傾向解説
過去10年の出走馬から12頭のGⅠ馬が誕生している出世レース・共同通信杯。昨年も1着馬ジャスティンミラノが皐月賞を勝ち、2着馬ジャンタルマンタルがNHKマイルCを制した。今後のGⅠ戦線に向けても大注目の一戦です。本記事では血統面を中心に、共同通信杯のレース傾向を整理していきます。
最初に紹介したいポイントはノーザンファーム生産馬が強いということ。同週に行われるクイーンCでも目下9連覇中という圧倒的な成績を挙げていますが、共同通信杯においてもノーザンファーム生産馬の勢いは止まりません。毎年、紛れの少ない東京開催のステップレースに照準を合わせてくる傾向にあり、ノーザンファームグループの素質馬にはいつも以上に注意が必要です。
<ノーザンファーム生産馬の成績(過去10年)>
該当馬【6-6-6-22】
勝率15.0%/連対率30.0%/複勝率45.0%/単回収率100%/複回収率102%
血統面ではサンデーサイレンス系の産駒が中心。東京芝1800mという直線勝負になりやすい日本の主流条件のひとつのため、日本の主流血統が中心という血統傾向は当然の結果でしょう。
該当馬も多いため全体での成績は水準よりやや上といった程度ですが、力が足りない可能性が高い単勝オッズ50倍以上を除けば、回収率ベースでも非常に優秀な成績となっています。何より過去10年の3着内馬30頭中19頭がサンデーサイレンス系の産駒ですから、曾孫世代に変わりつつある現在においても中心の血統であることは間違いありません。
<父サンデーサイレンス系の成績(過去10年、単勝オッズ49.9倍以下)>
該当馬【6-6-6-25】
勝率14.0%/連対率27.9%/複勝率41.9%/単回収率108%/複回収率115%
ただ、細かく見るとSadler's Wells=Fairy KingやNureyevといった欧州の主流血脈の好走も目立つのが本レースの大きな特徴です。3頭の種牡馬はいずれもNorthern DancerとSpecial牝系という血統構成で、Sadler's WellsとFairy Kingは全兄弟、Sadler's Wells=Fairy KingとNureyevは3/4同血という間柄です。
特に5番人気以下の好走馬は9頭中8頭が同血脈を内包しており、唯一同血脈を持たない2016年5番人気2着馬イモータルは母父にドイツの名種牡馬Acatenangoを持っていました。日本の主流系統であるサンデーサイレンス系を中心としつつも、Sadler's Wells=Fairy King≒Nureyevなどの欧州の主流血脈で底力を補うような配合形が本レースの最適血統といえるでしょう。
<血統別成績(過去10年)>
Sadler's Wells内包馬【4-3-3-17】
勝率14.8%/連対率25.9%/複勝率37.0%/単回収率146%/複回収率109%
Fairy King内包馬【1-0-0-1】
勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%/単回収率680%/複回収率195%
Nureyev内包馬【3-5-5-35】
勝率6.3%/連対率16.7%/複勝率27.1%/単回収率53%/複回収率126%