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【阪神大賞典】本命候補は先行可能のサンライズアース 対抗は指数トップのゴールデンスナップ

2025 3/22 18:00山崎エリカ
2025年阪神大賞典のPP指数,ⒸSPAIA

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2022年以降はスローペースの傾向

2020年まで阪神芝3000m戦はこのレースしかなく、年によってペースのバラつきが見られた。しかし、最近は芝3000mの3勝クラスが作られたことで、騎手がペース配分しやすくなり、極端にスローペースの傾向に。これにより上位争いする馬の脚質にも変化が見られるようになった。

2015~21年の7年間では、差し、追込馬が6勝、2着も6回と差し、追込馬の天下だったが、22年以降はスローペースの影響で先行馬が2勝、2着1回。ただし、勝利したジャスティンパレスとテーオーロイヤルはともに次走の天皇賞(春)も優勝している。長距離戦ではスローペースでも前から押し切ることは簡単ではないことも踏まえて予想したい。


能力値1~5位の紹介

2025年阪神大賞典のPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 ゴールデンスナップ】
3歳時に芝長距離路線で頭角を現し、昨夏のタイランドC(札幌芝2600m戦)では、3着ハヤヤッコに5馬身差をつけて勝ち馬とアタマ差の2着に健闘。ここでは出遅れて後方を追走していたが、向正面半ばで一気に仕掛けて中団まで上がり、そのまま3角の外から捲って4角で先頭に並びかけていった。

最後の直線でショウナンバシットとのマッチレースをアタマ差で敗れたが、2度も同馬にぶつけられる不利があり、その不利がなければ勝っていた可能性が高い内容だった。

そして前走の万葉Sを勝利。前走では1番枠から五分のスタートを切り、押していったが、下がって中団の最内を追走した。道中は緩みなく流れ、縦長の隊列。スタンド前では無理なく進めていたが、2周目の向正面で中団から離れた4列目の最内まで進出した。

3~4角でペースダウンすると、押し上げて4角出口で前2頭の外に誘導。直線序盤で2番手に上がり、ラスト1Fで先頭のウェイビーを捉えて2馬身差で完勝した。

ここでは前中後5F62秒3-61秒8-66秒1のかなりタフな馬場で極端なハイペース。中団の最内で脚を溜めたことが好走に繋がった面はあるが、ここへ来ての勢いを感じさせる。

ただし、昨夏のタイランドCも前走もタフな馬場で上がりの掛かる展開。タフな馬場でこの距離なら本命も視野に入るが、高速馬場でスローペースが濃厚の組み合わせとなると、ゲートの甘さや前半でポジションを取れないリスクがある。ここは対抗評価としたい。

【能力値2位 ショウナンラプンタ】
前走の日経新春杯で2着。前走では14番枠からやや出遅れ、無理なくコントロールしながら後方中目を追走した。道中はメイショウタバルが飛ばしていく展開でペースが速かったが、後方で脚を温存して進めた。

3~4角では2列目以降がメイショウタバルとの差を詰めていったが、中団の外々から4角出口で大外に誘導して直線へ。直線序盤で追われてじわじわと3列目に上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて3着に3/4馬身差をつけて2着を確保した。

前走は時計の掛かる馬場で前後半5F57秒7-60秒9のかなりの激流。3~4角でヴェローチェエラをマークする形になり、4角で4~5頭分外を回るロスを作ったが、展開に恵まれる形での2着だった。

本馬は菊花賞でもダノンデサイルなど、3~4角では包まれる馬が多かったなか、中団の中目から4角で内のスペースを拾い2列目で直線と、上手く立ち回れていた面はあるが、4着に善戦しているように、長距離が得意だ。

今回は休養明けの前走で展開に恵まれ、自己最高指数を記録した後の疲れで、やや指数がダウンする可能性はある。しかし、菊花賞では前に壁を作っても掛かる面を見せていた本馬が、前走では折り合いの良化を見せていた。この距離では軽視できない。

【能力値3位 ワープスピード】
昨年の阪神大賞典2着馬。同レースでは9番枠からやや出遅れ、そこから促されてはいたが、進みが悪く中団馬群の後方、外目を追走。スタンド前で最内に入れて、向正面から内のスペースを拾いながら進出した。

3~4角では2列目のテーオーロイヤルの後ろから最短距離を通って直線へ。直線序盤で馬群の中目を捌いて3列目付近に上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて2番手。外からブローザホーンに迫られたがクビ差で凌ぎ切った。

ここは前中後5F63秒7-65秒2-57秒9の超スローペース。3角からペースアップしていく展開だったが、ここで上手く最短距離を通ったことが好走要因となった。本馬の一列前で進めていたテーオーロイヤルには5馬身も離されてしまったが、同馬は天皇賞(春)の優勝馬で仕方ない。

本馬は昨年のダイヤモンドSでも中団の最内で進めて、4角出口で中目に誘導してテーオーロイヤルとクビ+1馬身1/4差の3着に善戦しているように長距離が得意だ。

ただ欧州遠征後の休養明けとなった前走のダイヤモンドSでは5馬身半ほど離された4着に敗退。中団でヘデントールをマークして乗り、3~4角の4頭分外から一気に仕掛けて同馬を負かしにいく強気の競馬だったにせよ、最後の直線で甘くなりすぎた内容にやや物足りなさを感じる。メルボルンCでハナ差の2着に好走した疲れがまだ抜けきっていないように映る。

