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【プロキオンS】優勝馬の最高単勝オッズは119.2倍 今年から開催条件が替わるダート重賞の「記録」を振り返る

2025 1/20 17:00緒方きしん
プロキオンステークスに関する記録,ⒸSPAIA
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武豊騎手が最多5勝、馬券圏内8回もNo.1

今週はプロキオンSが開催される。当レースは1996年に阪神ダ1400mの重賞として新設(それまでは同名のオープンレースとして行われていた)され、2012年からは開催地を中京に移し、ダートの強豪が集まる一戦として続いてきた(※06年と11年は京都ダ1400mで、21年と22年、24年は小倉ダ1700mで開催)。

今年からは東海Sと「開催時期、競走条件」を入れ替える形になり、フェブラリーSの前哨戦の1800m戦として行われる。今回は、東海Sではなく重賞としてのプロキオンSの記録を振り返る。

まずは過去のプロキオンSにおいて、馬券圏内に多く食い込んだ騎手をランキングにすると以下の通りとなる。

1位 8回 武豊騎手
2位 6回 福永祐一騎手
3位 5回 和田竜二騎手
4位 4回 川田将雅騎手、岩田康誠騎手

4位タイの川田騎手は16年にキングズガードで3着に食い込んだことを皮切りに、翌年には8歳馬ブライトラインで再び3着に食い込み、23年にはリメイクを2着に導いた。

初勝利は22年。4番人気ゲンパチルシファーとのコンビで早めに仕掛けると、人気薄の2頭(14番人気ヒストリーメイカー、12番人気サクラアリュール)を引き連れ勝利した。三連単は7196.5倍の大波乱となっている。

ゲンパチルシファーはその次走としてシリウスSに出走登録していたが、右後肢にフレグモーネを発症し回避。以降は長らく馬券内から遠ざかったが、引退が近づいた24年夏にBSN賞(L)で11番人気2着と好走。再び波乱を巻き起こした。

同じく4位タイの岩田康誠騎手。こちらは08年ワイルドワンダー、13年セイクリムズン、16年ニシケンモノノフと2着が3回ある。

そんな同騎手のプロキオンS初勝利はケイアイガーベラとコンビを組んだ2010年。逃げて上がり3F最速、牝馬ながら2着に4馬身差をつける圧勝だった。

ダートの一流牡馬との戦いで圧倒的な能力を見せつけたケイアイガーベラは、引退後に母としてNHKマイルC勝ち馬ケイアイノーテック、海外GⅠ馬フィアースインパクトなどを送った。

3位の和田竜二騎手は阪神ダ1400m、京都ダ1400m、中京ダ1400m、小倉ダ1700mと、様々な条件のプロキオンSで馬券圏内に食い込んでいる。

特に21年の小倉で行われたプロキオンSでは、14番人気トップウイナーを2着に粘らせる好騎乗。この年は1番人気サンライズホープが6着、2番人気ウェスタールンドが7着といずれも馬券圏外に敗れ、9番人気以下が上位を占めたことで、三連単は19441.4倍という大波乱となった。

ちなみに、当時のトップウイナーはプロキオンSの前走が目黒記念(16番人気16着)。まさに異例のローテで好走を果たしている。

2位の福永騎手は02年、03年にスターリングローズで連勝。4歳春(現3歳春)には芝の若草Sで1着アグネスフライト、5着タップダンスシチーといったのちのGⅠ馬たちに挟まれる形の3着に好走したこともあった。

01年の夏には芝でも勝利をあげたが、以降はダートに専念。重賞初挑戦となったシリウスSでいきなり3着に食い込んだ。重賞初制覇が02年のプロキオンSで、翌年に連覇するまでの間にJBCスプリントやかしわ記念を制するなど、ダート界をけん引した。

