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【安田記念】ドバイターフを制したソウルラッシュが抜けた存在 データはダービー卿CT組が単回収率406%

2025 6/3 12:00三木俊幸
ドバイターフ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

6月8日(日)に東京競馬場で行われるのは春の最強マイラー決定戦、安田記念(GⅠ・芝1600m)。過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返る。

今年の登録馬の顔ぶれをみると【2-5-0-10】と最多タイの優勝、7年連続で2着以内に好走馬を送り出すなど、最も好相性のヴィクトリアマイルからの参戦はなしとなっている。

なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、レースレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。

ダービー卿CT【データ:A レースレベル:C】

過去10年の成績【2-0-0-8】勝率20.0%、連対率20.0%、複勝率20.0%
・最多タイの2勝
・2016年ロゴタイプ以降勝利なし
・単回収率406%

【2025年レース回顧】 好スタートを切ったアサカラキングが800m通過46.4というペースで逃げる展開。馬群が一団となるなかで中団につけていた斤量57.5kg、1番人気のトロヴァトーレは直線で最内から突き抜けて勝利。勝ちタイム1:32.4で重賞初制覇を飾った。

昨年6月に初めて1600m戦を使われてから【4-1-0-0】と、マイラーとしての適性の高さを見せつけている。相手はさらにレベルが上がるが、どこまで通用するのか楽しみだ。

トップハンデタイの斤量58.5kgを背負って出走したシャンパンカラーは、後方の外を追走するも勝負所でズブさを見せていた。直線は大外に持ち出すロスがありながらトロヴァトーレと0.3秒差の6着。最後まで伸びており、内容は悪くなかった。

高松宮記念【データ:B レースレベル:A】

過去10年の成績【1-0-1-9】勝率9.1%、連対率9.1%、複勝率18.2%
・2020年グランアレグリアが勝利
・直近では2022年サリオスが3着

【2025年レース回顧】
スタートから400mまで12.3-10.2(22.5)というラップが刻まれた先行争いとなったが、ビッグシーザーがハナを奪い切った。直線は横に広がっての攻防が繰り広げられたが、中団馬群で脚を溜めていたサトノレーヴが外から差し切り。勝ちタイム1:07.9でGⅠ初制覇を飾った。

最内枠からスタートしたマッドクールは一団となった好位集団のインを立ち回ったが6着。当日の馬場は外が伸びる傾向にあり、レースも瞬発力勝負となるなど展開が向かなかった。デビュー戦3着以来の1600m挑戦となる。生粋のスプリンターというタイプではないだけに能力の高さで距離自体は対応可能とみるが、スピードの持続力が活きる展開になってほしい。

マッドクール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


マイラーズC【データ:B レースレベル:C】

過去10年の成績【1-0-5-33】勝率2.6%、連対率2.6%、複勝率15.4%
・2019年インディチャンプが優勝
・近2年連続で3着馬を輩出

【2025年レース回顧】
10頭立てで行われたレースは、ビーアストニッシドが後続に2馬身差をつけて逃げる展開。800m通過は46.6というペースだった。直線で早め先頭に立ったのはセオだったが、中団追走から馬群を割ったロングランが突き抜け、勝ちタイム1:31.7で勝利した。今回はさらに相手強化となるが、瞬発力勝負も問題なく対応。小倉大賞典に続いて重賞連勝と充実期を迎えている。

2着ジュンブロッサムは後方2〜3番手追走から、上がり2位33.2の末脚で伸びたが半馬身及ばなかった。瞬発力勝負になれば安定した成績を残せることは改めて示した。

5着グラティアスは5番手から直線はなだれ込むような形。6着ホウオウリアリティは後方2~3番手追走からロスなく立ち回ったが、いずれも勝ち馬からは0.6秒差という結果だった。

ドバイターフ【データ:B レースレベル:S】

過去10年の成績【0-2-1-3】勝率0.0%、連対率33.3%、複勝率50.0%
・直近では2023年セリフォスが2着

【2025年レース回顧】
日本馬4頭が出走したレースは、メイショウタバルがハナを奪い11頭が一団で流れた。2番手追走から残り300mで先頭に立った香港のロマンチックウォリアーがそのまま押し切るかと思われたが、道中5〜6番手を追走していたソウルラッシュが残り50mを切ってから一完歩ごとに前へと迫り、2頭が馬体を併せての入線。0.01馬身差でソウルラッシュが大接戦を制した。勝ちタイムは1:45.84だった。

芝中距離において現役最強馬のロマンチックウォリアーを相手に差し切った内容は世界中に衝撃を与えた。7歳を迎えているがレースでのパフォーマンスはまだまだ進化しているようにすら感じる。今回のメンバーに入ると能力面で抜けた存在なのは間違いない。

大阪杯【データ:C レースレベル:A】

過去10年の成績【0-0-1-16】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率5.9%
・2018年スワーヴリチャードが3着

【2025年レース回顧】
出遅れたものの、1~2角でハナを奪ったデシエルトが後続を5馬身以上引き離して1000m通過57.5というペースを刻んだ。4番手のインで流れに乗ったベラジオオペラは力強い末脚で抜け出すと、後続の追い上げを封じて連覇達成。勝ちタイムは1:56.2のレコードタイムが記録された。

エコロヴァルツは中団馬群の中を追走。直線も内めから馬群を捌いて伸び、ベラジオオペラから0.3秒差の4着。3走前のディセンバーSを1:45.2の好タイムで勝利、2走前の中山記念も1:44.8のレコードタイムでシックスペンスとハナ差2着と、高速決着での強さが際立つ。着実に力をつけているのが顕著で、久々の1600m戦でも期待が持てそうだ。

1番人気の支持を集めたシックスペンスは3番手を追走するも、直線では伸びきれず7着という結果だった。勝利したベラジオオペラを除いた2〜4着までは全て4角8番手以下を追走していた差し馬。瞬発力勝負はシックスペンスが得意とする展開だったが、ハイペースで先行して33秒台の末脚を発揮するのは難しかった。東京コースと距離短縮はプラス、巻き返す材料はそろっている。

1351ターフスプリント【データ:なし レースレベル:B】
過去10年で出走なし

【2025年レース回顧】
好スタートからマイペースを刻んだウインマーベル。直線に向いてからもしぶとく粘っていたところに2列目のインから運んだアスコリピチェーノがじわじわと迫り、馬体を併せてのゴールとなった。結果はアスコリピチェーノがアタマ差捉えて勝ちタイム1:17.87で勝利した。

アスコリピチェーノはその後ヴィクトリアマイルを優勝。1351ターフスプリントで惜敗したとはいえウインマーベル自身も昨秋のマイルCSで3着に入っており、今回のメンバーで上位争いができる力があるのは間違いない。

《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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