二桁人気の激走に注意
NHKマイルカップは馬券的に非常に難しいGⅠだ。直近10年だけでも16年12番人気3着レインボーラインに17年13番人気2着リエノテソーロ、19年14番人気2着ケイデンスコール、22年18番人気3着カワキタレブリー、24年10番人気3着ロジリオンと高確率で超人気薄が馬券に入り込む。
勝ち馬はビタ当てできても馬券はハズレ。そんな涙に満ちるGⅠでもある。いかに超人気薄から激走馬を見つけられるか。NHKマイルCの馬券的なポイントはここだ。裏返せば、激走人気薄さえ押さえればビッグな配当が手に入り、大型連休中の失費も簡単に補填できる。データは過去10年分を使用する。

1番人気は【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と頼りないものの、2番人気が【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と手堅く、4番人気以内で計7勝と上位人気から勝ち馬が出現する確率は高い。
だが、9番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%など穴馬も黙っていない。さらに冒頭で触れたように、10番人気以下【0-2-3-84】複勝率5.6%が馬券のカギ。スルっと入り込む超大穴をつかまえないと、馬券は当たらない。
トライアルは2着
2歳王者でニュージーランドトロフィー2着アドマイヤズームが中心を担う。
そこに前走で2歳王者に先着したイミグラントソングや、各前哨戦を勝ったランスオブカオス、ヤンキーバローズが追い、クラシックから転戦してくるマジックサンズ、マピュースらとの力関係もポイント。これは例年のNHKマイルCと同じだ。


まずはアドマイヤズームが出走した前走NZT【2-2-2-38】勝率4.5%、複勝率13.6%から見ていこう。
もはやジンクスレベルだが、前走NZT組は1着馬が【0-0-0-9】とさっぱり。重要トライアルながら、勝つと本番で好走できない。中山と東京との適性がモロに出るのか、とにかく負ける。
反対に2着馬は【1-2-0-4】勝率14.3%、複勝率42.9%なので、休み明け惜敗のアドマイヤズームはむしろ本番では評価をあげていい。
以下、データで評価できるのは3着【1-0-1-7】勝率11.1%、複勝率22.2%ぐらい。牝馬コートアリシアンも侮れない。
前走アーリントンカップ(※今年からチャーチルダウンズカップ)【1-0-5-26】(勝率3.1%、複勝率18.8%)は3着以内【1-0-4-17】に対して4~9着が【0-0-0-7】、10着以下は【0-0-1-2】。基本は3着以内も、22年カワキタレブリーは11着大敗から3着に激走した。
前走ファルコンステークスは【1-0-2-19】勝率4.5%、複勝率13.6%となっている。やはり1400mからの距離延長でトライアルと比べると分が悪い。
ただし1着【0-0-0-9】ながら2着【1-0-1-3】、5着【0-0-1-1】と人気が落ちる惜敗組が買い。NZTと同じく、勝ってしまうと本番で好走できない。
前走2着に絞るなら、3着以内は40.0%。モンドデラモーレは妙味ありだ。2走前ジュニアカップの勝ち馬はファンダム。次走で毎日杯を勝ち、ダービーへ進む。ラスト600m11.7-11.3-11.4とレースラップもハイレベル。力関係でいえば、主要路線組と互角ではないか。
10番人気以下の激走ポイントとは
力関係という意味では皐月賞、桜花賞組はもっとも頭を悩ませる。クラシックは当然、出走メンバーも世代最上位。マイル路線組より強いものの、そこで負け、二冠目に進まない馬たちが回ってくるので、力関係が測りにくい。

皐月賞・桜花賞経由は“掲示板”が目安。前走5着【2-0-0-0】など、クラシックで掲示板確保なら【5-2-0-2】。6着以下は【0-2-0-20】なので、まずは「クラシックで掲示板」がひとつのラインといっていい。
クラシックからの転戦組では、今年は桜花賞4着のマピュースが一番手。赤松賞1着、クイーンカップも2着と東京マイルは得意。逆転候補だ。
最後に波乱の使者たる10番人気以下の傾向を。前走重賞組は【0-1-3-70】で、3着以内だと【0-0-0-20】と馬券内なし。一方で4、5着だと【0-1-2-9】となり、6~9着は【0-0-0-20】。そして10着以下が【0-0-1-21】だ。
今年の登録馬たちにこのデータを乱暴に当てはめると、以下のようになる。
・サトノカルナバル(共同通信杯5着)
・ショウナンザナドゥ(桜花賞10着)
・スリールミニョン(チャーチルダウンズC4着)
・ティラトーレ(フローラS15着)
・トータルクラリティ(ファルコンS10着)
・パンジャタワー(ファルコンS4着)
・マイネルチケット(シンザン記念4着)
・マピュース(桜花賞4着)
ミーントゥビー(NZT5着)
このなかで出走、かつ10番人気以下ならば馬券に潜ませてほしい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・川田将雅騎手はGⅠで単回収率300%超え 芝1600m戦に強い種牡馬、騎手、調教師を東大HCが調査
・東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証
・安定のルメール騎手、頭にしたい川田将雅騎手 東大HCが「3歳重賞に強い騎手、調教師、種牡馬」を調査