複穴はベテランから
開幕週のラジオNIKKEI賞から中1週。七夕賞は今年から夏の福島4週間のうち3週目になった。
七夕賞というぐらいだから7月7日前後に行われ、かつては福島開催最終週、東京開催が延長されると、開催2週目に移り、7月7日前後を守ってきた。しかし、今年は3週目になり、七夕前日の7月6日ではなくなった。今年は12月28日が日曜日なので、全体的に日程がうしろ倒しになった影響もある。
来年の日程はまだ出ていないが、今年と同じスケジュールなら、7月5日。七夕に近い日曜日になる。ズレから来る違和感は今年だけのようだ。
サマー2000シリーズは函館記念が6月に移り、七夕賞は第2戦にあたる。とはいえ本州編の初戦という立ち位置は同じ。春からつながる臨戦過程の読みにくさは今年も変わらない。3週目に移り、馬場状態の変化に注意しつつ、難解なハンデ戦を攻略していきたい。データは過去10年分を使用する。

1番人気は【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と波乱イメージを膨らませるも、2番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%や3番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%など、上位人気総崩れは考えにくい。サマー2000シリーズができて、総じて夏のシリーズ重賞は波乱が減ったような気がする。
だが、10番人気以下【1-0-5-55】勝率1.6%、複勝率9.8%と3着は半数がふた桁人気であり、ヒモ荒れには要警戒。福島の重賞は簡単には攻略できない。3連系は手広く網をかけないと的中できない。

この時期、中距離重賞に挑戦できる3歳は総じてクラシック挑戦か、開幕週のラジオNIKKEI賞に回るため、七夕賞出走はない。
4歳【3-1-2-17】勝率13.0%、複勝率26.1%が強いが、5歳【4-5-3-32】勝率9.1%、複勝率27.3%も分母を考えると悪くない。
6歳も【2-3-5-36】勝率4.3%、複勝率21.7%と複勝圏内なら十分ある。さらに複勝回収率が228%と高く、複穴は6歳から出現する。夏は若者の季節ではあるが、酸いも甘いも噛みしめたベテランが経験にものをいわせる季節でもある。
重賞連勝目指すシリウスコルト
新潟大賞典を勝った4歳シリウスコルト、5歳はジューンステークスを勝ったシルトホルン、6歳だとエプソムカップ2着ドゥラドーレスと各世代に軸になりそうな馬がいる。

ハンデ戦では斤量の推移は必須項目。前走重賞組の斤量比較を出すと、斤量増が【5-2-0-15】勝率22.7%、複勝率31.8%と強力。やはりハンデキャッパーに見込まれた証であり、その実力は素直に受け入れないといけない。
このうち前走ハンデ戦からの斤量増は【1-1-0-2】。57kgで新潟大賞典を勝ったシリウスコルトのハンデ増はいたしかたなし。これを不安ととらず、味方につけるのがコツ。肌感覚だが、58kgなら積極的に買うべきではないか。
シルトホルンの前走ジューンS(OP)は別定戦で57kg。勝利をあげた以上、こちらも斤量増が見込まれる。東京のイメージが強いが、2年前のラジオNIKKEI賞は2着。ひとつ下のシリウスコルトと似た戦歴をもつ。

斤量に関係なく、前走OP/Lは【2-3-3-20】勝率7.1%、複勝率28.6%となっている。
こちらは前走距離に注目すると、2000m【0-2-2-10】複勝率28.6%に対し、2000m未満の延長組が【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%で、2000m超からの短縮も【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%となった。すべて複勝率28.6%は不思議だ。とはいえ、前走OP/Lから単勝を狙うなら距離変化がヒントになる。
距離変化があった馬のうち、前走4着以内【1-0-1-3】、6着以下【1-1-0-7】と好走もいいが、凡走からも出現する。
前走OP/Lの距離変化は前走ジューンS(東京芝1800m)、都大路S(京都芝1800m)、メトロポリタンS(東京芝2400m)あたり。ジューンSを勝ったシルトホルンのほかに10着オニャンコポン、13着ギャラクシーナイト、都大路S9着ショウナンマグマ、メトロポリタンS7着バラジもいる。大敗4頭は6歳馬。七夕賞の穴パターンでもある。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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