「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【チャンピオンズC】「6歳以上のGⅠ・JpnⅠ勝ち馬」は複回収率152% データで導く穴馬候補3頭

2025 12/4 17:00鈴木ユウヤ
チャンピオンズC2025 データで探す穴馬,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

データで見る「穴候補3頭」

今週日曜は中京競馬場でチャンピオンズカップが行われる。下半期唯一のJRAダートGⅠで、今年はジャパンダートクラシックを制した3歳ナルカミを歴戦の古馬勢が迎え撃つ構図となった。

一昨年に3連単190万馬券が飛び出すなど、人気薄の好走例にも富むレース。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。


今年も「前年4着以内」のリピーター狙い ウィルソンテソーロ

まず1頭目はウィルソンテソーロ。昨年はJBCクラシック、今年もマイルチャンピオンシップ南部杯を制している実績馬で、このレースでも2年連続2着と結果を残している。

チャンピオンズCでは「リピーター」狙いが有効だ……という話を昨年この記事で書いたところ、結果はなんと1着レモンポップ、2着ウィルソンテソーロ、3着ドゥラエレーデ。そっくりそのまま前の年の1~3着と同じになった。であれば、今年もまずそのデータを取り上げないわけにはいかない。


チャンピオンズC 前年同レースの着順別成績,ⒸSPAIA


1年分更新した数字を提示しよう。過去10年のチャンピオンズCで「前年4着以内馬」は【4-3-2-15】複勝率37.5%、複回収率194%で、同5着以下【1-0-2-29】同9.4%。複回69%とはハッキリ差がついている。前提としてダート馬は競走寿命が長く、路線の新陳代謝が遅いため、リピーターが発生しやすい下地はある。

この「前年4着以内馬」のうち、特に前走で南部杯やJBCなどのGⅠ(JpnⅠ)を走っていた馬が好成績で、【4-3-1-9】複勝率47.1%、複回収率241%となる。

これに該当するのがウィルソンテソーロ。前走JBCクラシックは勝ち馬から2.2秒離されたが、前後半4F48.2-51.4のハイペースを引っかかり気味に先行しており、展開的に厳しいところはあった。道中折り合って脚が溜まればすぐにでも巻き返せるはずだ。


「フェブラリーSで先行した馬」は要警戒 ウィリアムバローズ

2頭目はウィリアムバローズを選ぶ。昨年は日本テレビ盃でウシュバテソーロを相手に逃げ切り。年初のフェブラリーSは先行策から13着に沈んだが、かしわ記念は展開利があったとはいえ0.1秒差2着に粘った。


チャンピオンズC 同年フェブラリーSの4角通過順別成績,ⒸSPAIA


先ほどは前年チャンピオンズCとの関係を見たが、今度はフェブラリーSとのつながりをチェックする。

こちらは当時の位置取りがポイント。過去10年で「同年フェブラリーSで4角4番手以内だった馬」は【1-1-4-12】複勝率33.3%、複回収率177%となっている。普通なら「マイルで先行できる馬」は距離が延びたら苦戦しそうなものだが、フェブラリーSとチャンピオンズCの関係性はその反対だ。

これは東京マイルのフェブラリーSがその舞台設定などから差し有利になりやすいのに対し、中京ダ1800mのチャンピオンズCは器用にロスなく立ち回れる先行馬が恵まれやすいレースだからだろう。

前記の「フェブラリーS先行組」なら着順は不問で、8着以下でも【0-1-3-6】複勝率40.0%。さらに「1800m以上での勝利歴」がある馬なら【0-1-3-4】同50.0%、複回収率348%に達している。この2点もウィリアムバローズを後押しする。

前走のエルムSは正直もうひと踏ん張り欲しかった4着だが、斤量59kgに大外枠で出負け気味のスタートから逃げ、残り800mから11.6-11.8と早仕掛けも強いられた。見直しの余地はある敗戦だ。

もともとダート1800mでは【6-4-1-1】と安定感抜群。ここでも3着圏内には加わってきていい。


「GⅠ(JpnⅠ)勝ち馬」は高齢でも侮るな メイショウハリオ

ラストはメイショウハリオ。8歳の大ベテランだがその能力は未だ健在で、この春は川崎記念を勝って4つ目のJpnⅠタイトルを獲得した。


チャンピオンズC 年齢別成績,ⒸSPAIA


「競走寿命が長く、新陳代謝が遅いダート界」という特性はチャンピオンズCの年齢別成績にも表れている。

過去10年では5歳以下が【7-5-7-74】複勝率20.4%、複回収率83%に対し、6歳以上【3-5-3-52】同17.5%、複回95%だ。高齢馬も好走率でヒケをとらず、人気になりにくい分、妙味ではむしろ勝っている。

その6歳以上馬を「既にGⅠ(JpnⅠ)を勝っていた馬」に限ると【3-4-2-20】複勝率31.0%、複回収率152%となる。コパノリッキーが7歳でも9番人気3着と走ったように、古豪の地力には警戒が必要だ。

メイショウハリオ自身の近況を見ると、平安S7着はスローペースから直線詰まってノーカウントの敗戦。帝王賞を食道閉塞のアクシデントで除外となり、前走JBCクラシックは休み明け、陣営のトーンも上がり切らないなかで2着と好走した。少なくとも状態に関しては今回の方が断然上だろう。武豊騎手とのベテランコンビで貫録を見せてほしい。

《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

《関連記事》
【チャンピオンズC】過去10年のレースデータ
【チャンピオンズC】3歳馬ナルカミ、ルクソールカフェは古馬との力比較がカギ “データ不気味”みやこS組に警戒
中京ダート1800mはキズナ産駒が単回収率265%、勝利数も断トツ 東大HCがコースデータを検証