8枠に好走ゾーンあり
安田記念翌週からNHKマイルC前日へ。エプソムCは重賞スケジュール変更のなかでも大きく日程が動いたレースのひとつでもある。
春戦線がひと段落し、夏もしくは秋を展望する馬たちが賞金を加算する場だったが、5月2週目となると、宝塚記念なども視野に入る。といってもファン投票選出レースなので、賞金を加算したからといって出られるわけではないので、エプソムCルートも微妙か。
翌週には左回り芝2000mの新潟大賞典もあり、以前ほど出走馬が集まらない可能性が高い。さらにレースの名を冠するエプソム競馬場の大一番、英国ダービーは例年6月1週目の施行であり、今年は6月7日。エプソムCはなんともいえない立ち位置になった。
さすがに一ヵ月前倒しとなると、ローテーション別成績など前走データを当てはめるのは気が引ける。したがって、当記事では2015年以降、東京芝1800m・古馬オープン以上の計40レースのデータを用い、高額条件でのコース傾向をみていくことにする。
まずは人気別成績を見る。1番人気【17-7-4-12】勝率42.5%、複勝率70.0%。分母が40であることを踏まえると、かなりの高確率といえる。古い格言だが、「府中千八展開いらず」といわれ、実力がストレートに反映されるコースだ。
大雑把にいえば、コーナー2回のワンターンであり、さらに最後の長い直線を意識するため、中距離戦らしく速いペースで展開することは滅多にない。3コーナー手前から4コーナーにかけてひと腰入れて直線へ。出走馬の大半が末脚を温存して直線を走るので、最終的には末脚比べに持ち込まれる。
確実に末脚を発揮できる人気馬であれば、前半で位置をとらなくても間に合う。展開いらずとは、展開利を味方に残り目を狙う伏兵に厳しいことを意味する。
ただし、馬場の影響は受ける。冬のDコースなどどうやっても外から差せない馬場状態だと、さすがに狂い目も出る。当日の馬場コンディションを見極めさえすれば、攻めてもいいのではないか。
とはいえ、人気別では5番人気【4-6-5-25】勝率10.0%、複勝率37.5%と6番人気【0-2-4-34】複勝率15.0%の間に断崖があり、人気順の傾向といっていい。基本は大振り厳禁。着実に上位人気をピックアップし、仕留めよう。
末脚比べの東京では速い上がりが記録されるため、外を回るなど距離ロスはアウト。終盤まで内目で我慢し、直線は馬群を縫う。そんな手順をイメージするものの、実際の枠番別成績では1枠【3-3-5-42】勝率5.7%、複勝率20.8%、2枠【2-5-1-50】勝率3.4%、複勝率13.8%とさほど高くない。
そして8枠が【10-6-8-65】勝率11.2%、複勝率27.0%と目立つ。外を回ることの利点はどこにあるのか。あるとすれば、スローペース特有のタイトな馬群のなかで、プレッシャーを受けにくいことが考えられる。終始外は厳しいかもしれないが、一列ぐらい内に誘いさえすれば、内側ほど押圧されずに脚を溜められる。内枠に目を向けやすい競馬場だが、芝1800mの高額条件では8枠がプラスに働く。