芝スタートで外か、スパイラルカーブで内か
7月27日(日)に東海S(GⅢ)が行われる。昨年までは「プロキオンS」の名称で行われていたが、フェブラリーSの前哨戦として施行されていた「東海S」と名前を入れ替える形で変更された。出走馬はダート無敗のビダーヤをはじめ粒ぞろいのメンバーで、混戦模様の一戦となった。
以下では、本レースが行われる中京ダート1400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。特に「二律背反」ともいえる中京ダート1400mのコース形態に注目したい。
さっそくそのコース形態をみる。2コーナーポケットの芝からスタートし、初角までの距離は約620m。外枠の方が芝の部分を長く走れるためダッシュがつきやすく、序盤のポジション争いは外枠の方が有利となっている。
バックストレッチ半ばまで緩やかな上り坂、そこから3、4コーナーにかけて全て下り坂でスパイラルカーブとなっている。最終直線は410.7mで、JRAのダートでは東京に次いで二番目に長い。ゴール手前380m地点から220m地点は中山ダートに次ぐきつい傾斜の高低差1.8mの上り坂で、ラスト220mは平坦な直線となる。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約620mと非常に長い点だ。バックストレッチ半ばまで緩やかな上り坂とはいえ、序盤の先手争いは長引きやすくハイペースで流れやすい。縦長の隊列で3コーナーに進出することがほとんどだ。
そしてこのコースは3、4コーナーが全て下り坂。中盤で緩むコースなら後方勢が先行勢に対してポジション差を縮めやすいが、本コースは下り坂で中盤のペースが落ちにくいため、後方勢が先行勢に詰め寄りやすいとはいえない。また、3、4コーナーはスパイラルカーブで下り坂かつ急カーブとなっているため、このポジション差を無理に外からマクって埋めに行くと、大きなロスが生まれる。
さらにスピードに乗ったまま先行勢が最終直線に進出すると、スパイラルカーブのため馬群が一気に広がる。この先行勢のさらに外を回す後方勢はこれだけでもかなり厳しい競馬を強いられる。3、4コーナーで無理に外から位置を上げようとした後方勢はなおさら厳しい。直線は半ばで急な上り坂があり、それを登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態であるため、全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。
これだけだと先行有利に見えるが、序盤の高い先行負荷とペースが緩まない中盤を考えれば前が楽に残せるコースでもない。地力のない先行馬は直線半ばで脱落していく。
先行と差しどちらの脚質も有利な点と不利な点が明確であり、枠に関しても序盤のポジション争いと砂被りをしない点では外枠有利、道中は中京コースらしくロスなく走れる内枠有利と、とにかく二律背反なコースだ。
中京ダートらしく後方大外から一気に差し切る競馬は難しく、序盤から積極的に先行して最後まで残し切るのも相当な地力がなければ困難だ。したがって、砂被りを物ともせず道中内目をロスなく追走し、馬群を捌く形である程度の位置からイン差しできる差し脚確かな馬が最も恵まれやすいというのがこのコースが持つレースの質だ。

<中京ダート1400mOPクラス以上 上がり3F順位別成績>
上がり5位以内
【27-27-23-99】勝率15.3%、連対率30.7%、複勝率43.8%
単勝回収率150%、複勝回収率131%
※過去10年
この傾向は数字にも表れている。中京ダート1400mのOPクラス以上における上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。
近走で馬群を捌いて差してきた馬や、枠の並びからイン差しできる差し脚確かな馬を中心に考え、地力次第で先行馬の前残りも考えて印を打っていく。














