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【愛知杯回顧】超ハイペースの差し競馬 「後半3F36.0」で輝いたワイドラトゥールの“強み”

2025 3/24 11:00SPAIA編集部
2025年愛知杯、レース結果,ⒸSPAIA

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前後半3F32.7-36.0秒のハイペース

23日に中京競馬場で行われた愛知杯(GⅢ・芝1400m)はワイドラトゥールが勝利。接戦の2着争いはシングザットソングが制し、1番人気カピリナは3着だった。

3月中京の短距離戦として装いを新たにした愛知杯。舞台となる中京芝1400mはスタートから300mほどが緩やかな上り坂だが、そこから下りに転じ、直線の急坂を迎えるまで600m以上も下り続ける。

先行争いが長引くと道中でペースを落とすのは難しく、とてつもない激流になることがある。今年の愛知杯は、そんなコースを象徴するような競馬になった。

1200mのオーシャンSで逃げてきたテイエムスパーダがここでも強気に主張。ハナを取り切ったはいいが、リバーラとベガリスがぴったりと追走してきて息を入れられない。

レースラップは12.0-10.1-10.6-11.5-11.9-12.1-12.0(前後半3F32.7-36.0秒)の超ハイペース。テイエムスパーダは直線を待たずして一杯になり、かわって先頭に立ったベガリスも残り300mあたりで脚が上がっていた。

後方勢が有利な展開のなか、じっと脚を溜めて勝機を伺っていたのがワイドラトゥールだ。

スタートで出遅れるも、北村友一騎手いわく「レース前から『速くなりそうだな』という感じはしていた」とのことで、ポジションを上げず、後方3~4番手で進めた。結果から言えばこの判断が大正解。直線は馬場の良い大外に持ち出し、バテた先行勢を一気に飲み込んだ。

これがJRAでの産駒初重賞制覇となった父カリフォルニアクロームは、米国二冠に加えドバイWCも制するなど、ダートを主戦場とした馬。また、母ワイドサファイアの仔には20年のJpnⅠ・かしわ記念を勝ったワイドファラオがいる。血統だけ見ればダートでも、と思わせる。

芝の「キレ味比べ」では見劣る反面、「ペースを維持する資質」に長けるのがダート血統の強み。ワイドラトゥール自身も今回のような展開は大好物だった。

このレースを選択した陣営の采配と、9戦連続の騎乗で絆を深めた北村友一騎手の騎乗がピタリとハマった、実に鮮やかな勝利であった。


先行勢は見直し可能

2着シングザットソングは中団の内ラチ沿いを追走し、直線もインを突いてしぶとく脚を使った。

結果的にもっと後ろの馬に展開が向いてしまったが、久々に重賞で連に絡むことができた。前走のターコイズSも外枠から粘って悪くない走りはしていたが、フィリーズレビュー勝ちの実績からしても、やはり1400mが距離的にはベストだ。

3着カピリナは3~4角の勝負所で手応えが鈍り、馬場に脚をとられてバランスを崩すシーンもあった。

それでも、直線はしぶとく食い下がってシングザットソングとはアタマ差。牝馬限定なら重賞でも通用するメドが立った。2走続けてコーナーでモタついており、距離は問題ないどころか、もう1ハロン延びてもいいかもしれない。

6着スウィープフィートは永島まなみ騎手に戻っての一戦で、今回は出遅れ。結果は出なかったが、長期休養明けの+24kgで大外を回って上がり最速をマークした。始動戦としては及第点といっていい。ここを叩いて絞れれば上向いてくるだろう。

逃げ馬と2番手の馬が17、18着に沈んだ通り、先行勢は総じて苦しい展開になった。そんな中で3番手追走から9着に粘ったベガリスは今後どこかで穴を開ける予感がある。ほか、11着イフェイオンや15着クランフォードあたりも次走以降の反撃に警戒だ。


2025年愛知杯、レース回顧,ⒸSPAIA


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