G3からスタートも、今ではダート最高峰のレースという位置づけ
フェブラリーステークス(以下フェブラリーS)は、1984年にフェブラリーハンデキャップとしてスタートした。東京競馬場・ダート1600mという条件は変わらないが、5歳以上の馬しか出走できず、G3という格付けだった。その後94年にG2に昇格するとともに、名称も現在のものへと変更。そして97年からはG1に昇格し、上半期のダート最高峰のレースという位置づけとなっている。
G1に昇格する前の優勝馬は以下の通りとなる。
- 1984年(第1回):ロバリアアモン
- 1985年(第2回):アンドレアモン
- 1986年(第3回):ハツノアモイ
- 1987年(第4回):リキサンパワー
- 1988年(第5回):ローマンプリンス
- 1989年(第6回):ベルベットグローブ
- 1990年(第7回):カリブソング
- 1991年(第8回):ナリタハヤブサ
- 1992年(第9回):ラシアンゴールド
- 1993年(第10回):メイショウホムラ
- 1994年(第11回):チアズアトム
- 1995年(第12回):ライブリマウント
- 1996年(第13回):ホクトベガ
G1になって以降の優勝馬
そして、G1に昇格してからのレースでは、以下の馬が優勝している。
- 1997年(第14回):シンコウウインディ
- 1998年(第15回):グルメフロンティア
- 1999年(第16回):メイセイオペラ
- 2000年(第17回):ウイングアロー
- 2001年(第18回):ノボトゥルー
- 2002年(第19回):アグネスデジタル
- 2003年(第20回):ゴールドアリュール
- 2004年(第21回):アドマイヤドン
- 2005年(第22回):メイショウボーラー
- 2006年(第23回):カネヒキリ
- 2007年(第24回):サンライズバッカス
- 2008年(第25回):ヴァーミリアン
- 2009年(第26回):サクセスブロッケン
- 2010年(第27回):エスポワールシチー
- 2011年(第28回):トランセンド
- 2012年(第29回):テスタマッタ
- 2013年(第30回):グレープブランデー
- 2014年(第31回):コパノリッキー
- 2015年(第32回):コパノリッキー
- 2016年(第33回):モーニン
- 2017年(第34回):ゴールドドリーム
2017年のフェブラリーSは、ゴールドドリームが勝利している。ラスト数百メートルというところからベストウォーリアを猛追し、最後の最後にわずかな差で振り切った。
レース前日に父のゴールドアリュール(2003年フェブラリーS優勝馬)が死去という悲しいニュースがあったのだが、その亡き父に捧げる勝利となったとともに、フェブラリーS親子制覇も達成した。
その後、なかなか調子の出ない時期もあったが、12月にはチャンピオンズカップでも優勝し、これでこの年2つ目のダートG1レースでの勝利を飾ると「2017年最優秀ダートホース」に選出された。連覇のかかる2018年のフェブラリーSでもどのようなレースを見せるのか注目が集まる。
フェブラリーS史上1番の名勝負と語り継がれる2009年のサクセスブロッケン
過去のフェブラリーSを見てみると、たくさんの名勝負が生まれている。中でも、1番の名勝負と語り継がれているのが、2009年のレースである。
この年にはG1最多勝記録が期待されていたカネヒキリ、前年優勝馬のヴァーミリアンに加え、3歳時にはアメリカに遠征し、G2ピーターパンステークスで勝利した実績馬カジノドライヴなど、多数の注目馬が出走していた。しかしこの年の主役は、サクセスブロッケンだった。
オッズ20.6倍の6番人気と、下馬評こそそれほど高くなかったものの、2008年にはG1ジャパンダートダービーを制するなど、実績は十分だった。
スタートから3番手あたりのよいポジションにつけると、最後の直線でのレースぶりが圧巻であった。エスポワールシチーが逃げ粘るところに、カジノドライブとカネヒキリが追い上げるが、その外からサクセスブロッケンが猛追。4頭がほぼ横並びになる中、わずかにサクセスブロッケンが抜け出すと、最後はクビ差でゴール。この時のタイムは1分34秒6、これは当時の新レコードである(2016年にモーニンがさらに更新している)。
余談ではあるが、現在サクセスブロッケンは東京競馬場で誘導馬として活躍中。JRAホームページの誘導馬紹介では、なぜか関西弁のキャラクターになっている。
右が誘導馬として活躍しているサクセスブロッケン
ⒸSPAIA
唯一の連覇を達成!コパノリッキー
サクセスブロッケンの試合も印象的であったが、やはりフェブラリーS優勝馬としては、コパノリッキーの話も欠かせない。2014年・2015年と、史上唯一の2連覇を達成した馬だ。
2014年のフェブラリーSでは、スタート直後から2番手につけると、最後の直線で追い上げるホッコータルマエを一気に振り切り、そのまま半馬身差でゴール。見事な走りを見せてくれた。
実はレース前までは全く注目されていなかったため、オッズはなんと271.1倍。これは単勝ではフェブラリーS史上最高配当であり、G1全体で見ても89年エリザベス女王杯サンドピアリスの430.6倍に次ぐ2番目の数字である。
さらに2015年のフェブラリーSでは、スタートから先頭に立つと、最終コーナーを回ってからは他の馬をぐんぐんと引き離し、そのままゴール。見事な走りで連覇を達成した。
さすがにオッズは2.1倍であったが、人気に違わぬ走りを見せていた。その後もさまざまなレースで活躍し、2017年の引退までに歴代最多となるGIレース11勝をマークしている。