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【函館スプリントS】高松宮記念2着ナムラクレアが参戦 昨年3着ビッグシーザーは苦戦データに該当

2025 6/8 18:00勝木淳
過去10年のデータから見る函館スプリントS,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

競馬暦で春と夏が交錯する週末

北海道に夏の到来を告げる函館競馬。その開幕週は今年も函館スプリントSだ。

個人的には昨年、海鮮とラッキーピエロを堪能し、現地で観戦してから早くも1年が経つ。あっという間といっていいほど。ただし、今年の函館SSはちょっと違う。この週の日曜日に宝塚記念がやってきて、函館SSは日曜から土曜日へ移された。上半期最後のGⅠ競走と被るのはもったいない。これによって函館SSは開幕週初日のメインカードになり、正真正銘、夏の開幕を告げる重賞へと姿を変えた。

翌日のGⅠとの重なりが、いかにも四季を感じる日本の競馬らしい。季節は折り重なって四季となる。春の終わりと夏のはじめ。今週は重なりを楽しもう。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【2-1-3-4】勝率20.0%、複勝率60.0%をはじめ、5番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と上位5頭は互角。サマースプリントシリーズ開幕戦は上位拮抗の混戦になりやすい。いきなり特大ホームランを狙わず、きっちりセンター返しを心がけよう。

6~9番人気は7番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%が目立つぐらい。10番人気以下【1-3-2-54】勝率7.1%、複勝率10.0%と大穴気配がないわけではないが、主軸は上位5頭の順位づけでよさそうだ。

年齢別成績,ⒸSPAIA


クラシック転戦など、格上の戦いに身を投じた3歳は【3-2-1-12】勝率16.7%、複勝率33.3%と好成績。適距離に戻って力を取り戻す。そんな形が目立つ。

今年はミリアッドラヴが出走。だが、戦歴は全日本2歳優駿などダート中心であり、芝は初出走。好走パターンとはやや事情が異なる。姉スティールブルー(父ルーラーシップ)は芝を主戦場としているが、こちらは父ニューイヤーズデイ。6月1日終了時点の産駒成績は芝17勝、うち1200mは5勝。函館芝1200m【1-1-2-5】で、少しでも時計がかかってほしい。

古馬は4歳【3-1-5-19】勝率10.7%、複勝率32.1%や5歳【4-2-2-39】勝率8.5%、複勝率17.0%が中心。スプリント戦らしく、スピードで勝る若い馬から検討しよう。

そうはいいながらも、6歳【0-3-0-24】複勝率11.1%や7歳以上【0-2-2-24】複勝率14.3%とベテランが一角を崩す傾向もある。しかも3着以内の7頭は5~14番人気。穴狙いならベテランがおもしろい。

高松宮記念組に明暗

今年の注目は、なんといってもナムラクレアだ。高松宮記念は3年連続2着。どうしてもGⅠに手が届かない現状を打ち破るべく、今年はあえて函館SSに出走してきた。

秋のスプリンターズSとのレース間隔をとるために、あえてここを使ってきたと推察する。陣営の試行錯誤が実を結んでほしいと素直に思う。取材したのは3歳夏の函館SS直後だった。陣営は当時もスプリンターズSのローテーションの難しさを口にしていた。

4歳以上・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


古馬の前走クラス別成績を出すと、GⅠは【1-0-4-23】勝率3.6%、複勝率17.9%で前走・高松宮記念は【1-0-3-23】勝率3.7%、複勝率14.8%となっている。過去に2着馬の出走はないが、3着は【1-0-1-1】だ。ナムラクレアとしてはあくまで視線は秋だが、相手関係をみると、落とせないか。ちなみに、高松宮記念4着以下は【0-0-2-21】。ビッグシーザーが合致してしまう。

前走重賞組の好走馬は京王杯スプリングC【1-0-2-6】、オーシャンS【1-1-0-5】、阪急杯【0-1-0-0】ぐらい。前走シルクロードSは【0-0-0-1】で、さすがに冬の重賞以来というローテは考えにくい。

4歳以上・前走OP/L・距離別成績,ⒸSPAIA


そうなると、前走OP・L【3-4-2-51】勝率5.0%、複勝率15.0%に注目。距離別では1200m【2-2-1-33】勝率5.3%、複勝率13.2%と同距離組が中心だ。

1200m未満【1-1-0-9】勝率9.1%、複勝率18.2%に対し、1200m超は【0-1-1-9】複勝率18.2%も勝ち馬なし。距離短縮組はやや厳しい。ハイペースになりやすい舞台で距離短縮となると前半の追走で余裕をなくしやすく、相性がよくない。序盤の直線部分が長い函館はハイペースを誘発しやすく、これがデータにあらわれている。頭数が多く絞りにくいものの、前走OP・L組は同距離から探そう。

4歳以上・前走OP/L・1200m・着順別成績,ⒸSPAIA


前走OP・Lかつ1200m出走馬の着順内訳は1着【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%こそイマイチだが、2着【1-0-0-2】や4着【0-0-1-2】と好走組が基本。米子城Sを勝ったカルチャーデイ、京葉S1着インビンシブルパパは強調まではいかないが、おもしろい。

インビンシブルパパははじめての芝が重賞となると荷が重そうだが、父シャラーはジョン・ゴスデン厩舎にいた欧州芝スプリントGⅠ2勝馬。インヴィンシブルスピリットとウォーチャントの血をもち、ダンチヒの色が濃い。洋芝ならこなせる可能性はある。

ほかは負けすぎで、データ上は苦しいが、あえてあげれば春雷S6着のジョーメッドヴィン。昨夏の函館・札幌で【1-1-2-1】の洋芝巧者。人気になりそうもないプロフィールであり、出走してきたらこっそり買い目に入れておこう。

過去10年のデータから見る函館スプリントS,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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