19年には3連単449万馬券の大波乱
直近10年で3連単の7桁配当が2回出ている唯一のGIは? この問いに即答できるファンはそう多くないだろう。そして、その答えこそが今週末の高松宮記念なのだ。
振り返ると19年は3番人気ミスターメロディ→12番人気セイウンコウセイ→17番人気ショウナンアンセムで449万7470円、22年は8番人気ナランフレグ→5番人気ロータスランド→17番人気キルロードで278万4560円の大波乱だった。このように荒れる時はとことん荒れる春のスプリント王決定戦。過去10年を振り返り、今年の大穴候補を見つけ出そう。
直近10年の高松宮記念において、単勝10.0倍以上で馬券に絡んだ馬は10頭いる。その共通項を探ると、大きく4つのポイントが浮かび上がってきた。
(1)ベテラン重視
10頭のうち、牡馬・セン馬の7頭は6歳以上、牝馬の3頭は5歳以上だった。22年に17番人気で3着のキルロード、23年に12番人気で1着のファストフォースは7歳、23年に13番人気で3着のトゥラヴェスーラは8歳だったので、いわゆる高齢馬でもOK。いや、それどころか大ベテランの豊富なキャリアこそが求められるレースといえる。
(2)大型馬優勢
全10頭が馬体重476kg以上、うち4頭が500kg以上だったように、ある程度は体がある馬でないと厳しい。これは芝1200mのGIらしい傾向といえるだろう。18年に10番人気で3着のナックビーナスは、牝馬ながらメンバー中で2番目となる当日馬体重522kgの大型馬だった。ここでは、前走時の馬体重が476kg以上だった馬を対象とする。
(3)休み明けは割引
10頭のうち、23年3着のトゥラヴェスーラを除く9頭は、年明けにレースを使っていた。近年のGIは「前哨戦組<直行組」のイメージだが、高松宮記念に限ると休み明けは割引。ちなみに、直近10年において、年明け初戦で勝利したのは21年ダノンスマッシュ、24年マッドクールの2頭だけとなっている。
(4)前年以降の実績
幾ら人気薄といっても、全く実績のない馬や、近走さっぱりの馬では厳しい。10頭中8頭には、前年以降に重賞2着以内の実績あり。そしてそれ以外の2頭、ともにブービー人気だった19年3着のショウナンアンセムと22年3着のキルロードは、同じくオープンを勝っていた。
登録馬の中で、以上の4項目を全て突破したのは以下の5頭だった。
・ウイングレイテスト
・エイシンフェンサー
・キタノエクスプレス
・ママコチャ
・グランテスト(除外対象、回避を表明済み)
今年の高松宮記念の特徴は有力馬に休み明けが多いこと。サトノレーヴとルガルは12月の香港スプリント、ナムラクレアとマッドクールは同じく阪神C以来となるので、全幅の信頼は置きづらい。
その点、3月頭のオーシャンSを勝っての参戦となるママコチャは安心感があるので、軸に最適だ。ここからウイングレイテスト、エイシンフェンサー、キタノエクスプレスへの馬連&ワイドが本線。大穴でヒモ3頭のワイドボックスも買っておきたい。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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