではないだろうか。

12月2日(日)に行われるチャンピオンズカップには3歳馬が3頭出走予定。この3頭は今まで古馬に勝利して、賞金を積み重ねてきた。3歳馬が久々の中央ダートでのGⅠ制覇なるか。楽しみにレースを待ちたい。