【能力値4位 ヴェローチェエラ】
3歳時は賞金不足でクラシックへ出走が叶わなかったが、昨夏のルスツ特別(1勝クラス)で戦列復帰すると3連勝でオープン入りを達成。前走の日経新春杯では「GⅡの壁」に当たったが、それでも3着馬とクビ差の4着に健闘し、地道に地力をつけていることを証明した。

前走は13番枠から五分のスタートを切り、ほぼ馬なりで好位に上がったが、メイショウタバルが大逃げする展開でペースが速かったことから、やや位置を下げて中団の外を追走。向正面では中団の中目で前に少しスペースを作って進めた。

3~4角で中団の外々から仕掛けて、4角では4~5頭分も外を回して直線へ。直線序盤で追われて伸びて3列目まで上がり、ラスト1Fで2列目に上がって内のマイネルエンペラーとの叩き合いとなったが、クビ差で敗れた。

前走は最後に伸び切れずに、2走前の比叡Sで2着に下したマイネルエンペラーに逆転を許したが、終始外々を立ち回り、4角でかなりロスを作っており、見劣る内容ではなかった。

本馬は時計の掛かる馬場で行われた2走前では、中団外から3角の下りでじわっと加速して進出し、4角で押し上げて一気に先頭列まで上がり、直線早め先頭から押し切ったように、長くいい脚が使える点が魅力。芝3000mが吉と出るかはやってみないとわからないところがあるが、前走からさらなる前進があれば通用するはず。

【能力値5位 マコトヴェリーキー】
前走の京都記念で3着。前走では10番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら進めていたが、あまりにペースが遅く楽に好位を取った。道中は好位の外目で2番手のセイウンハーデスをマークして3角を迎える。

3角の下りで外からチェルヴィニアが上がってくると、それに抵抗して仕掛け、4角ではやや外に振られたが、馬なりで食らいついて2列目付近で直線へ。直線序盤で追われて伸びてはいたが、まだ4番手。ラスト1Fでバビットを捉えて3着に上がり、2着リビアングラスにクビ差まで詰め寄った。

前走は雨と雪の影響でタフな馬場ではあったが、前後半5F62秒9-59秒7のかなりのスローペース。仕掛けは速かったが、8番人気の逃げ馬バビットが4着に粘る展開を先行できたことが好走要因だ。またここではペースアップした3~4角で2頭分外を回っているが、当日は馬場の内側がやや悪化していたことから、そこまで大きな影響はなかったと見ている。

本馬は芝2000mでは追走にやや忙しさを見せていたことから、芝2200mへの距離延長も歓迎と見ており、レースでは想定よりも良い位置が取れた。今回もスローペースが濃厚の組み合わせ。好位で立ち回れる優位性があるが、休養明けの前走で自己最高指数を記録した後の一戦となるため、余力面での不安がある。


本命候補はサンライズアース

サンライズアースは昨年の日本ダービーで4着。ここでは1番枠から好スタートを決め、コントロールして最後方まで下げ切った。しかし、極端なスローペースで向正面でもペースが上がらず、本馬の前にいたコスモキュランダが捲りにかかると、ワンテンポ待ってそれを追い駆ける形で上がった。

3~4角では2頭分外から押し上げて先頭に進出。4角でやや置かれ2列目に下がって直線へ。直線序盤で追われたが伸び切れず、ジャスティンミラノに前に出られて5番手。ラスト2Fでじわじわ同馬に食らいついて、ラスト1Fでも踏ん張ったが4着までだった。

日本ダービーはCコース替わりの堅い馬場で前後半5F62秒2-56秒8の超スローペース。内と前が有利な馬場、展開だった。本馬は新馬戦、すみれS、皐月賞とこれまで出遅れ続きだったが、日本ダービーでは好スタートを切ったことで位置を下げるのに苦労し、ペースが上がった3~4角で捲り切れず、4角で外目を回るロスを作ったことが痛かった。

しかし、4角で外目を回って再先着しており、後方から長くいい脚を使っていた。こういうタイプは長距離でこそ狙いたい。

昨秋は夏負けの影響で菊花賞への出走は叶わず、今年1月の日経新春杯で復帰。長期休養明けで馬体重16kg増と太く、かなり掛かってオーバーペースの大逃げを打ったメイショウタバルの2番手を追走したために16着と大敗したが、体が絞れた前走の早春Sでは2着と復調の兆しを見せた。

前走では2走前に前半が速いレースを経験したことで、馬自身が積極的に推進していく形。折り合いに苦労していたが、2角でコントロールして何とか折り合わせての2着だった。今回は日本ダービー時の鞍上、池添謙一騎手に乗り替わり、折り合わせてくるだろう。ここもスローペースが濃厚の組み合わせで、先行できるようになった本馬に期待したい。本命候補だ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ゴールデンスナップの前走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値 =(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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