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【阪神大賞典】機動力と末脚の持続力が活きる舞台 本命ショウナンラプンタの初重賞制覇に期待

阪神大賞典・上がり4位以内馬の成績

ⒸSPAIA

末脚が問われるロングスパート戦

3月23日、阪神競馬場で阪神大賞典(GⅡ)が行われる。本レースは天皇賞(春)の前哨戦として位置づけられており、1着馬には優先出走権が与えられる。昨年の勝ち馬テーオーロイヤルは次走で天皇賞(春)を見事に制覇し、春の長距離王に輝いた。

今年は全11頭と比較的少頭数でありながら、昨年の2着馬ワープスピードと3着馬ブローザホーンに加え、4歳屈指の実力馬ショウナンラプンタら骨のあるメンバーが集結した。

以下では、本レースが行われる阪神芝3000mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは阪神芝3000mのコース形態をみる。2コーナー出口付近からスタートし、初角までの距離は約350m。内回りコースのみを使用しコーナーを6回通過する。約1周半回った後、勾配1.8mの急坂が待つ356.5m(Aコース使用時)の直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。

初角までの距離が長いコースは通常であれば先手争いが長引きやすく、ペースは上がりやすい。ただ、このコースに関しては3000mという距離に対する騎手心理も相まって、序盤から積極的に先行馬が競っていくことは少ない。前半のペースは比較的落ち着きやすい印象だ。

向正面まで淡々と流れた後、2周目の3コーナー過ぎから一気にペースアップする。前半のゆったりとした流れから打って変わり急坂を登りきるまで激しいロングスパート戦になる。

好走するためには6回のコーナーをこなす器用さ、3000mという距離で2回の急坂を登りきるタフさなど多くの適性が求められる。そして何より、後半のロングスパート戦で長く良い脚を使う「上がりの速さ」が特に重要になっている。

阪神大賞典、上がり3F4位以内馬の成績,ⒸSPAIA


<阪神大賞典 上がり3F順位別成績>
4位以内【10-9-8-13】
勝率25.0%、連対率47.5%、複勝率67.5%、単勝回収率93%、複勝回収率212%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。阪神大賞典における上がり3F4位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。

直近10年の馬券内30頭中27頭を該当馬が占めており、上がり最速の馬が9回も勝利を挙げている。また、例外となった1頭(21年ディープボンド)も、上がり1位の馬とは0.1秒差の3位だった。

脚質を問わず、メンバー上位の上がりを使えることは本レースで好走するための必須条件だと言っていい。逆に、地力が低く速い上がりを使うことのできない先行馬の前残りは皆無である。

まずはスローペースからのロングスパート戦でいかに長く良い脚を使えるかを評価し、その次にロングスパート戦が始まった時の各馬の位置取りによるアドバンテージを考慮する。この点について以下の展開予想で考察していく。

より前目から、長く良い脚を使える馬

続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。

メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が3頭と、出走馬全11頭に対して比較的少ない。その3頭も徹底先行タイプではなく、出走馬のうち直近2走で逃げた経験のある馬は一頭もいない。前半はゆったりとしたペースで流れるだろう。2周目3コーナー過ぎからのロングスパート戦という例年の展開をなぞることは確実だ。

この展開で重要になるのが位置取り。直近10年の勝ち馬は全て4角5番手以内から勝利している。シュヴァルグランのように上がりの速さで他に大きな差を付けた馬もいるが、そうでない場合は当然ながら位置取りの差が競り合いの結果を左右する。

したがって、速い上がりの脚を持つことは前提とした上で、道中前目の位置からスムーズに追い出せる馬。もしくは高い機動力で早めにマクっていき、直線までに前目の位置を取れる馬が展開面では最も恵まれると考える。

各馬のテンの速さを比較し、道中の位置取りにも注目して印を打っていく。

安定した機動力と持続する末脚が武器

◎ショウナンラプンタ
安定した機動力と堅実な末脚を兼ね備える4歳屈指の実力馬。前走の日経新春杯は超ハイペースの差し有利な展開が向いたとはいえ、内有利な中京で大外を回って上がり最速の脚を使い0.5秒差2着。着順、着差以上に評価できる内容だった。

2走前の菊花賞も大幅な距離延長で折り合いを欠くロスがありながらも、世代最高峰のメンバーの中で0.4秒差4着。高い能力と長距離適性を示している。

仕掛けどころで自ら動いていける機動力と、最後まで伸び続ける末脚が武器。今回想定される“スローペースからのロングスパート戦”に最も合った走りができる。鞍上もテン乗りではあるものの、長距離実績確かな武豊騎手と心強い。順当に能力を発揮すれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。

○サンライズアース
前走の早春Sは折り合いを欠くロスがあったとはいえ、内前有利な展開に恵まれて0.1秒差2着。素直に評価できる内容ではなかった。一方、2走前の日経新春杯は長期休養明けかつ前走比+16kgと状態面も万全とは言えない中、超ハイペースを先行し4.2秒差16着。これは完全に度外視可能な敗戦だ。

注目すべきは3走前の日本ダービー。内前有利な展開を後方17番手から一気にマクって0.7秒差4着。世代最高峰のメンバー相手に高い能力を示した。今回の相手なら上位の能力を持つのは間違いない。

加えて先行馬が手薄なメンバー構成となった今回、本馬の安定した先行力があれば好位から競馬ができるはず。前で立ち回り、位置取りの差を生かした競馬ができれば順当に好走してくるとみて、2番手評価とする。

▲ブローザホーン
直近は全く振るっていないが、長距離実績豊富な実力馬。3走前の京都大賞典は明らかに道中で進んでいかず、鞍上も心房細動の可能性を鑑みて無理をさせずに2.4秒差11着。これは度外視していい。

2走前のジャパンカップは超スローペースからの瞬発力戦。後方から立ち回る上に、キレ味がなく上がりが掛かるレースを得意とする本馬にとって厳しい展開だった。ただその中でもキャリア最速の上がり3F33.8秒の脚を使えており、過度に評価を下げる内容ではない。有馬記念も同様の敗戦であった。

ここ2戦は得意でない条件で展開が向かなかったとはいえ、やや負けすぎてはおり、ある程度能力の衰えも感じる敗戦だったと言える。ただ、内前有利な展開に後方大外からただ一頭差してきた昨年の天皇賞(春)は衝撃だった。

斤量の負担はやや厳しいものの、再度長距離に戻す今回、復活するならここしかないと考える。大敗続きでオッズ妙味も見込まれる。

△ヴェローチェエラ
前走の日経新春杯は展開不利の中0.7秒差4着。ショウナンラプンタには内容で劣るものの、着順や着差以上に評価できる内容だった。

買い目は◎単勝1点と、◎-◯▲の馬連2点。◎-◯▲△3連複3点で勝負する。(花田)

▽阪神大賞典予想▽
◎ショウナンラプンタ
◯サンライズアース
▲ブローザホーン
△ヴェローチェエラ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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