実力差ほぼなしの大激戦
日本ダービーが3週間後に迫ってきた。中2週の京都新聞杯はダービー出走に必要な賞金を獲得するラストチャンスで、東上最終便といわれる。
秋から春に移った当初、2000年の勝ち馬アグネスフライトがダービー馬に駆けあがって以降、04年ハーツクライと05年インティライミは2着、12年トーセンホマレボシが3着、15年サトノラーゼンが2着、そして19年京都新聞杯2着のロジャーバローズがダービーを勝った。
その後、ダービー好走馬を送り出せていないが、青葉賞より苦しいローテーションであっても好走馬を送る東上最終便に滑り込み、一気に頂点に立つ馬が現れるのか注目の一戦だ。中京2回分を含む過去10年データを使用して今年のレースを展望する。

1番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、2番人気【2-2-3-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と互角。3番人気以下は横並びで、8番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%など伏兵までチャンスがある激戦が予想される。
ラストチャンスとなると、実力差はほぼないに等しく、人気ほど上下差はない。デビューが遅れた好素材など、まだ磨ききれていない原石を見つけるのも楽しみだ。

とはいえ、1、2戦【0-1-1-18】と最少キャリアで突破できるほど甘くない。キャリア別の頂点は5戦【3-1-4-16】勝率12.5%、複勝率33.3%で、4戦【2-1-1-20】勝率8.3%、複勝率16.7%、6戦【2-1-1-15】勝率10.5%、複勝率21.1%など経験を積んだ組がよい。
8戦に【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と好走ゾーンがあるのも特徴。負けながら逞しくなる。そんなイメージが東上最終便で輝きを放つ。
有力候補はネブラディスク、トッピボーン
新馬、大寒桜賞と連勝中のエムズはキャリアの浅さが懸念材料。大寒桜賞で3着に敗れたロットブラータなどキャリアを積んできた馬たちが、データ通り逆転するだろうか。ここからは前走成績を見ていく。

前走GⅢ【3-1-3-12】勝率15.8%、複勝率36.8%では、毎日杯が【1-1-2-8】勝率8.3%、複勝率33.3%と目立つ。着順別では4着以内【1-1-1-3】、5着以下【0-0-1-5】で、今年は3着だったネブラディスクが好データに該当する。
今年はファンダムが上がり600m32.5秒で追い込みを決めた毎日杯。勝ち馬のインパクトは大きいが、レース自体はスローの瞬発力勝負でラスト600mは11.2-10.8-11.3だった。
そんな中、後方から33.1秒の末脚で差したネブラディスク。共同通信杯4着はキャリア不足もあり、やや物足りなかったが、じわじわと力をつけてきた印象もあり、ダービー出走圏内に滑り込む可能性はある。
前走きさらぎ賞は【1-0-1-1】勝率33.3%、複勝率66.7%で、3、4着馬は【1-0-1-0】。今年はショウヘイが該当する。こちらはサトノシャイニングが末脚で圧倒した。稍重馬場で序盤800m46.1秒とやや前半が速く、中盤で緩み、ラスト400m11.6-11.6と緩急を求められた。4コーナー4番手から4着だったショウヘイは少しパンチ不足の感は否めないが、先行して展開を味方につけられそうでもある。

続いて前走1勝クラス【5-5-5-40】勝率9.1%、複勝率27.3%について。距離でみると、短縮組はすべて前走2400mからで【3-0-2-7】勝率25.0%、複勝率41.7%と好相性。長い距離からの転戦組はポイントだ。着順別にみると1着【2-0-1-3】、2~4着【1-0-1-4】。勝ち馬に限らず、4着ぐらいまでチャンスがある。
一方、距離延長組は【2-4-1-29】勝率5.6%、複勝率19.4%。そのうち2000mは【2-2-1-18】勝率8.7%、複勝率21.7%で、なおかつ1着は【2-0-1-8】勝率18.2%、複勝率27.3%。阪神芝2000mでは【2-0-1-3】、京都開催の京都新聞杯に限ると【2-0-1-2】なので、阪神から京都替わりでもつながる。
これに該当するのがトッピボーン。前走は後方からじっくり進出し、2着馬に4馬身差の圧勝。ダービーに出走させてみたい一頭だ。
最後に大寒桜賞を含め同距離【0-1-2-4】複勝率42.9%について。単勝は厳しくとも、馬券には組み込みたいところで、中団後方から差した場合は【0-1-1-2】。大寒桜賞で逃げたロットブラータ、先行したエムズは200mの延長部分を踏ん張り切れるかどうか。トッピボーンらの決め手に対抗できる物理的なアドバンテージがほしい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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