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【阪神大賞典】「前走重賞×4歳」は複勝率69.2% ショウナンラプンタ、ヴェローチェエラが中心

2025 3/16 17:00勝木淳
過去10年のデータから見る阪神大賞典,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

勝ち馬はすべて3番人気以内

昨年の覇者テーオーロイヤルがこの春も全休となり、2年前の勝ち馬ジャスティンパレスは大阪杯から始動。春の盾を巡るステイヤーの争いは、昨年の菊花賞馬アーバンシックが日経賞を予定しており、阪神大賞典ではブローザホーンが始動する。

菊花賞4着ショウナンラプンタは日経新春杯2着とステイヤーらしい戦歴でここに駒を進める。3000m以上で頂上を狙うからには、阪神大賞典は突破しないといけない。2023、24年は阪神大賞典の勝ち馬が淀の長距離を制した。一時期、別路線の台頭を許すも、最近はまた復権気配だ。ショウナンラプンタもこの流れに乗りたいところ。そのためにもきっちり長距離適性を示してほしい。

ここからは過去10年分のデータを使用して、阪神大賞典を展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


小細工無用の長距離戦とあって1番人気は【5-1-2-2】勝率50.0%、複勝率80.0%と優秀。勝ち馬は2番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%まで。以降も順当に確率が落ちていき、当日人気の信頼度が高い。抗わず、素直に人気馬を買うレースだ。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では、4歳が【4-4-2-11】勝率19.0%、複勝率47.6%と高い。この年齢で3000m以上に適性を見出すには、菊花賞好走といった根拠が必要だ。使っていくうちにベストは長距離、と判断するのは5歳【3-4-5-18】勝率10.0%、複勝率40.0%、6歳【3-2-3-22】勝率10.0%、複勝率26.7%など、年齢を重ねてから。

レース数も少なく、経験の機会がそうない長距離はスペシャリストになるまで時間を要する。つまり、4歳で早くも3000mに挑戦する馬は数少ない長距離戦で結果を残したから。それだけ実績があるという意味だ。スペシャリストとして歩む5、6歳との勝負は4歳が優勢で、着実に長距離適性を感じる4歳はきっちり重い印を打とう。

期待したくなるゴールデンスナップ

重賞惜敗のショウナンラプンタ、ヴェローチェエラは似た成績でもニュアンスが異なる。菊花賞4着だったショウナンラプンタは3コーナー通過後、一気に進出する積極策をみせ、GⅠで見せ場をつくった。粘りきれなかったが、これを機にひと皮むけた。

ヴェローチェエラは2400、2600mで3連勝を決め、オープン入り。距離の可能性を感じての参戦であり、3000mは初出走。可能性を確信に変えられるか。実績と可能性、結果はどう転ぶか興味深い。

4歳・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


データからは、4歳はやはり実績をとる。前走が重賞の4歳は【4-3-2-4】勝率30.8%、複勝率69.2%で、前走日経新春杯は【1-0-0-2】。16年シュヴァルグランが前走2着から勝利した。ショウナンラプンタがイメージに近いか。

今年の日経新春杯はメイショウタバルが飛ばし、前半1000m通過57.7、1200m通過1:08.9とスプリント戦レベルで推移した。1400mまで11秒台を刻み、残り800mは12.1-12.2-12.7-12.5の体力勝負に。着順通りしぶとく伸びたショウナンラプンタが上だろう。ただし、スローペースでの経験はヴェローチェエラも負けてない。日経新春杯を特殊なレースと割り切れば、巻き返しもあるか。

5、6歳・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


では5、6歳はどんな傾向なのか。基本は4歳と同じで重賞組が強く、前走有馬記念が【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と目立つ。10着以下であっても【0-1-1-1】複勝率66.7%なので、12着ブローザホーンは安心とはいかないが、崩れる場面も想定しにくい。2着だった昨年天皇賞(春)時の勢いは感じないが、間隔をとってスランプ脱出となるか。

5、6歳・前走GⅡ、GⅢ・レース別成績※好走のみ,ⒸSPAIA


5、6歳の前走GⅠ組以外ではAJCCが【2-0-0-1】勝率、複勝率66.7%と良い。AJCC(中山芝2200m)は中山記念(中山芝1800m)と相性が悪く、位置づけとしては中距離より長距離に近い。冬の中山最終週で、タフな馬場だからだろうか。

同じ長距離戦のダイヤモンドSは【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%で、好相性ともいえない。ただし、4着以内【1-1-1-2】なので、帰国初戦で4着だったワープスピードは評価しないといけない。

ステイヤーズSは【0-1-0-0】とサンプルが少ない。長距離路線はレース数が少ないからこそ、出られるレースは積極的に参戦する。ステイヤーズSから阪神大賞典まで休養せず、3000mの万葉Sを勝ったゴールデンスナップは昨年の5着馬であり、ステイヤーズSも4着と長距離で安定した成績を残す。

しかし、牝馬は阪神大賞典【0-1-0-6】。1986年以降で見ても【0-2-1-14】で、2000m時代までさかのぼっても、レース史上牝馬の優勝はない。くわえて、前走万葉Sは過去10年、【0-0-1-9】複勝率10.0%(※着外のうち1頭は競走中止)と相性は良くない。ただ、中京の万葉Sは【0-0-1-3】(※着外のうち1頭は競走中止)。京都の軽さではなく、タフな中京を経験したのはプラスに出るかもしれない。

また、父ゴールドシップは阪神大賞典3連覇とこのレースには滅法強かった。ゴールデンスナップが当てはまる、母の父ロベルト系とは相性がよく、この組み合わせの産駒では通算31勝。2500m以上は【3-6-3-17】勝率10.3%、複勝率41.4%と長距離に強い点は好材料だ。

過去10年のデータから見る阪神大賞典,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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