傾向解説
8日に東京競馬場で行われる上半期の芝マイル王決定戦・安田記念。短距離から中距離、ダート路線からも有力馬が参戦し、各馬の適性評価も非常に重要な一戦です。本記事では血統面を中心に、安田記念のレース傾向を整理していきます。
まず、ポイントとして挙げたいのはトップマイラーのリピート好走が非常に多いということ。芝のマイル路線は中長距離路線とは異なり、国内外を含めても安田記念に有力馬が集中しやすい番組構成にあります。また、他路線組も参戦しやすいスケジュールとなっているため、今年のように短距離から中距離、さらにはダート路線からも有力馬が参戦してくるケースは少なくありません。
とはいえ、適性面に関しては当然マイル路線を歩んできた馬に分があり、さらにマイル路線のライバルが少ない安田記念では前年上位馬のリピート好走が多発する、という構図が出来上がっているわけです。
<安田記念 近年のリピート好走例>
アエロリット:2018年2着→2019年2着
インディチャンプ:2019年1着→2020年3着
アーモンドアイ:2019年3着→2020年2着
グランアレグリア:2020年1着→2021年2着
シュネルマイスター:2021年3着→2022年2着→2023年3着
ソングライン:2022年1着→2023年1着
適性面については、近年のペース変化に要注意。10年程前の安田記念は「ハイペースの消耗戦」というイメージが強くありましたが、近年の安田記念は「平均~スローペースの末脚勝負」というレース質に変わってきています。
これは5年ごとの前後半3F平均を比較すれば明らかで、アルクオーツスプリント(ドバイ)やチェアマンズスプリントプライズ(香港)などスプリンターの選択肢が広がったことにより、徐々に距離延長馬の出走が減ってきている点が影響していると考えられます。
<安田記念 年別の前後半3F平均>
2010~14年:34.1-35.5(前傾1.4秒)
2015~19年:34.4-34.3(後傾0.1秒)
2020~24年:34.5-33.9(後傾0.6秒)
それに伴い、サンデーサイレンス系の好走率も上昇。芝中距離の瞬発力勝負では無類の強さを誇る日本の主流血統ですが、以前のようなハイペースの消耗戦ではなかなか同血脈の良さが活きていない印象でした。
しかし、ペースが落ち着いた近年の安田記念ではサンデーサイレンス系の好走が目立ち、2022、23年連覇のソングラインはサンデーサイレンスの3×4を保持。また、昨年の勝ち馬ロマンチックウォリアーは母がHaloの4×4、2着馬ナミュールはSir Ivor≒Halo≒Droneの6×4・6を保持しており、Halo→サンデーサイレンスの増幅形が今後の安田記念のトレンドになるかもしれません。
<父サンデーサイレンス系 年別成績>
2010~14年【2-1-2-36/41】
勝率4.9%/連対率7.3%/複勝率12.2%/単回収率75%/複回収率56%
2015~19年【2-1-3-41/47】
勝率4.3%/連対率6.4%/複勝率12.8%/単回収率67%/複回収率48%
2020~24年【4-2-2-33/41】
勝率9.8%/連対率14.6%/複勝率19.5%/単回収率183%/複回収率57%