引退後に種牡馬となったスターリングローズはアスカクリチャンなどを輩出。同馬はアルゼンチン共和国杯や七夕賞を勝利するなど、高い芝適性を見せた。

そして1位の武豊騎手は97年バトルライン、00年ゴールドティアラ、09年ランザローテ、18年マテラスカイ、そして24年ヤマニンウルスと同レースを5勝している。

00年のゴールドティアラは同年のマイルチャンピオンシップ南部杯を制するなど、牝馬ながら牡馬と互角以上の戦いを繰り広げた名牝。引退後は繁殖牝馬としても活躍し、孫世代にはジュンブロッサム、ステファノスと2頭の富士S勝ち馬をはじめ、トライフォーリアルやフィニフティといった重賞好走馬がいる。

また、18年の勝ち馬マテラスカイは1分20秒3という脅威のタイムで勝利。当時のダート1400m日本レコードを1秒2も更新する走りで、同レースではインカンテーションなどの実力馬に4馬身差をつける完勝だった。

ドバイ・ゴールデンシャヒーン2着やアメリカ・BCスプリント5着など海外遠征も積極的に挑戦した名馬であったが、昨年6月に結腸捻転のため10歳の若さで急逝した。遺した3世代のうち、初年度産駒は今年デビューを迎える。


佐賀で飛躍のきっかけを掴んだ牝馬トシキャンディ

マテラスカイがプロキオンSを勝利した時の単勝オッズは7.8倍で5番人気。その後の戦績を考えると意外にも思えるが、これは歴代の勝ち馬の中でも8番目の高配当となる。プロキオンSの単勝高配当ランキングは以下の通り。

1位 119.2倍 トシキャンディ(2012年)
2位 44.8倍 シルクフォーチュン(2011年)
3位 22.6倍 ヴァンクルタテヤマ(2008年)
4位 19.8倍 メイショウカズサ(2021年)
5位 18.1倍 メイショウバトラー(2006年)

11年にシルクフォーチュンが塗り替えた単勝オッズ記録を、翌年にトシキャンディが大幅更新した。

トシキャンディはデビュー当初、中央で4戦して馬券圏内に入ることなく佐賀へと移籍。佐賀では初戦こそ4着に敗れたものの、9戦して7勝と好成績を残し中央へ再転入を果たす。

中央の復帰初戦で勝利をあげると、そこから着実に力をつけていき、復帰16戦目で挑んだ初めての重賞が、12年のプロキオンSだった。

1番人気は父Kingmambo、母ビリーヴの良血馬ファリダット。他にもシルクフォーチュン、アドマイヤロイヤル、スーニなど実力派がそろっていたが、スタートから果敢にハナを奪い、そのまま逃げ切った。

トシキャンディは翌年のJBCレディスクラシックで4着に食い込むなど、その後も活躍。母としては、ストーミングホームとの配合で生まれたマイステージが活躍している。

マイステージは7歳の今も現役で活躍する牝馬で、デビュー2戦目では12番人気ながら母を連想させる波乱の先行押し切り勝ちを見せた。

4位、5位はいずれも「メイショウ」冠の馬。メイショウバトラーがプロキオンSを制したのは6歳の夏のこと。近年であれば現役の終わりが近いような馬齢だが、メイショウバトラーは以降も走り続けた。

引退レースは10歳の12月に開催された10年兵庫ゴールドトロフィーで、そこでも5着と好走している。通算成績は61戦14勝、うち重賞はなんと10勝。中央獲得賞金2億7,200万円、地方獲得賞金3億3,643万円という強烈なインパクトを残した。

メイショウカズサは1700m戦を1分40秒9という同距離のJRAレコードタイの好時計で勝利。さらにその2走後には白山大賞典をレコードタイムで勝利している。同馬も8歳の今でも現役を続けていて、久々の復活勝利が待たれる。

今年から装い新たにスタートしたプロキオンS。ダート王者を狙う馬たちが、ここから2025年の戦いを始動する。最多勝の武豊騎手が騎乗停止で不在のなか、どのような駆け引きが見られるだろうか。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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