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【マーチS】直近10年で10連対「前走OP・L組」の取捨がカギ 決め手上位ブレイクフォースに好材料

2025 3/23 17:30勝木淳
過去10年のデータから見るマーチS,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上級条件は差しに注意

中山はダートコースのバリエーションがさほどなく、1200mと1800mが大半。たまに2400、2500mが入るぐらい。1800mの重賞はマーチSだけだが、オープンや3勝クラスは数多く組まれ、今年3月16日までの過去5年ではマーチSを含め72レースが行われた。逃げ19、先行28勝、中団・後方から差した馬は25勝。条件戦では逃げ・先行が基本でも、上級条件は差し馬の逆転もそれなりにある。

このうちハンデ戦は28レース行われ、逃げ5、先行11、中団・後方12勝とハンデ戦になると、さらに乱戦模様に。差し切った12頭の斤量増減別の勝利数は今回増が0、増減なしが6、今回減が6勝。なかでも2キロ以上減った馬が5勝もあげた。ハンデキャッパーから「ちょっと厳しいのではないか」と評価を受けた馬が激走するからおもしろい。

この5頭の前走着順はすべて5着以下。馬柱の着順を額面通りに受けとれない。上級条件は一般的なコース傾向より差しが決まり、前走から大きく巻き返す激走型が潜んでいる。中山ダート1800mは難解なコースだ。

ここからは過去10年分のデータを使用して、今年のマーチSを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気別成績から。1番人気は【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%と馬券圏内に入る確率は半々。2020年スワーヴアラミスが1番人気の連敗を止めたものの、そこから4連敗中。加えて、前走が3勝クラスだった馬は馬券圏内がない。

2番人気は【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%で、3、4番人気【0-2-2-16】。5~8番人気が【6-2-1-31】と上々の数字を残し、10番人気以下【1-2-4-60】勝率1.5%、複勝率10.4%と、どこからでも入れる重賞だ。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別成績では、4歳が【0-2-0-24】複勝率7.7%と不振。芝では主力世代でもダートだとまだまだ地力と経験が足りず、重賞では壁にはね返される。5歳【4-3-3-25】勝率11.4%、複勝率28.6%、6歳【4-4-4-40】勝率7.7%、複勝率23.1%が主力を形成し、7歳以上も【2-1-4-37】勝率4.5%、複勝率15.9%と奮戦。ベテラン勢にも目を配ろう。

穴気配漂うブレイクフォース

プロキオンS組や各オープン特別好走馬に加え、芝から転戦組と今年も比較しにくい、難しい組み合わせになる。人気の盲点もあり、妙味ある一戦になりそうだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


クラス別成績を確認する。前走重賞組では、前走東海S(※今年からプロキオンS)が【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。3着【1-0-1-0】、4、5着【0-0-0-1】。数字としてはアテにならないが、好走を目安と考えるなら、4、5着ホウオウルーレット、ミッキーヌチバナは買える。

前走OP/L・レース別成績,ⒸSPAIA


マーチSのポイントは、前走オープン・L【4-6-7-66】(競走中止除く)勝率4.8%、複勝率20.5%の取捨だ。2、3着の数をみれば、その重要度はすぐご理解いただけるだろうが、なにせ頭数が多く、毎年、凡走も山ほど出る。

そこでレース別の成績を出す。同舞台の総武S【2-4-1-26】勝率6.1%、複勝率21.2%、ポルックスS【1-1-2-9】勝率7.7%、複勝率30.8%、師走S【0-0-1-1】複勝率50.0%がポイントであり、ややこしくもある。

総武S・着順別成績,ⒸSPAIA


まずは前走総武Sから。勝ち馬も【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%と悪くないが、5着以内まで広げても【1-4-1-15】勝率4.8%、複勝率28.6%と好走チャンスあり。6~9着も【1-0-0-4】勝率、複勝率20.0%で、消せるとすれば10着以下【0-0-0-7】。1、2着ヴァンヤール、ハビレに9着キタノリューオーまでがゾーンに入る。

中山以外のオープン特別経由だとアルデバランSが【1-0-0-4】勝率、複勝率20.0%、仁川Sが【0-1-3-17】複勝率19.0%。アルデバランS1、5着のブライアンセンス、ブレイクフォースはどうだろうか。ここから勝ったのは1番人気の連敗を止めたスワーヴアラミスだけ。京都ダート1900mは最後に時計を要するケースが多く、中山ダート1800mと親和性を感じるが……。

ブライアンセンスは昨年のマーチS6着を含め、中山ダート1800m【1-0-1-2】だが、好走はデビュー2戦目まで。オープン、重賞だと結果を残せていない。であれば、同舞台のラジオ日本賞で先着したブレイクフォースか。師走Sは不発に終わったが、決め手上位の差しタイプ。勝負所で外から気分よく追い上げられるなら、一発あっていい。

冒頭に書いたようにこのコースの上級条件は最後に逆転がある。5着に敗れたアルデバランSも上がり最速を記録しており、状態は悪くない。

過去10年のデータから見るマーチS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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