傾向解説
今年で第99回を迎える伝統のGⅡ中山記念。2月の別定GⅡという、本レースを目標とする中山巧者はもとより、GⅠへ向かう強豪馬も使いやすい舞台であり、地力、適性、状態などさまざまな要素が絡み合う一戦です。本記事では血統面を中心に、中山記念のレース傾向を整理していきます。
最初に紹介したいデータは単勝オッズ別成績。先述の通り、中山記念はGⅠ馬も数多く出走するGⅡのため、適性と調子だけで好走できる重賞ではありません。過去10年では単勝オッズ20倍以上の馬が好走したのは4例しかなく、手広く押さえるべきではない重賞といえます。
単勝オッズにこだわる必要はありませんが、ある程度の地力を示していることは最低条件となります。
<単勝オッズ別成績(過去10年)>
9.9倍以下【9-6-4-27】
勝率19.6%/連対率32.6%/複勝率41.3%/単回収率97%/複回収率76%
10.0~19.9倍【1-2-4-12】
勝率5.3%/連対率15.8%/複勝率36.8%/単回収率84%/複回収率158%
20.0~29.9倍【0-0-1-5】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率16.7%/単回収率0%/複回収率61%
30.0~49.9倍【0-2-1-8】
勝率0.0%/連対率18.2%/複勝率27.3%/単回収率0%/複回収率197%
50.0倍以上【0-0-0-41】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
また、先行力も重要なポイント。開幕週、かつ1角までの距離が短い中山芝1800mという舞台設定のため、後方待機勢の追込みはなかなか決まりづらい傾向にあります。
単勝オッズ20倍以上で好走した4頭中3頭は初角2番手以内の先行馬で、残り1頭はイン差しの形でした。
<初角番手別成績(過去10年)>
5番手以内【9-6-8-32】
勝率16.4%/連対率27.3%/複勝率41.8%/単回収率94%/複回収率122%
6番手以下【1-4-2-61】
勝率1.5%/連対率7.4%/複勝率10.3%/単回収率13%/複回収率34%
血統面では、Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingに注目(いずれも父がNorthern Dancerで、母はSpecial牝系と、よく似た配合系)。ヨーロッパの主流血脈であるこれらの血は中山内回りの中距離重賞に滅法強く、本レースでも好走率、回収率ともに水準以上の成績を残しています。
特に近年は同血脈を複数本持つ馬も多く、2022年は1着馬パンサラッサがNureyev≒Sadler's Wellsの5×3、2023年は2着馬ラーグルフがSadler's Wells=Fairy Kingの4×3を持っていました。
Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingと同様に、機動力に優れたFair Trialの血を持つDanzigやLyphardのほか、同じく機動力があるBlushing Groomなどにも要注目です。
<血統別成績(単勝オッズ20倍未満、過去10年)>
Nureyev内包馬【3-5-5-20】
勝率9.1%/連対率24.2%/複勝率39.4%/単回収率33%/複回収率87%
Sadler's Wells内包馬【2-5-1-5】
勝率15.4%/連対率53.8%/複勝率61.5%/単回収率157%/複回収率171%
Fairy King内包馬【0-1-1-3】
勝率0.0%/連対率20.0%/複勝率40.0%/単回収率0%/複回収率118%