東京のスローは位置取りより瞬発力
この夏の中距離戦線を占うエプソムカップはトロヴァトーレが制し、重賞連勝。2着ステレンボッシュ、3着レガーロデルシエロで決着した。
京都新聞杯は若駒同士のレースらしい厳しい流れになったが、15分後に行われた古馬の中距離戦はいかにも大人な競馬になった。
先手はストレイトトーカー。スタートを決め、一気にハナに立つと、競りかけるライバルはなく、隊列はそのまますんなり決まった。好位のサクラファレル、センツブラッド、シルトホルンはつかず離れず。その後ろも同様で、一団のまま淡々と進み、各馬、脚を溜めながら進む。
ラップは12.5-11.5-11.4-11.9-12.3で、1000m通過が59.6。絶好の馬場を踏まえると、完全なるスローペース。抑えるのに苦労すると脚を溜めきれない。
その後は12.1-11.4-11.0-11.2で上がり800m45.7、600mは33.6。スローは一般的に前残りになるが、それ以上に東京のスローは位置取りに関係なく純粋な瞬発力比べになり、物理的な優位がアドバンテージにならない。条件戦であればあり得るが、さすがに重賞となると、瞬発力に長けた馬には敵わない。
瞬発力勝負を避けたかった組は、できればもう少し流れてほしいと願ったはずで、早めにラップを上げたかったが動けなかった。このように“動けない”のが東京コースの特徴。最後の直線は険しく、まくり気味に動いて押し切れるような舞台ではない。そんな好位勢の願いも虚しく、ラスト400mは11.0-11.2。切れる馬でないと上位に食い込めないレースだった。
序盤から中盤にかけてしっかりと脚を溜め、最後に瞬発力を引き出すという手順はC.ルメール騎手の十八番。彼が東京をもっとも得意とする理由はここにある。前を残さず、後ろからも差されない。トロヴァトーレがとったポジションは絶妙で、いわゆる“いつでもどこからでも動ける位置”にいた。残るはタイミングひとつで、ルメール騎手は決して見誤らない。
一方で、トロヴァトーレは前走・東京新聞杯を勝ったマイラー。ペースが合わない恐れはあった。だが、陣営のジャッジ通り近走は折り合いに進境がみられ、1800mのスローペースも難なくこなした。
デビュー2戦は芝2000mを連勝したレイデオロ産駒とくれば、マイラーであるはずがない。本質は2000mまでこなせるが、折り合いの難しさゆえマイルで出世してきた。ここにきていよいよ自身の能力を得意の舞台で発揮するようになった。これこそまさに本格化であり、この路線で割って入る存在になるだろう。















