3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は25日に小倉競馬場で行われる小倉牝馬Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目に見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった21頭を検討対象とし、競馬場以外の条件が同じ愛知杯の過去9年データを使用する。
今回は25日に小倉競馬場で行われる小倉牝馬Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目に見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった21頭を検討対象とし、競馬場以外の条件が同じ愛知杯の過去9年データを使用する。
小倉牝馬Sは小倉芝2000mで開催される牝馬限定のハンデ戦で、2025年が初めての開催となる。もちろん過去のデータは存在しないが、競馬場が中京から小倉になったということ以外は旧愛知杯を踏襲する形で施行される。そこで今回は旧愛知杯の過去9年分のデータを参考にレースを考えていく。
競馬場が異なるため、すべてのデータが有効ではないが、「前走レース別成績」は重要なポイントになりそうだ。ここからは注目したい前走レース3つを紹介する。
まずはじめはGⅢ昇格後のターコイズSで、成績は【2-1-0-7】複勝率30.0%、単勝回収率362%、複勝回収率137%となっている。2018年にエテルナミノル、2020年にデンコウアンジュが勝利。21年2着ランブリングアレーを含めて、前走で5、6、7着と善戦していた点は注目したい。今年は同12着のセントカメリアが出走予定だが、大敗からの臨戦は気になる。
2つ目は秋華賞で【2-0-0-9】と2頭の勝ち馬が出ている。今年は秋華賞15着のクイーンズウォークが出走予定。前走2.5秒差の15着と大敗しているが、それ以前のパフォーマンスを考えればここでは上位の存在。人気になるのは間違いないだろうが、前走の大敗で少しは買いやすいオッズとなりそうだ。
最後はエリザベス女王杯で【1-2-2-18】。複勝率21.7%、単勝回収率は138%、複勝回収率は82%を記録している。今年はエリカヴィータ、キミノナハマリア、コスタボニータ、ゴールドエクリプス、シンティレーションが特別登録している。特に面白そうなのはコスタボニータ。小倉芝2000mで施行された昨年の愛知杯(当時は変則開催)で3着の実績がある。
【前走がターコイズS、秋華賞、エリザベス女王杯の出走予定馬】
・エリカヴィータ
・キミノナハマリア
・クイーンズウォーク
・コスタボニータ
・ゴールドエクリプス
・シンティレーション
・セントカメリア
昨年のエリザベス女王杯は1000m通過が59.6秒、後半1000mが59.0秒の後傾0.6秒。展開を考えると前後ろの有利不利はなかった。また、高速馬場で内側も十分勝負できる馬場状態だったことから、内外の有利不利もほぼないというGⅠにふさわしい条件がそろっていたと言える。
9着に敗れたコスタボニータは好位外目を追い出される形での競馬だった。本馬は器用なタイプだけに内で脚を溜めて馬群を縫いながらさばくことが勝ちパターン。そのため、不利は受けていないがコスタボニータ自身の走りはできていなかった。くわえて、小回りの2000m以下を得意としており、条件が合っていなかったことも敗因の一つだろう。
今回、内枠を引いて好位のインで競馬ができれば一発があってもおかしくない。
・コスタボニータ
日本での牝祖は母レディイン。同馬は重賞制覇には至らなかったが競走馬として16戦3勝の実績を残している。繁殖としては非常に優秀で、本馬の他にクイーンCや阪神牝馬Sで2着のイチオクノホシ(父ゼンノロブロイ)を出した。イチオクノホシは昨年のフェアリーS勝ち馬イフェイオン(父エピファネイア)を出しており、牝系として勢いがある。
フランスのファミリーらしく、一気にギアを上げて切れるというよりはジワジワと伸びる脚を使う産駒が多いのが特徴。牝馬であれば芝のマイル~2000mくらいを主戦場とするタイプが多い。
本馬は父にイスラボニータを迎えた。5代血統内にクロスのないアウトブリードではあるが、父イスラボニータ、母レディインともにタイプが似ており、その両親から受け継いだ粘り強さとジワジワと伸びる脚が本馬の持ち味でもある。
前走は2200mを走ったが、これまでの戦績を見てもわかるように明らかに距離が長かった。2000mへの短縮や小回りの小倉コース替わりは歓迎。積極的に狙っていきたい。
今回のCアナライズではコスタボニータを推奨する。前走はGⅠだけにレースレベルも高かったが、それ以上に適性が合っていなかった。今回は抜けた上位人気とまではならなそうで買いやすい1頭だろう。2000mへの距離短縮、小回りの小倉コース替わりは好材料で、着外に敗れた前走や2走前以上のパフォーマンスを期待できる。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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